マウスコンピューターが販売するクリエイター向けパソコンブランド「DAIV」シリーズには、目的に応じて様々な機種を用意しており、ノートパソコンでも同じ画面サイズで複数のラインナップがある。今回は、17.3型という大きめのディスプレーを採用した2モデルを試せた。
試用したのは「NG7510」シリーズと「NG7620」シリーズ。第7世代CPU搭載の前モデルから、最新の第8世代CPUへ変更したバージョンアップモデルだ。まずは、それぞれの簡単な仕様をチェックしてみる。
デスクトップ向けのCPUを搭載するNG7620シリーズ
NG7620シリーズは、ノートパソコンながらデスクトップ向けCPUを搭載しているのが特徴。ベーシックモデルの「DAIV-NG7620E1-S5」は、Core i5-8400(2.8GHz)、GeForce GTX 1080(8GB GDDR5X)、8GBメモリー、512GB SSD(M.2接続)という構成で、29万4624円から購入可能だ。
今回試用したモデルは、Core i7-8700、GeForce GTX 1080(8GB GDDR5X)、16GBメモリー、512GB SSD(M.2接続、起動ドライブ)、1T HDDを搭載する「DAIV-NG7620S1-SH5」で、価格は32万7024円。
本体は前モデルとほぼ同じデザインで、ひとめ見た感じでは変更点はない。発熱の多いCPUを採用しているため、本体サイズはかなり厚めになっており、排熱効果に期待が持てる。今回動作確認している間や、簡単にベンチマークテストを実施したが、ファンは動作するものの、以前のモデルよりも静かになった気がした。また本体もそれほど熱くなるようなことはなかった。
CPUは、ベーシックモデルではCore i5-8400を採用しているが、DAIV-NG7620S1-SH5をはじめCore i7-8700やCore i7-8700Kを搭載するモデルを用意しているほか、BTOでの強化も可能。とにかく早いノートが必要という人にも対応できている。
起動ドライブもベーシックモデルはSATA3接続のM.2 SSDだが、より高速なPCI Express Gen3 x4接続やPCI Express x4接続、NVMe対応のM.2 SSDもカスタマイズ可能だ。メモリーも最大で64GBまで搭載できるので、3D系や動画処理の作業でも安心できる。
キーボードは、一般的なノート型に多い107配列。バックライトLEDはフルカラーに対応しており、付属するユーティリティーで色を変えられる。キーピッチは約18.4mm、ストロークは約2mmと、かなり余裕のあるキーボードだ。打ち心地はかなりしっかりしており、打ち込んだときの剛性感もあり使いやすい。音があまりしないのも気に入った。
ヒンジ付近に大きなスピーカーがあるが、初期起動時のコルタナの声がサラウンドの効いた響きある音声なのはびっくりした。内蔵スピーカーでもかなりいい音が出る。
ノートパソコン向けのCPUを搭載するNG7510シリーズ
もう一台のNG7510シリーズも、従来モデルから最新のCPUに換装したマイナーアップモデルだ。ベーシックモデルは、Core i7-8750H(2.2GHz)、GeForce GTX 1070(8GB GDDR5)、8GBメモリー、240GBSSDを搭載する「DAIV-NG7510E1-S2」。25万1424円から購入可能だ。
試用機は、Core i7-8750H(2.2GHz)、GeForce GTX 1070(8GB GDDR5)、16GBメモリー、512GB SSD(M.2接続、起動ドライブ)、1TB HDDという構成の「DAIV-NG7510S1-SH5」。価格は27万3024円からとなっている。
本体デザインは前モデルとほぼ同じだが、最大の変更点がディスプレーにある。4K表示が可能な17.3型ノングレアディスプレーなのは変わらないが、色域が広がりAdobeRGB比100%に対応するようになった。以前の7500シリーズもコストパフォーマンスは高かったが、表示できる色域の問題でどうしてもカメラマンがメインで運用するは難しかった。しかし、今回のモデルチェンジで写真レタッチが可能になり、メインマシンとしても使えるようになったのはとてもうれしい。
