「VRChat」編
RTX 2080でも90fps維持は難しい
最後に「VRChat」でも簡単に試してみた。検証方法はロビーに立ち、下図のような視点で周囲を眺めるだけ。この手のアプリでは周辺にいるプレイヤーの数で大きく性能が変わったりするが、今回は視界に入る他プレイヤーは3人以下という縛りで計測した。ただ他プレイヤーの動きを完全に制御できない関係上、今回実施した他の検証に比べ、確度という点ではやや劣る点は否定できない。
© 2018 VRChat Inc.
SS値=100の場合
VRChatはかなり処理が重いらしく、そこにVIVE Proの高解像度液晶を扱う負荷が上乗せされたため、RTX 2080でも90fpsの維持ができないことはざら。ユーザーのつくったもっと重い部屋ならさらにフレームタイムは増すだろう。
SS値=200の場合
SS値=200ではGTX 1070環境では画面がマトモに描画されないことが多かったので検証は中断した。VRChatのCPU負荷はProject Cars 2と大差ない感じだが、CPUフレームレートが短いためCPU側の処理はほぼ一瞬で終わっていることがフレームタイムから伺える。
ここまでの結果からGTX 1070でVRChatを遊ぶのは不可能か……というとそうではない。SS値を100より低くしてレンダリング解像度を荒くしてしまえばよいのだ。次の図はGTX 1070でSS値を50に設定した時のもの。
まとめ:描画負荷の高いVIVE ProにはRTX 20シリーズは有効
以上でVIVE Proと最新CPU&GPUの組み合わせによるパフォーマンス検証は終わりだ。一部ゲーム(Project Cars 2)では画質を下げる必要があったものの、Skyrim VRやVRカノジョといったVR専用のタイトルではRTX 20シリーズは極めて優秀。VIVE Proの高解像度液晶の負荷にも対抗できると言えるだろう。
ここで悩ましいのが旧世代の安いカード(流通量が急激に減りつつあるが)をとるか、割高感はあるが高性能なRTX 20シリーズをとるか、の問題だ。RTX 2070はおおよそGTX 1080、RTX 2080はGTX 1080Ti相当という図式になっているので、同じ性能なら割安なGTX 10シリーズを選びたくなるが、RTX 20シリーズで採用されたTuringアーキテクチャーではFP32とINT32の並列実行やメモリー圧縮など技術的に優れた面があるためVR環境でもRTX 20シリーズの方が優れている。
VIVE Proには採用されていないがRTX 20シリーズはVirtualLinkという新しい規格にも対応しているため、将来VIVEのVirtualLink版が出てもすぐ乗り換えられるというメリットがある。そろそろVIVE Pro環境にアップグレードを考えているなら、一緒に強力で将来性もあるRTX 20シリーズへの乗り換えも検討してみてはどうだろうか。
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