ジャケット写真がクラシックにしては超過激。もともとピアノやヴァイオリンの女性奏者は肩を大胆に出すが、ユジャ・ワンはセパレートになり、輪を掛けて超大胆。ピアノリサイタルの楽しみが増えた(?)。
本ベルリン・ライブは後期ロマン派と20世紀の作曲家による作品集。このホールはフィルハーモニーの大ホールの忠実な縮小版で、音響は素直で、バランスがとてもよい。ここなら現代屈指のハイテクピアニストの音も、決して金属的にはならない。ホールトーンと直接音が見事にバランスし、クリヤーで同時にしっとりとした、アンビエント成分の豊かな音調が楽しめる。この音響にて、ヴィルティオーゾ的なテクニックの切れ味と、叙情的な歌いの美しさが聴ける。2018年6月1日。ベルリン・フィルハーモニー小ホールで録音。
FLAC:96kHz/24bit
Universal Music、e-onkyo music
児玉麻里&桃姉妹の初めての共演アルバム。「眠りの森の美女」がラフマニノフ、「くるみ割り人形」がアレンスキー、 「白鳥の湖」がドビュシーと、超豪華な編曲による、ピアノデュオ三大バレエ。ラフマニノフ 「眠りの森の美女」 は重厚なシンフォニエッタであり、華麗で絢爛。アレンスキーの「くるみ割り人形」は軽快で軽妙。ドビュシーの「白鳥の湖」は繊細で、色彩的。
名手のピアノデュオは必ずしもいつも成功するわけではないが、本チャイコフスキーは、二台の音色感がまったく合致しているので、各作曲家の編曲の特色が際立って聴ける。クリスマスを飾るにふさわしいゴージャスなブレゼントだ。 録音は2016年4月、オランダのMCOスタジオ5、ヒルフェルムス。
FLAC:96kHz/24bit、DSF:2.8MHz/1bit
PENTATONE、e-onkyo music
『ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第14番(弦楽合奏版)&序曲集』
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、レナード・バーンスタイン
小節の利いた、アクセント感豊かなバーンスタイン/ウィーン・フィルのベートーヴェン。バーンスタイン生誕100周年の掉尾を飾るにふさわしい名演のDSDだ。ドイツ・グラモフォンはベルリンのエミリー・ベルリーナ・スタジオで、過去の名演をDSDマスタリングし、パッケージメディアのSACDのみならず、配信でもリリースしている。ウィーンの聴衆を驚嘆させた重心の低い、巨匠風のベートーヴェンがDSD的な濃密な音色感とソノリティ豊かな音調で、十全に聴ける。2018年の最新リマスター。
DSF:2.8MHz/1bit
Deutsche Grammophon、e-onkyo music
『ドヴォルザーク:交響曲第6番 ニ長調 作品60』
ヒューストン交響楽団、アンドレス・オロスコ=エストラーダ
冒頭の特別なコード進行が素晴らしいシンフォニー。ニ長調にてD、B7、Emというセカンダリー・ドミナント進行がたいへんエモーショナルだ。それはともかく、ヴィヴットで進行感が強い演奏。オロスコ=エストラーダは以前も、フランクフルト放送交響楽団の『R.シュトラウス:アルプス交響曲』での明瞭さ、みずみずしさに感動したが、2015年9月にヒューストンのジョーンズ・ホールで録音された本作も明朗で、クリヤーで、彩度感の高い名演だ。第1楽章全体を通じて、冒頭と同じセカンダリー・ドミナント進行が何度も出てくるが、その度に情熱とアクセントをB7に掛ける、熱きエネルギー感に溢れた演奏だ。ペンタトーンらしくソノリティ情報が満載だ。
FLAC:96kHz/24bit、DSF:2.8MHz/1bit
PENTATONE、e-onkyo music
『True Love Ways』
バディ・ホリー、The Royal Philharmonic Orchestra
エルヴィス・プレスリーやロイ・オービソンのオーケストラ伴奏バージョンを本欄で採り上げたが、その最新盤がロックンロールのバディ・ホリー。ロイヤル・フィルハーモニーと自らの大ヒット曲を"共演"している。ヴォーカル音源だけがオリジナルで、オーケストラ部分は新作だ。分厚い、そして滑らかな響きに乗るベルベットボイスはまことに素敵。「1.True Love Ways」は厚い響きが、ヴォーカルを引き立て、「2.It Doesn't Matter Anymore」や「10.Peggy Sue」はリズミカルで俊敏なオーケストラの動きが、バディ・ホリーの音楽の世界観をさらにゴージャスにしている。録音はロンドンのAngel Studios。
FLAC:96kHz/24bit
Decca、e-onkyo music
『PORTRAIT ~Piano & Voice~』
中島美嘉
「アコースティックスタイル」が本アルバムのコンセプトだ。まずは2017年に「Piano&Voice」シリーズ第1弾がリリースされ、本ハイレゾは第2弾。ピアノが実に美しい。クリヤーで珠玉のサウンドだ。「1.AMAZING GRACE Piano & Voice Style」はピアノに必要以上のリバーブは与えられていないが、ヴォーカルはもの凄く響きが多い。クリヤーやピアノと、アンビエント豊かなヴォーカルという対比だ。歌唱は熱くエモーションをぶつける中島流。「3.雪の華」はピアノとのシンプルなデュオであり、より細やかな感情表現が聴ける。オリジナルバージョンより、感情のダイナミックレンジが広い。
FLAC:96kHz/24bit
Sony Music Labels、e-onkyo music
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります