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NetApp Insight 2018基調講演レポート

クラウドに全面展開するData Fabric、コンテナもHCIもAIも取り込む

2018年10月26日 07時00分更新

HCI=Hybrid Cloud Infrastracture

 パブリッククラウドとの連携を実現するサービスを開発・展開する「INSPIRE」のチームに対して、「BUILD」はおもに「NetApp HCI」やオールフラッシュアレイの「SolidFire」など、次世代データセンター(NGDC)向けの製品やサービスを展開する。登壇した米ネットアップ SVP & GM, NetApp Cloud Infrastructure Business Unit ブラッド・アンダーソン(Brad Anderson)氏は、「顧客のハイブリッド・マルチクラウドの体験を向上させること」をミッションとして掲げていると説明した。

米ネットアップ SVP & GM, NetApp Cloud Infrastructure Business Unit ブラッド・アンダーソン氏

 導入や拡張は容易なものの、キャパシティ不足でサイロ化されたクラスターが複数生まれがちな既存のHCIに対し、NetApp HCIはもともとエンタープライズ向けのHCIとして設計され、複数のワークロードをさばくキャパシティを保有する。また、AWAやAmazon、GCPなどのパブリッククラウドと緊密に連携し、統合的なデータ管理が可能になる。

 コモディティハードウェアにソフトウェア定義の仮想化環境を統合したHCIは、シンプルで、容易なインフラ構築と管理を価値として顧客に提供する。しかし、パブリッククラウドともシームレスに統合できるNetApp HCIは単なる「Hyper Converged Infrastracture」ではなく、むしろ「Hybrid Cloud Infrastracture」だとアピール。新しいアプリケーションを迅速に立ち上げることができ、セルフサービスでサービスを導入でき、パブリッククラウドと連携したスケールアウトが可能になるという。

 オーストラリアのクラウドプロバイダーであるConsultelCloudは、インフラで利用する機器を汎用サーバーからNetApp HCIにリプレースした。理由はやはりスピードで、Windows ServerやLinux VM、SQLサーバーなどを起動するというタスクが、他のシステムに比べて最大68%高速化したという。「運用の合理化や顧客満足度を上げるだけではなく、他の製品ではできないことを実現し、ビジネスを変革できた。これがハイブリッド・マルチクラウドのパワーだ。クラウドのようなインフラが勝利を収める。やらない人たちは取り残される」とアンダーソン氏はアピールする。

デジタルトランスフォーメーションに必須となるモダナイズの切り札はフラッシュ

 クラウド連携を進める「INSPIRE」、NGDCを推進する「BUILD」に対して、3つ目の柱である「MODERNIZE」は、同社が従来から主力にしていたエンタープライズストレージの領域になる。半年に1回ずつ大規模なアップデートが施されるONTAPを中心に、データ保護や性能、可用性などを追求していく分野だ。ここでは米ネットアップ EVP & GM, NetApp Storage Systems & Software Business Unit ジョエル・レイク(Joel Reich)氏が説明した。

米ネットアップ EVP & GM, NetApp Storage Systems & Software Business Unit ジョエル・レイク氏

 レイク氏は、最初Data Fabricの概念図を見たとき、「クレイジーだと思った。自分たちを殺すようなものではないか」と感じたが、サービスの拡充やフラッシュの進化などで現実的な選択肢に成長してきたと説明。また、企業のデジタルトランスフォーメーションを推進するには、シンプル化や自動化などITのモダナイズが必須で、削減できたコストをイノベーションやビジネス変革に充てていく必要があるという。

 こうしたモダナイズのためにネットアップが用意するテクノロジーがフラッシュだ。「パフォーマンスはHDDに比べた20倍で、IOPSは12倍。電力や冷却コスト、スペースも低い。もっとも重要なのはみなさんのITをシンプル化できることだ」と語るレイク氏。ネットアップが付加価値を載せたオールフラッシュアレイでグローバルNo.1(IDC調べ)を実現。日本でもシェアNo.1を獲得し、Dell EMC、HPE、IBM、日立などに比べても高い27.9%という成長率をアピールし、顧客やパートナーに対して熱い謝辞を送った。

 レイク氏に紹介されたキム・ウェラー(Kim Weller)氏は、エッジのセンサーからデータを収集し、MQTTでストレージに収集するといったIoT的な利用方法やプライマリストレージのデータコピーをAmazon S3などのサービスに送信することで、高い可用性を実現する「NetApp Data Availabirity Service」を紹介。その他、IBM Cloudとの連携やNVIDIA GPUを搭載した統合型インフラであるNetApp ONTAP AI、パーシスタントメモリ上にファイルシステムを構築することで圧倒的な性能を実現する「MAX Data」なども披露された。

米ネットアップ WorldWide Tech Team Enablement キム・ウェラー氏

 そして、最後に登壇したのは、創業者のデイブ・ヒッツ氏。ヒッツ氏は2日間の基調講演をまとめつつ、大学時代からの友人だったというAmazon.comジェフ・ベソス氏との写真を会場に披露。また、「これは世界一馬鹿なデモであることはわかっている(笑)」と語るヒッツ氏は、あえてネットアップ自慢のGUIを使わず、Azure連携のAPIスキーマをJSONで直書きするというデモを実施し、クラウドに全面フォーカスするネットアップの方向性を創業者として強くアピールした。

中央がヒッツ氏で、右がベソス氏

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