去るiPhone X、そしてSE:
iPhone SEカタログ落ちを嘆く人たち どれを買えばええんや
ブランドの価値は、愛着のある製品を
使い続けるためのサポートを欠かさないこと
盛田 2018年9月13日、iPhone SEがついにアップルオンラインストアから姿を消しました。iPhone SEがストアで産声をあげた2016年3月31日からおよそ2年半。長いようで短い販売期間でした。
―― まあ、iPhone Xにいたっては1年で販売を止めてしまったので、長生きといえば長生きだったのかもしれません……。
盛田 手のひらにおさまるiPhone SEのサイズ感をこよなく愛するものとしてはこみあげてくるものがありました。あわててiPad mini 4やiPod touchの様子を見に行ってしまった人はわたしの他にもいたのではないかと思います。
―― ワイヤレス充電マット「AirPower」も発表されませんでしたね……。
盛田 わたしの喪失感をよそに、アップルは黒光りする大きくてたくましいiPhone Xシリーズを発表しました。やれビッグだ、やれマックスだとハンバーガーのようなキャッチコピーが躍り、メイク・アメリカ・グレート・アゲインを感じました。手の中の4インチモデルを眺めながら、どちらに進むべきかを立ち止まって考えました。華やかな世界に向かうアップルについていくべきか、あるいは変えるべきか。
―― なんだか国際的な問題を話している雰囲気になってきたな。まあ、世界で販売されているから、グローバルなプロブレムとはいえるのか……? ともかく、軽量コンパクトなSEユーザーなのに、悩みは重量級ですね。
盛田 ITジャーナリスト・松村太郎さんの予想どおり(関連記事:アップル新iPhone発表後「iPhone 8」の価値が高まる理由)、iPhone 8は100ドル値下がりしてくれました。ホームボタンのある4インチ級のiPhoneとして魅力はありますが、それでもiPhone SEの代わりにはなりません。
―― それはまあ、そのとおりです。盛田さんが買うのは、iPhone XSですか、それともiPhone 8?
盛田 いえ、結局わたしはiPhone SEの交換用バッテリーを買うことになりそうだなと思いました。
―― そうきたか。まあ、iPhone SEも、最新版のiOSには対応しているわけですから、アップルがサポートを続けるかぎり寿命が伸びるとはいえる。
盛田 壊れたら修理し、製品の命がつづく限り使っていければいいのではないかという結論です。考えてみれば当然なんですが、数年単位で製品を買い替えるというサイクルに無理にあわせる必要はないのですよね。
―― 一昔前は、iPhoneにかぎらず、スマホは1年以上使うと挙動があやしくなることもありました。でも、なにしろアップルが「1つの機種を長く使える」とアピールしているわけですから、使い続ける姿勢は間違っていないという考えもあります。
盛田 アップルはもはや高級ブランドの1つだと思いますが、ブランドの価値のひとつは、愛着のある製品を長く使い続けるためのサポートを欠かさないことだと思っています。服飾品や自動車などとちがってコンピューターのように寿命が短い製品であっても、できることはおなじではないかと思います。
―― おお、なんだか悟りの境地になってきましたね。アップルはスマホ界における高級ブランドと考えれば、たしかにその言い分にも一理あるような。
盛田 きらびやかな流行を追うこと、愛着のある製品をいつまでも愛し続けること、どちらも等しく選べることがアップルブランドの価値であってほしいと願いながら、Genius Barの予約を入れようと思います。
コンパクトなiPhoneを求める人の明日はどっちだ
今回の発表会を見るに、今後、iPhoneは大型化しても、小型化するムーブメントはないように思えます。アップルがシェア拡大をめざしている中国やヨーロッパなどでは大型端末が人気ですから、コンパクトモデルにこだわる必要はないのかもしれません。
果たして今後、iPhone SEの後継機、あるいは小型のモデルは登場するのでしょうか。答えはアップルのみぞ知るといったところ。いずれにせよ、iPhone XS/XS Maxは9月21日に発売されます。このシリーズの反応によっては、何かが変わる……かもしれません。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります