この連載は日々変化し続ける秋葉原の街の、ちょっとおもしろくて、ほんの少しだけ役に立ちそうな情報を紹介するコーナーです。
集めて塗って遊ぶ オトナの趣味「ミニチュアゲーム」に流行の兆し
以前、この連載で秋葉原周辺のアナログゲーム・ボードゲームを扱うショップをご紹介した際、気になるお店がありました。そのお店はミニチュアゲーム専門店「HOBBY SHOP Arrows」。
実は筆者は囲碁が趣味で、数ヵ月にいちどは知人友人たちとボードゲーム会で卓を囲む程度のアナログゲームファンです。そんな筆者が手を出してこなかったジャンル、それがミニチュアゲーム。一般的なボードゲームとはまた少し趣の違うジャンルで、どうやら最近、じわじわと人気に火が着き始めているらしいのです。
そこで今回は、ミニチュアゲーム専門店「HOBBY SHOP Arrows」へ、仕事半分、興味半分で取材に行ってきました。取材日は週末ということでプレイ会が催されており、なんとも忙しそうな店内。迷惑極まりないなと恐縮していましたが、優しい店長が笑顔で取材に応じてくれました。
【HOBBY SHOP Arrows】
・住所:東京都千代田区外神田6-5-11 長谷川ビル2F(Googleマップリンク)
・営業時間:16時~21時(月・木・金)、11時~20時(土日・祝日)
※金曜日はゲームが遊ばれていた場合に限り最大22時まで延長
・定休日:火/水
もともとホビーショップやミニチュアゲームショップ専門店などに勤めており、5年前に自分のお店を構えたという店長。以前は千葉で営業しており、3年ほど前にここ秋葉原にで「HOBBY SHOP Arrows」を開店したとのこと。長年日本のホビー市場を見てきた店長に、ミニチュアゲームの魅力や遊び方、そして最近のミニチュアゲーム事情など、いろいろとお話を伺いました。
そもそも「ミニチュアゲーム」ってなに?
――ミニチュアゲームとはどのような遊びなのでしょうか?
店長:ひと言で表すと、「集める」「作る」「塗る「遊ぶ」の4つの楽しみが合わさった複合的な趣味なんです。ゲームに使うコマを買って集める、コマを組み立てる、塗装する、そしてでき上がったコマを持ち寄って遊ぶ。楽しめる要素がたくさんある贅沢な遊びなんですよ。みなさんもぜひ遊んでみてください。
──ゲームのルールは?
店長:簡単に説明すると、プレイヤーが持ち寄った小型のフィギュアをコマにして、戦場を再現したフィールドで戦うウォーシミュレーションゲームと思ってもらえばわかりやすいと思います。紙のコマで平面的に遊ぶウォーゲームとの大きな違いは、なんと言っても「立体的なミニチュア(フィギュア)」を使うというところです。
──フィギュアがコマになっているんですね
店長:フィールドにある建物などの障害物も、ただの雰囲気づくりではありません。攻撃する相手との間に障害物があった場合、ちゃんと射線が通っているかどうかを、実際にミニチュアの視線で確認したりするんです。ルールブックで決められた数字で処理するのではなく、大きなコマは実際に障害物に隠れにくい。そういう直感的な「わかりやすさ」が、コマやフィールドが立体的なミニチュアゲームならではの魅力です。
──フィールドに並んでいるミニチュアを見ると、戦場で戦っている様子がよくわかります
店長:似たような感じでミニチュアを使うボードゲームもありますが、大きく違うのは「プレイヤーが持ち寄ったフィギュアをコマにする」点です。箱を開けたら必要な物がすべて入ってるボードゲームに対して、ミニチュアゲームはコマのミニチュアもフィールドも自分たちで用意します。
──コマを用意するとは?
