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ユニット外販を始めたフォスター電機、考えに変化が生じた理由は?

2018年10月30日 00時00分更新

フォスター電機の「FOSTER Alliance Program」

OEMと自社ブランドのみだったドライバーを他社に供給開始

 10月27日と28日に東京・中野サンプラザにて開催された「秋のヘッドホン祭 2018」で、フォスター電機がヘッドホン・イヤホン市場を活性化させるためのアライアンス「FOSTER Alliance Program」を発表した。

フォスター電機モバイルオーディオ第2営業部・河合英俊氏

 フォスター電機と言えば、世界中のメーカーにドライバーユニットをOEM供給するだけでなく、FOSTEX(フォステクス)ブランドでスピーカーやヘッドホンを生産販売している。同社が提供するのはヘッドホン&イヤホンに使える5種類のドライバーで、これを自社で製品化を目指すメーカーに無償でサンプル提供する代わりに試作品を提供して、製品レポート、事例紹介許諾をもらうという仕組みになる。

フォスターが無償サンプルと詳細情報を提供、パートナー企業は試作品とレポート、事例紹介許諾を同社に与えるというプログラム

 同社は10年以上もモバイル向けのヘッドセットを生産しており、生産数が10億個を超えるドライバーもあるという。当初は自社のドライバーを外販しない方針だった。近年の市場関係の変化に伴い、「1社だけでは、未来社会に音で貢献することは難しい」と考え、パートナー企業とともに可能性を広げていく方針に転換した。

バイオダイナ振動板とフリーエッジ構造に特徴

 具体的なきっかけは数年前にカスタムイヤモニターを製造するメーカーが、FOSTEXの製品を分解して、そのドライバーを使っているという話を耳にしたからだという。

FitEar『Air』を作るためにFOSTEXのダイナミック型ドライバーを製品から取り出した張本人であるFitEar代表の須山慶太氏が登壇、プログラムについて語った。

 提供が決まった5種類のドライバーは同社が持つ膨大なストックの中から厳選したものであり、イヤホンに適した3種類のドライバーと、ヘッドホン向けの2種類のドライバーが選ばれた。いずれもダイナミック型で14mm、40mm、50mmはいずれもバイオセルロース繊維を使った「バイオダイナ振動板」を使った「フリーエッジ構造」を採用している。これらのドライバーをもとに試作を開始してから、要求があれば仕様の異なるドライバーへの変更にも対応するそうだ。

上の段がヘッドホン用のドライバー、下の段がイヤホン用のドライバー

【MT006B】同社が作る最小モジュール構造のドライバーで、バックキャビティが不要のためBA型ドライバーのように使える。ドライバーのすぐ後ろが基板でも問題ない。外耳道へ入る超小型イヤホンや、ワイヤレスイヤホン、マルチドライバー構成のイヤホンなどさまざまな用途が考えられる。

【MT009B】長年イヤホン市場で使われてきた使い勝手のいいドライバーで、気密性の高い密閉式から、一般的なカナル型まで幅広く対応、BA型とのハイブリッドにも使える。後室容積の影響が少ないので、比較的に容易に音作りができる。FitEarの製品にも採用されているかもしれない。

【MT014A】10億個以上生産されているロングセラーのドライバー。小口径で製造が難しいスピーカーと同じ構造のフリーエッジを採用。さらに振動板にはバイオセルロースを使って薄く軽くて剛性の高い「バイオダイナ振動板」を使っている。

【MT040A】オンイヤー、オーバーヘッド型、密閉型、セミオープンなど多様な用途に対応できる自由度の高いドライバー。磁気回路にはネオジウムマグネットを採用。40mmと実装しやすいサイズなのでイヤーパッドを小さくしてコンパクトなヘッドホンを設計できる。また50mmよりも鳴らしやすく汎用生が高い。

【MT050A】磁束密度1テスラを超えた強力な磁気回路を搭載したハイエンドモデル向きのドライバー。フリーエッジの「バイオダイナ振動板」を採用。低歪みでワイドレンジな再生帯域を実現。ハイレゾ再生にも対応できる高性能なユニットである。

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