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衣・食・住と流通の難題を解決するベンチャー8社が集結「StarBurst DemoDay #5」

ファッション業界向けBtoBフリマが、繊維製品の廃棄をなくす

 起業家コミュニティー「StarBurst」を運営するプロトスターは8月24日、日比谷ミッドタウンのBASE Qにて、ピッチイベント「StarBurst DemoDay #5」を開催した。Starburstは、事業化前の起業家と支援者をつなぐ活動を2015年12月より開始。現在までに起業家114社(非公開企業含む)を採択しており、資金調達累計は69.2億円と国内最大級のインキュベーション実績をもつ。DemoDayは、今回で通算5回目の開催となる。

 登壇者は、mellow」「キューヴアイズ」「SPACER(スペースアール)」「Tokyo Hearth」「ウィファブリック」「シューマツワーカー」「souco」「ピーステックラボの8社。各社6分のピッチと2分の全体Q&A、2分の個別フィードバックを行なった。

ランチ難民を解消するフードトラック配車サービス「TLUNCH」

 1社目は、mellow代表取締役の柏谷泰行氏。同社のフードトラック・プラットフォーム「TLUNCH」を紹介した。

 首都圏ではランチ難民を解決する方法としてフードトラックが注目を集めているが、一方で、フードトラックは勝手に路上に停めると道路交通法違反になるため、営業場所の確保が課題でもある。TLUNCHは、こうした両者の問題を解決するため、フードトラック事業者とスペースを提供するビルオーナーとをつなぐサービスだ。日替わりでジャンルの異なるフードトラックを配車することで、ユーザーは飽きないメニューが楽しめる。店側も営業場所の確保や宣伝のコストが省け、調理と接客に集中できるのがメリットだ。

 400社のフードトラックと提携し、約80ヵ所でサービスを展開。1店舗当たりの売上が2016年度から2017年度の1年間で144%アップしたという。

 現在はランチタイムのみだが、今後は、朝・昼・夜の営業へと広げていくという。また、食以外の専門職についても、低コストで手軽に営業できるモビリティサービスを展開していく想定だ。

ランチ難民とフードトラックの営業場所の問題を同時に解決する配車サービス

フードトラックの出店料は売上の15%。うち5%はスペースを提供するビルオーナーへ支払うので、10%がTLUNCHの収益になる

運動量に応じてポイントがたまるアプリ「SPOBY」

 2社目は、キューヴアイズの代表取締役の宮武拓也氏が登壇。運動量に応じて企業からスポンサードしてもらえる健康アプリ「SPOBY」を紹介した。

 SPOBYは、歩数などの運動量を計測し、一定の歩数、イベントや店舗などの特定の場所に行くといった条件を満たすと「ジュエル」を獲得。企業が設定する条件のジュエルを集めると企業とのスポンサーシップが成立し、先行販売や製品体験などの特典が提供される。また、スポンサーシップのウェブニュースを生成し、SNSなどでシェアして、プロスポーツ選手のような体験ができる、といったユニークな機能も用意されている。

 スポンサー企業は、ヘルスケア、スポーツウェア、器具メーカーなどを想定。従来の広告などとは異なり、健康感度の高い消費者へダイレクトにアプローチでき、ユーザー情報の収集にもなるのがメリット。

 ビジネスモデルは、ユーザーの課金はナシ、企業側のイニシャルコストはかからず、スポンサーシップが成立したタイミングで、企業に対して1人当たり500円のマッチングフィーが発生する仕組みだ。

運動量や距離、時間などを記録。ユーザーはゲーム感覚で継続するモチベーションにもなる

企業側がスポンサード条件を設定することで、囲い込みたいユーザーのセグメントが可能

スマホで開け閉めできるロッカー「SPACER」

 3番目の登壇者は、SPACERのCEO田中章仁氏。SPACERは、スマホで開け閉め、モノが受け渡しできるロッカーだ。宅配便の再配達問題の解消策として、不在配達/受け取りができるOPEN型ロッカーが注目されているが、初期コストが200~300万円と高い。また宅配便や通販業者の設置するロッカーは、各事業者の仕様に縛られる傾向があり、汎用性が低いといった問題を抱えている。

 SPACERは、個人宅や店頭など自由に設置でき、スマホアプリで空いているロッカーを探し、荷物を入れたら受取人にカギを共有する。荷物の預け入れは、2時間まで無料、6時間ごとに240円の料金が発生する。近隣であれば、個人間での気軽な荷物の受け渡しができるのもメリット。個人のロッカーとして使うほか、宅配業者、クリーニング、CtoCなどでの用途が想定されている。

 ロッカー本体の導入費用は設置やメンテナンス込みで従来の6分の1程度に抑えられており、商店街など地域への設置は、無料で提供(使用料で回収)するプランも用意。

 3月にはTUTAYAの5店舗に設置し、7月に5台、8月は10台、9月20台、10月30台の設置が決定しているとのこと。今後は、オフィスビル、大学や病院、商店街への導入を進めており、営業代理店を募集中だ。

SPACERのビジネスモデル。使用料からオーナー、地権者、メンテナンス業者と収益を分け合う。受注生産のため在庫リスクがない

国際的な住宅を増やす賃貸プラットフォーム「BeLiving」

 4社目は、Tokyo Hearthの代表取締役社長 紀野知成氏が外国人特化型賃貸プラットフォーム「BeLiving」。不動産業界の抱える問題として、外国人向けの住宅の不足がある。2016年の法務省の統計によると、首都圏の空き室率は34.3%と高いにもかかわらず、39.3%の不動産オーナーは、外国人の入居を断っているという。

 障壁となっているのは、言語や文化の相違、日本の保証人がいない、書面や面談ベース契約などが挙げられる。BeLivingでは、こうした借り手側のニーズとオーナーのミスマッチを解決するサービスだ。多言語による対応、面談、デジタル署名、決済、チャットサポート、保証人の引き受けなど賃貸契約をすべてオンラインで提供。昨年10月よりオンライン賃貸契約サービスを開始し、最短2、3時間で契約を締結できる。

 ビジネスモデルは、従来の不動産ビジネスと同様で、成約したオーナーとユーザーから賃料の1ヵ月ずつを得る方式。現在、300件のシェアハウス、200以上の物件を企画しており、大東建託との実証実験では、築40年の事業ビルをアパート兼コミュニティースペース付き賃貸にしたハイエンドの留学生と社会人向け住宅は、1ヵ月半で満室になったそうだ。

 今後はマッチングだけでなく、売買仲介やメディア事業へも展開していくとのこと。

BeLivingの賃貸物件検索サイト。契約から支払い、保証まですべてオンラインで完結する

繊維製品の廃棄をなくすBtoBフリマ「SMASELL」

 5社目の登壇者は、ウィファブリック代表の福屋 剛氏。繊維・ファッション業界向けのフリマサイト「SMASELL」を紹介した。衣料業界では、世界中で年間228億枚の繊維製品が廃棄されている。こうした不動在庫によって生じる、コスト・時間・環境負担の問題を解決するため、SMASELLは、在庫を処分したい企業と、特価商品を必要とするバイヤーをグローバルにオンラインでマッチング。リアルの売買と同じように、サンプル取り寄せや条件交渉も可能。

 既存の流通では、大手アパレル・商社の在庫は、複数の業者を介して小売店に届いていたが、SMASELLではダイレクトな売買することで、通常の半値以下での売買が可能になるという。

 現在、登録ユーザー数は約1500社。2022年の上場、流通額で65億円を目指している、とのこと。

出品側の手数料は無料。購入者が価格の20%をSMASELLに支払う

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