週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

オートサロンで展示予定!

トヨタの威信を賭けたニュル24時間参戦マシンのテストに潜入!

2019年01月10日 16時00分更新

メカニック総出でテストを見守る

 さて、テストのピットを見渡すと、エンジニア達の多さもさることながら、社員メカニックの多さにまずは驚いた。SUPER GTなどの国内レースの倍以上の人数で作業をしていたのだ。彼らは社内の凄腕技能養成部に所属しており、1~2年の実務経験を経た後、次の部署へと移っていく。つまり、このテストではメカニック同士の引き継ぎ作業も同時に行なわれているのである。

ドライバーとメカニックたち

ドライバーとメカニック(前列)、そしてエンジニア陣

 メカニックたちは黙々と作業をしながらも、時折先輩が後輩を指導するような光景が見られた。そのアドバイスには、きっとニュルブルクリンクでの知見が生かされているのだろう。何より動きの一つ一つが、とても丁寧なのが印象的。工具を地面に置くにしても音を立てずにそっと置く。話し方もかなり丁寧な口調だ。そしてメモを取る姿が目についた。他のレースカテゴリーのメカニックが職人とするなら、社員の彼らはとても真面目だ。

大型のディフューザーが目を惹くリア。マフラーはセンター2本出し

コクピットの様子

国内メーカーが切磋琢磨して
ドイツ勢に対抗したい

 彼らのリーダーである「匠」の平田氏に話を伺った。「普段は新車開発の運動性能試験をやっていたり、開発車両の組み立てなどをしています。常にいる人間は8名ほどですが、若手は1~2年、うちで修行して元の場所に戻っていくという感じですね」。こうして技術が社内に広まる。これが豊田章男社長のいう「人を鍛える」ということだ。ちなみにこの社員メカニックは全日本ラリーなどでも活動しているが、レースカテゴリーごとに専属だという。

凄腕技能養成部の匠、平田氏

ピット内。左側がメカニック、右側がエンジニアが陣取る。トヨタ社員のみならずパーツメーカーのエンジニアも同席していた

 続いて、平田氏に今回のテストについて話を聞いた「実は、先月に行ったテストで駆動系に大きな不具合が出まして。それを今回対策して持ってきたのですが、まだ根本的には治ってなくて、その課題は年を越しそうですね」とのこと。今後1月と2月に2回テストをした後、3月上旬に車をドイツに持ち込み、3月下旬にニュルブルクリンクで開催されるVLNという4時間レースに参戦。その後もVLNに参戦を続けながら、不具合を解消しつつ、もっと乗り易いクルマを作り上げて24時間レースの本戦に挑むという。

ドライバーからのフィールをメモするブリヂストンの担当者

マシンが戻ると大勢のメカニックが取り囲み各部のチェックが始まる

作業するメカニックたち

 最後に土屋氏と平田氏に、見どころや意気込みを聞いた。土屋氏は「正直言いまして、僕たちはチームクルー全員で来年のLCモデルの制作に没頭しています。馬鹿みたいに、それしかやっていない人たちの集まりなので、なかなか一般の方が目に触れる機会はありませんが、その戦いを見て欲しいと思います。そこでの結果が、未来のトヨタの車に反映されますし」と話す。

 平田氏は「比較的上位のSP-PROクラスで参戦するので、GT3マシン達に割り込んで入っていけるかを目標にしています。今回はマッチ(近藤真彦氏)のチームがGT3で参戦するので、そっちに話題が持っていかれないようにがんばります」「SUBARUさんや日産さんがニュルに目を向けてくれることは嬉しいです。国産メーカー同士、切磋琢磨してがんばりましょう。ずっとドイツにやられっぱなしなので」と笑いながら答えた。その時の笑顔がとても印象的だった。

最終コーナーを駆け抜けるLEXUS LC。後ろの山は霊峰富士

 LEXUS LC Nurスペック2019は、2019年1月11日から幕張メッセで開催する東京オートサロン2019に展示される。土屋氏のいう「馬鹿みたいにそれしかやっていない連中のクルマ」であるLEXUS LCをぜひチェックして、6月テレビやネット中継を見ながら、彼らの「カイゼン」が実るかどうかを見届けてほしい。

レクサスコーナーを抜けたLEXUS LC

夕暮れの中、パナソニックコーナーへ向かうLEXUS LC

ダンロップコーナーを抜けて駆け上がるLEXUS LC

■関連サイト

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう