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ハイルドライバーを搭載した、無二の存在

圧倒的な低域は得難いもの、oBravoのSignature AMTを聴く

2018年12月31日 14時45分更新

簡単に手が出せる価格ではないのだが……

 Signature エアモーションは、直径40mmのハイルドライバーと、直径57mmのダイナミック型ドライバーを組み合わせている。この構成は2015年発売の「HAMT-1」、その改良版の「HAMT-1 MKII」や「HAMT-Plus」と同様。HAMT-1の直系で、その最上位機種である。

Signature エアモーションが搭載するドライバー

 HAMTの兄弟機との差別化ポイントは、ムンドルフ製Mcapコンデンサーの使用による「高音質化」と、カーボンファイバー製ヘッドバンドやチタン製リフトロッドの採用による軽量化である。

 ハウジングの素材はアルミ合金の削り出し。木製フェイスプレートは、色あいが濃く重厚感のある台湾アカシア。ここはHAMT-PlusやHAMT-1 MKIIと共通だ。ちなみに、HAMTシリーズには、樹脂製ハウジングの安価なモデルもある。「HAMT-2」はHAMT-1と同様のドライバー構成ながら、Signature エアモーションの1/3程度の価格で買うことができる。

ベロア調のイヤークッションは素朴だが、肉厚で装着感も悪くない。

 もっともSignature エアモーションの直販価格は64万円で、高級ヘッドホンが巷にあふれている現状を鑑みても、ここまで高価な製品はそうそう見かけない。「台数がそれほど出ない」ことに加え、この価格でも「相応の音が出せる」という強気の設定なのだろう。ちなみに、AMT採用モデルをどうしても手に入れたいというのなら、13万8000円の「HAMT-3」という選択肢もある。ダイナミック型ドライバーの直径が50mmと若干小さくはなるが、価格は1/4以下だ。こういった機種で体験してみるのもありかもしれない。

古めかしさも感じるデザインだが、装着感は悪くない

 Signature エアモーションは、いかにも頑丈そうな、カギのかかるアタッシュケースに入れて届けられる。その中には、角ばったフレームや、木材を使用した大きめのハウジングを持つ本体が入っており、見た目は武骨な印象だ。ただ、実際に装着してみると、フィーリングは決して悪くない。重量は454gあるが、ヘッドバンド部やイヤーカップ部に分厚いパッドが使われており、角度や高さ調節も細かくできる。長時間のリスニングでもそれほど負担なく使えそうだ。

本体は専用アタッシュケースに収めて提供される。このように付属品とともにすっぽり収まる。

 まずは音だしも兼ねて、一緒に届いたヘッドホンアンプ「HPA-1 Portable Amplifer」(6万9000円)と組み合わせて鳴らしてみた。Spotifyで再生した曲をスマホ(iPhone 6s Plus)のヘッドホン端子からアナログ出力しただけだが、なかなかいい。

HPA-1 Portable Amplifer。小さいが金属製の質感が高いバッテリー駆動のアンプ。

 ポータブル機器でも十分な音量は取れるが、インピーダンスは56Ωと高めなので、アンプの出力は高い方がいいだろう。HPA-1は、小さいが優秀なヘッドホンアンプで、Singature エアモーションを余裕を持って駆動できる。ちょい聴きでも、ハイエンドのフロア型スピーカーを思わせるスケールの大きさを感じられた。

頑丈そうな専用アタッシュケースでカギもかけられる。

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