マカフィーはパフォーマンスと家族の保護に重点を置く
ギャリー・デイビス氏の話について少し補足しておこう。
10月末に開催された「マカフィー リブセーフ 日本語版」の新製品発表会では、2017年から提供している「アクティブプロテクション」「リアルプロテクト」が負荷低減の意味合いで有利であると説明された。前者はマルウェアなどを検出する際の処理を、ローカル(パソコン本体)とクラウド上に分散。パソコンの負荷を高めずに、効果的な結果を得るようにする仕組みだ。後者は「ふるまい検知」により未知のマルウェアにも対応できる仕組みとなる。
一方。パフォーマンス向上については、Windows 10用の新機能「アプリブースト」を搭載した。これはあらかじめリスト化した「特定のアプリケーション」に対して優先的にリソースを割り当て、その起動や動作を高速にするものだ。また、最前面のウィンドウで実行中のアプリケーションにより多くのリソースを割くことにして、体感的な速度も上げる。結果、CPU負荷を33%低減、アプリケーションの起動時間を6%向上できたとする。
加えて、「ウェブブースト」という、不要な通信を減らす機能も導入した。例えばウェブサイトに貼られた動画コンテンツの自動再生を止める。ウェブブーストを使用することで、メモリー消費を56%、CPU負荷を64%、バッテリー消費を5%低減できるという。
家族の安全、子供のネット教育にも注力
家族の保護という意味では、昨年秋にリリースした「セーフファミリー」をリブセーフに統合した点もトピックスだ。これは保護者の目が届かないところでインターネットに接続する機会が増える中、子供を脅威からどう守るかに配慮したソフトだ。子供の「デバイス利用時間」や「何をしたか」(アクティビティの参照)が分かる。
さらに、「アプリブロッカー」「ウェブフィルター」「利用時間制限」「位置追跡」といった機能も提供。設定できる項目は多岐にわたるが、名前と年齢を入れるだけで典型的な設定が分かるため、導入がしやすいという。
子供のネットリテラシーを育むという意味では、「利用ルールの変更」や「利用許可のリクエスト」を、子供が使っているスマホなどの端末から出せる点に注目だ。押しつけのルールを守らせるだけでなく、親と対話しながら「使用するアプリ」や「スマホを使う時間」を決めていけるわけだ。これなら、子供の自主性も育める。子供がスマホからリクエストを出すと、親のスマホに対して通知が飛び、許可するかどうかが選べる。この仕組みであれば、仕事などで外出している場合でも子供に許可を出せる。
ITリテラシーを育成するためのステップにもなる
10月の製品発表会では、CMSB事業本部コンシューママーケティング本部執行役員本部長の青木大知氏が登壇。「中高生の45%がスマホに依存していると答え、既読・未読などの問題で学習などに集中できない」とする電通マクロミルの調査結果に言及した。
また61%が「オンラインセキュリティに不安がある」と回答したとコメント。保護者の8割が「どういった相手とオンラインで交流しているのか知らない」、3割以上が「自分の端末で不適切な行動をとっていないかに不安を感じている」といった状況もあり、子供のデジタル利用に対して、親が悲観的になっている状況があるとした。
そんな中、青木氏が指摘するのは、セキュリティは、プログラミングやIT的な思考の育成をする以上に、IT社会を生き抜いていくうえで「重要なリテラシー」であるという点だ。
ウイルス対策をするかしないかではなく、「被害が起こる理由」を知ることが肝要となる。そのためには、デジタルと付き合う適切な方法を、親子の対話を通じて考えて行くことが求められている。
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