変則的な予選は8番手
マシンは悪くなかったが……
SUPER GT 第6戦が9月15~16日に宮城県のスポーツランドSUGOで開催された。例年、第4戦で7月に開催されているSUGO戦だが、2015年以来の9月の第6戦というスケジュールになった。夏と秋では気温と路温が違うため、タイヤ選択や作戦も変わってくる。
15日の予選日はやや天気が悪く、朝から曇りで霧も発生していた。予報通り雨も降り、練習走行では完全にウェットコンディションだったが、予選前のサポートレース(FIA-F4)の頃から乾き始め、予選直前にはラインはすっかり乾いていた。だがコースは濡れているエリアもあり、予選1回目はウェット宣言(レインタイヤを履いてもよいという宣言)が出されていた。
なお、今大会の予選はシーズン初のグループ分けを実施。第5戦までのランキングを元に奇数が予選Aグループ、偶数が予選Bグループとなり、それぞれ10分間のセッションでタイムを競い、各グループの上位7台が予選2回目へと進めるルールだった。
0号車(グッドスマイル 初音ミク AMG)は、Aグループ。予選1回目直前の気温は23度、路温が25度と、雨は上がったがタイヤが温まりにくいコンディションだ。予選1回目のアタックを担当した谷口選手は2周目に「1'21.451」を記録し、周回を重ねるごとに20秒台、19秒台とタイムを詰め、6周目に「1'19.433」を出して、5番手で通過した。
予選2回目は片岡選手が担当。GT500の予選1回目を挟んだので、この頃には路面は完全にドライコンディションになっていた。コースインして徐々にペースを上げていく片岡選手。3周目に「1'18.994」と、18秒台に入れる。その後、5周目に「1'18.928」とタイムを更新したものの、1位は17秒台、上位陣も18秒台前半という接戦だったため、8位という結果になった。決勝レースは8番グリッドからのスタートになる。
決勝は雨予報が晴れ!
僅差でSUGO初表彰台に上った
16日、決勝日。予報では決勝レースが始まる14時頃から雨が降ると言われていたが、見事な快晴に。気温は30度、路温は39度と、予選日よりも汗ばむ気温になっていた。
81周、300kmの決勝レースは14時から定刻通りにスタート。スタートドライバーを務めるのは片岡選手。8番手から順位を上げるため、1周目から攻めていくが、他のマシンと接触されて失速、そのスキを60号車(SYNTIUM LMcorsa RC F GT3)に抜かれて9位に、その後8周目に88号車(マネパ ランボルギーニ GT3)にも先行され、10位に後退していた。
しかし、6位以下は25号車(HOPPY 86 MC)を先頭にコンマ数秒で数珠つなぎになっており、いつ順位が入れ替わってもおかしくない状況だった。18周目にトラブルでピットインしたマシンがあり9位にあがり、22周目には25号車と5号車(マッハ車検 MC86 Y's distraction)を一気にパスし、6位に上昇。そして23周目に早めのピットイン、タイヤは左側2本のみの交換で谷口選手をコースに送り出した。
アウトラップで20位まで下がったが、谷口選手の快走で順位を上げていき、38周目には8位と、予選順位まで戻したのだった。後続に圧倒的な差を付けていた61号車(SUBARU BRZ R&D SPORT)と10号車(GAINER TANAX triple a GT-R)には先行されしまったが、この時点で実質3位の位置を走っていた。
0号車の後続との差は10秒以上あったので、表彰台は盤石かと思われたが、谷口選手から「タイヤがしんどい」と悲痛な無線が入る。レースはまだ20周以上残っている……。
一転して前を追うレースから、後ろの追撃を防ぐレースになった。53周目には全車がピットインして順位が確定し、3位になったものの、前を走る10号車との差は13秒、後ろの88号車との差は10秒という状態。88号車はラップを重ねるたびに1~2秒詰めるほどの猛追を見せ、60周目にはテールトゥーノーズのバトルになっていた。
レース終了まで残り10周以上。苦しい戦いを強いられていたが、徐々に88号車を引き離しつつあった63周目にクラッシュしたマシンがあり、そのままセーフティーカーが導入された。ホームストレートにマシンを整列し、レースはリスタート。70周目にセーフティーカーも解除され、残り6周のスプリントレースが始まった。
タイヤは苦しかったが、それは88号車も同じだったようで、一進一退の攻防を繰り広げるが谷口選手は先行を許さない。そして会場中が固唾を飲んで見守った3位争い。ファイナルラップの最終コーナー。立ち上がってきたのは0号車を先頭に88号車、そして34号車(Modulo KENWOOD NSX GT3)のスリーワイドだった。
一時は10位以下に沈んでいた34号車はセーフティーカー明けに驚くべきペースで順位を上げてきていたのだ。そしてチェッカーは0号車、34号車、88号車の順になった。0号車と34号車との差は0.057秒、34号車と88号車との差は0.008秒と、まさに「鼻の差」で3位表彰台を獲得したのだった。
これまで苦手とされていたスポーツランドSUGOだが、初音ミクGTプロジェクト参戦10年を経て、ようやく表彰台に乗ることができた。また、3位に入ったことでシーズンランキングも6位から大幅アップの3位(2位と同ポイント)に。トップの55号車(ARTA BMW M6 GT3)とは7ポイント差で、レースはあと2戦を残しているので、まったく油断はできない状況ではあるが、チャンピオンシップに絡めているのとそうでないのでは大きな差がある。
今シーズンの前半は苦しい戦いだったが、後半に入りようやく光が見えてきた。前戦富士、そしてSUGOと連続表彰台という良い流れのまま、次戦オートポリス(10月20~21日、大分)に挑む。
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