インテルがPC向けのCPUメーカーからの脱却を図っている。その際に5Gの役割は大きいと語るのは、データセンター事業部のバイスプレジデントで、5G戦略とプログラムオフィスでゼネラルマネージャを務めるAlex Quach氏だ。Quach氏に5Gでのインテルの取り組み、5Gモデムチップの「XMM 8000」シリーズなどについて話を聞いた。
5Gではエッジコンピューティングによるデータ処理など
インテルの資産を活用できる場
――インテルはPCからデータ中心の企業に転身を図っています。そこで5Gが果たす役割は?
Quach氏(以下、同) インテルは数年前からトランスフォーメーションに取り組んでいる。5Gはとても大切な役割を果たす。
5Gは単に新しい世代(G)ではない。3Gが4Gになるとのは異なる。5Gではコンピューティングがたくさん発生する。インテルは純粋なコンピューティング処理でたくさんの経験がある。また、コネクティビティー分野でも展開してきた。
5Gは、コネクティビティーとそれが必要とするコンピューティングが交差する技術だ。たくさんのデータが多数のデバイスからやってくる。5Gは巨大なデータパイプになるが、これらのデータが意味をなる必要がある。つまりデータを処理する必要がある。エッジ、デバイス上、バックエンドとネットワークのどこかで処理される。
インテルはネットワーキングの資産があり、5Gで良い位置についている。ラジオアクセスネットワーク(RAN)ではEricssonやNokiaが我々と手を組んでおり、エッジでも動画処理、AIなどの処理のニーズに応えることができるし、そしてクラウドでも強い。
このように、モデム、ネットワーク、ピュアなデータ処理などさまざまな面から見て、5Gはインテルにとってこれまでの資産を活用できる重要なチャンスとなる。
5G搭載PCでの常時接続で
ユーザーの期待をどう膨らませられるか
――5Gのデバイスは? その中でXMM 8000シリーズはどのようなデバイスに搭載されると見ていますか?
5Gは進化していくもので、最初から全種類のデバイスが登場するわけではない。ネットワークが成熟し、技術が成熟する必要がある。
最初のデバイスは固定ワイヤレスアクセス(FWA)、モバイルブロードバンドといった5Gの最初の役割にフォーカスしたCPE(ユーザー宅内の機器)だろう。その後、屋根や窓に設置してインターネットアクセスを得るFWAになる。そして、5Gモジュールが組み込まれたPC、スマートフォンが登場すると見ている。
インテルは今年のMWCで、HP、Dell、Lenovo、ASUS、Acerなどが8000シリーズファミリを搭載したPCを作成することで合意したことを発表した。スマートフォンでは、中国のUnisocがXMM8000シリーズをスマートフォンプラットフォームに統合することで合意した。どのOEMがこのプラットフォームを採用するのかについては、発表していない。
将来は自動車、ロボット、AR/VR、産業機器なども5Gのデバイスとなるが、XMMシリーズファミリはここにも応える。
――3GからPCにセルラー技術を搭載する動きはあったが成功していません。
ネットワークが進化し、音声向けの3Gから4Gではデータ向けに最適化された。3Gでのスマートフォンは早期だったが、4Gでスマートフォンの受け入れが進んだことで、我々はたくさんのことを学んだ。
たとえば常時接続、常にリフレッシュする端末がどういうものか、何が必要かなどだ。現在PCで、スマートフォンと同じような機能を提供したいと思っているベンダーが増えている。常時オン、すぐに起動し、電子メールをわざわざダウンロードする必要はない……このような経験が、PCの機能への期待につながっている。
だが常時接続PCに向けた障害もある。その1つがコストだ。安価なWi-Fiがあるのに、セルラーではオペレーターに別途お金を払わなければならない。認証のコストもある。5G PCはこれらをクリアしていく必要がある。エコシステム全体では、これらのバリアをどうやって克服するかについてモチベーションが上がっているのを感じる。
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