店長:ミニチュアゲームにも各社のいろいろなシリーズがあるのですが、当店ではおもに英ゲームズワークショップ社の「Warhammer 40,000」と「Warhammer Age of Sigmar」の2つを取り扱っています。それぞれ世界設定や物語などが本当に細かく練りこまれていて、その設定に沿ったキャラクターや兵士のミニチュアがたくさん発売されています。
──これ全部がゲームに使えるミニチュア? たくさんあって迷っちゃいますね
店長:初めは誰でも悩むと思いますよ(笑)。でも、単純に自分がカッコイイと思うものを買っていただければいいんです。ただし、ひとつだけ注意が必要です。ミニチュアごとに陣営や勢力が設定されているので、いずれかの陣営なり勢力に揃えないと軍団を編成できないというルールがあります。
──なるほど。それは重要ですね
店長:ですので、まずはひとつの陣営や勢力に絞って買っていくのがよいと思いますね。ミニチュアによってはそれなりに値段がする商品もありますし。いまから始めたいというビギナーの方にオススメな「スターターセット」もあります。
──「スターターセット」ですか?
店長:こちらがWarhammer 40,000とWarhammer Age of Sigmarのビギナー向けスターターセットです。ゲームのルールや世界設定などの読み物、ダイスなどの小物、ミニチュアなどがセットになっています。中に入っているミニチュアの数によって値段の違うパッケージがありますので、お好みで選んでください。ミニチュア自体は、よくあるプラモデルのような感じになってますので、大きな物でも説明書通りに組み立てれば難しくないですよ。
──プラモデルの組み立てはできそうですが、塗装は難しそうです
店長:確かにそういう方は多いですよね。もちろん組み立てただけのミニチュアで遊んでも構いません。「色を塗ってないとダメ」なんてルールはないですからね。でも、実際に塗ってみると簡単ですから、敬遠せずに塗装にもチャレンジしてもらいたいです。
──どのような塗料で塗ればよいのですか?
店長:おもに使われているのが「シタデルカラー」という塗料です。先述の英ゲームズワークショップ社と業務提携のような関係だった会社が販売していた塗料ですね。今は合併したので、言うならば「メーカー推奨塗料」というような位置付けです。実際にミニチュアを塗る際に色のノリもよく、さらに乾きやすいので使いやすいのです。この使いやすさがミニチュアゲームとは関係ない模型ファンの間でも評判になり、その結果ミニチュアゲームの知名度を上げる一因になったんですよ。
──塗料がミニチュアゲームの人気を牽引?
店長:最近のブームの重要な火付け役なのです。プラモデルなどの塗装が苦手だなと思っている方にこそ、いちど使ってみてもらいたいですね。そして塗装の楽しさを知ってもらえたらうれしいです。
2018年のミニチュアゲーム事情
──ゲームのルールや仕組みはわかりました。最近のミニチュアゲームのファンには、どのような方が多いのですか?
店長:ミニチュアごとにお金がかかるという点もあり、もともと年齢層は高めのジャンルだったのですが、最近では興味を持ってくれる若い方も増えてきました。ホビー系の雑誌で取り上げられる機会が増えたのも大きいですね。10年前と比べて、間違いなくお客さんは増えています。
──ミニチュアゲームのどういった点が魅力だと思いますか?
店長:当店で扱っているWarhammerのシリーズは世界観が特に深く、小説やゲームのように追いかけているだけでも十分に楽しいのです。実際に、作ったり遊んだりしないで買い集めてるコレクターの方もいらっしゃいます。ぶっちゃけるとこれもただの趣味ですから、好きなように楽しめばいいと思うのです。集めるだけでも、組み立てるだけでも、いろんな楽しみが詰まった総合的な趣味だからこそ、楽しみ方の幅がある。それが最大の魅力だと思うのです。
──今後どのようなお店にしていきたいですか?
店長:僕らが子どものころにあった「町のおもちゃ屋さん」のようなお店でいたいですね。商品を売るだけの場所ではなく、組み立てたり塗装したり遊んだりする場所を提供して、ユーザー間のコミュニケーションの場でもあるような、そんなお店をやっていこうと思っています。ミニチュアゲームは少々とっつきにくいと感じられる方も多いとは思いますが、色の塗り方なども含めて店が全面的にサポートしますので、まずは気軽に相談してもらえたらなと思います。週末にはイベントもやっています。覗くだけでも結構なので、いつでも気軽に足を運んでください。
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