FFmpeg
最後に、あらゆるフォーマットとOSに対応し、動画再生プレイヤーのコーデックとしても愛用されている「FFmpeg」での動作を確認してみた。標準ではGUIを持たないため、エンコードはコマンドラインから行う必要があるため、敷居は高くなるが、構文例をまとめたサイトなどもあるので安心だ。
H.264形式でエンコードした際は、動作クロックこそ、各スレッド3.9GHz台だったが、CPU負荷率はおおむね70~80%台後半で変動。各スレッドいずれも100%負荷になることはなかった。また、X.265(H.265)形式時は、「AviUtl」と同じく、動作クロックとCPU負荷が大きくブレている。
第9世代Coreシリーズと比較
Ryzen 7 2700Xを搭載したPCは、ここまでの検証でX.265(H.265)形式のエンコード時だと全コアを最大限に活用しているとはいいがたいが、未だ主流となるH.264では8コア16スレッドをフルに活用していたといえる。
では実際にRyzen 7 2700Xがインテルの最新第9世代Coreプロセッサーと比べて、どれほどコスパで優秀なのかが気になるところ。
そこでテストに用いた「Ryzen 7 2700X」と同じ、8コア16スレッドだが秋葉原での価格は1.65倍の6万6000円前後である「Core i9-9900K」。さらに5万円前後の8コア/8スレッドの「Core i7-9700K」、6コア/6スレッドで3万5000円前後となっている「Core i5-9600K」を用意して、「Adobe Media Encoder CC」の動画エンコード時間を計測してみた。
テストに使用したインテルLGA1151プラットフォームの環境は以下の通りで、CPUとマザーボード以外はAMD環境と同じになっている。
「テスト環境」 | |
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CPU | インテル「Core i9-9900K」(8コア16スレッド、3.6GHz~5.0GHz、TDP95W)、インテル「Core i7-9700K」(8コア8スレッド、3.6GHz~4.9GHz、TDP95W)、インテル「Core i5-9600K」(6コア6スレッド、3.7GHz~4.6GHz、TDP95W) |
マザーボード | ASUS「ROG STRIX Z390-F GAMING」(Intel Z390) |
メモリー | G.SKILL「Trident Z RGB F4-3200C16D-16GTZR」(DDR4-3200 8GB×2) |
ビデオカード | NVIDIA「GeForce GTX 1080 Ti Founders Edition」 |
ストレージ | KingFast「F6 PRO 2710DCS23-360」(2.5インチ、360GB、SATA3) |
電源ユニット | Seasonic「SS-750KM」(750W、80PLUS GOLD) |
OS | Windows 10(64ビット) |
編集作業でも優秀なRyzen 7のコストパフォーマンス
動画エンコードは再生時間8分の4K60p動画を使用し、20MbpsのMP4形式(H.264 2pass)への再エンコードに要した時間としている。
Ryzen 7 2700Xは、同じ8コア/16スレッドながら2万円以上高いCore i9-9900Kには4分ほど負けたものの、1万円以上高いCore i7-9700Kにもわずかに処理速度で勝った。
最も安価なCore i5-9600Kとの差は約6分。価格差4000円ほどと考えれば、相対的に見てもRyzen 7 2700Xのコスパはかなり高い。今回はRyzen 7 2700Xを使用したが、同じ8コアだとTDPが40Wも低いXなしのRyzen 7 2700もねらい目。
従来のRyzen1000シリーズの方が価格的には安価だが、Ryzen2000シリーズはメモリー相性も改善し、安定して8コア/16スレッドというメニーコアを使って動画編集やCG制作といったクリエィティブな作業を快適に行なえる。ゲームプレイ動画などをよく編集する、仕事で動画編集をすることが多いというような人は、Ryzen2000シリーズでPC自作をしてみてはどうだろう。
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