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ハイルドライバーを搭載した、無二の存在

圧倒的な低域は得難いもの、oBravoのSignature AMTを聴く

2018年12月31日 14時45分更新

 台湾のSTYMAX INTERNATIONALが展開する「oBravo」(オブラボ)は、“知る人ぞ知る”ブランドだ。国内ではウェブ直販中心の展開で、店頭で製品を見かけたり、専門誌などにレビューが載る機会も少ないので、存在を知っているだけでも、なかなかのマニアかもしれない。

 以前から、ポタフェスやヘッドフォン祭などのイベントには出展していて、その音に触れる機会はあった。筆者も数年前にイベント会場で試聴し、oBravoに関心を持ったひとりだ。特にイヤホンのバリエーションが豊富で、プロトタイプも含めて相当な数の製品がブースに並ぶ。あまりに多いため、ラインアップの全貌が把握しにくいし、何となく謎めいた雰囲気を醸し出すブランドでもある。

 技術面での個性が際立っていて、サウンドも特徴的なので、機会があればじっくり試聴してみたいとも思っていた。そんな折、取材を通じて顔見知りになった担当の方から、「最近販売を開始した、Signature エアモーションの音を聴いてみないか」という話をもらった。

ハイルドライバー搭載の異色ヘッドホン

 「Signature エアモーション」は、oBravoのフラッグシップヘッドホンである。市場のヘッドホンが9割がた、フルレンジのダイナミック型ドライバーを採用している中、この機種は珍しいハイブリッド構成で、しかも高域側ユニットが「ハイルドライバー」になっている。

Signature エアモーション

 AMT(エア・モーション・トランスデューサー)などとも呼ばれるハイルドライバーは、振動板が特徴的だ。アコーディオンのように蛇腹に折りたたんだ薄い樹脂製の膜を、電気で伸び縮みさせて空気を動かす。通常の振動板は面で動くので、動かせる空気の量はその面積と1:1の関係だが、ハイルドライバーでは振動板を折りたたんでいる関係で、面積に対して2倍、3倍の量を動かせる。結果、能率が良くなり、音の立ち上がりを速くできるのがメリットだ。

ハイルドライバーの仕組みを解説した図と写真。写真のように蛇腹状の振動板を使う。oBravoのAMTで用いられているものではなく、オオアサ電子「Egretta TS1000F」の製品発表会で示されたものだ。(参考記事:http://ascii.jp/elem/000/001/273/1273675/)

 ハイルドライバーを採用したヘッドホンやイヤホンは市場でほぼ見かけない。その意味でoBravoの製品は孤高だ。スピーカーでは、ハイレゾという言葉が一般的になる前からELACなど一部のブランドが、高域を担当する「ツィーター」に採用しているが、これは耳で感じ取れない高域までフラットに伸びる特性を評価しているためだろう。なお、oBravoのヘッドホンは大きく2種類で、AMT採用のHAMTシリーズのほか、平面振動板のHRIBシリーズがある。

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