DAIV-NG7510S1-SH5は17.3型なのでサイズはかなり大きいが、発熱を抑えたモバイル用のCPUを搭載している分、薄くて持ち運びやすくなっている。なお、NG7510シリーズのCPUは、Core i7-8750H一択となる。BTOで変更できるのはメモリーとストレージで、メモリーは最大32GBまで強化可能。SSDは、SATA、PCI Express Gen3 x4、PCI Express x4、NVMe接続のSSDが選択可能だ。
薄いのは持ち運びに便利なのだが、動作確認で各種アプリのインストールやセットアップ、簡単なベンチマークソフトを動作させた状態でもキーボード面の左上付近が熱くなった。あくまでも個人的な感覚だが、CPU性能が上がった分、以前の従来モデルよりも温度は高くなるように感じた。とくに、数字の1から4あたりのキー、F1からF4あたりのキーの縁は結構な温度を感じた。
こちらもノート型でよくみる107配列のキーボード。フルキーとテンキーの隙間がほぼないのは少々残念だ。私はテンキー付きのノートパソコンの場合は、タイプミスを減らすため、アプリを使ってテンキー側をすべて無効化している。キーピッチは約18mm、ストロークは約1.8mm。バックライト機能は備えているが、色は白のみの単色となっている。
従来モデルも試用した経験があり打ち心地は慣れているというのもあるが、本体が薄いわりに押し込んでも剛性を感じる。しっかりした作りで、長時間の文字入力でも苦にならない。NG7620シリーズにもいえることで、右のシフトキーがかなり小さいため使うときにちょっと気をつける必要があるが、基本的には使いやすいキーボードだ。
カメラマン目線で2台をチェック
どちらもAdobeRGB比100%を実現
カメラマン目線が中心になるが、セットアップを行ない、自分の使いやすい環境を構築し、手始めにアプリの動作確認などした際の、この2台の使い勝手をチェックしてみた。
2台ともに17.3型と大きなディスプレーを備え、ともに4K表示、AdobeRGB比100%に対応した色域表示性能を持っている。表面はノングレア処理が施されているので、屋外での視認性も高い。
インターフェースの数に多少の差はあるものの、どちらも十分な数は用意されており、外部機器との接続も心配は少ない。4つのUSB 3.0端子とThunderbolt 3対応のUSB 3.1(Type-)端子があるので、外部ストレージとの接続も問題はないだろう。
メモリーはNG7510シリーズが32GBまで、NG7620シリーズが64GBまで搭載可能。とりあえず写真処理なら32GBでもそうそう困らないが、メモリー容量は多くないとだめという人は、NG7620シリーズを選択したほうがいい。
この2台を運用するにあたって、一番の問題はその大きさと重さだ。接地面積はディスプレーサイズが同じなのでさほど差はないが、いざ持ち歩くとなった場合に約4.4Kgと約3.0kgではかなり差がある。また、厚みの違いでNG7620シリーズは持ち運ぶ際の収納するケースにも困るかもしれない。ただし、どちらにしろいつも持ち運ぶマシンとしては厳しく、必要なときに持っていく程度になるだろう。
それでも、外のスタジオやロケなどの撮影のおともや、納品や確認、デモなど、必要なときだけ持ち出して使うだけでも十分ノート型である恩恵は受けられる。加えて、従来モデルのNG7500シリーズではディスプレーの色域表示の問題で最終確認をするには心もとなかったが、今回のNG7510シリーズならNG7620シリーズ同様、その場で確認して納品といった工程ができるのはうれしい。
従来のNG7500シリーズの最大のネックだった色域性能がクリアされ、実用性が大幅に上がったNG7510シリーズと、最新のデスクトップ用CPUを採用し最大限のパフォーマンスを発揮できるNG7620シリーズ。次回は、CPU+GPUの差でどれだけ使い勝手が変わるのか、ベンチマークテストや実際にPhotoshopやLightroomで作業しながらチェックしていく。
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