対談・Planetway CEO 平尾憲映× アクセンチュア アクセンチュア・デジタル・ハブ統括 マネジング・ディレクター 保科学世 第3回
「ユーザー」はもっと尊重されなければならない:プラネットクロスとAI HUBの共通思想
外資系コンサル大手のアクセンチュアは2018年1月に、複数のAIエンジンを一元管理できる「AI HUB プラットフォーム」を発表した。複数のAIエンジンから最適なエンジンを自在に組み合わせることができ、人間のオペレーターとの協調も可能にするプラットフォームだ。このAI HUBのセキュリティ性能を大きく向上させているのが、企業間のセキュアな情報連携基盤プラネットクロスを提供するスタートアップ、 プラネットウェイだ。パブリックなAPIとして提供される事が多いAIエンジンと、社内にあるデータや顧客データを組み合わせてサービスを提供する際、情報漏えいを防ぐために同社の「プラネットクロス」を使っている。外資系大手と気鋭のスタートアップ。両者が組むことになった理由を解き明かす。(全3回)
Speaker:
プラネットウェイ 代表取締役CEO
平尾憲映
アクセンチュア
デジタルコンサルティング本部
アクセンチュア・デジタル・ハブ統括
マネジング・ディレクター
保科学世
ある会社のAIエンジンを使ったことで
別のエンジンが選べなくなってしまったら意味がない
── 平尾さんはサービスを通じて「個人に主権を取り戻す」と掲げていますね。
平尾 インターネットを本来あるべき姿に戻すという思いがあるんですよ。
もともとインターネットは中立で、どこの誰が、どういう情報を流したか分かる形でつくられていたのに、世界的なプラットフォーマーと言われる企業などが中央集権的な力をもったことで、それがなくなってしまった。ここ20年、これらの企業が提供するプラットフォーム上で戦うようなスタートアップしか出てきていませんが、それはイノベーションを止めていることにもつながっていると思うんですよ。
プラネットクロスはそれを超える力を秘めていますが、ユースケースやメリットがないと普及しません。それがAI HUBと組み合わさることで、個人にも普及することができると思うんです。そしてインターネットを本来あるべき姿に戻すことができる。必然でありこれ以上の組み合わせはないと思っています。
保科 サービスを使う側からすると、どこかの会社のためのサービスというより、ユーザーのためのサービスであってほしいですよね。ユーザーというのは、個人であっても企業であってもそうです。
その意味で、AI HUBでは特定の技術に縛られることなく、いろんな技術を選択できる柔軟性を備えたプラットフォームだと思います。
アクセンチュアでは、自社がどれだけAIを使いこなしているかを示す「AIQ(人工知能指数)」という指標を発表しています。AIサービスをいかに使いこなすかによって企業の成長度合いは変わってきます。自社で使いこなしたり、AI関連技術開発を行うことはもちろん大事ですが、さらに自社だけの取り組みにとどまることなく、AI関連の技術・サービス開発のために、他社との協業を積極的に行うことによって、企業は圧倒的な成長を示します。そのときある会社のAIエンジンを使ったことで別のエンジンが選べなくなってしまったら意味がないですよね。
そしてAIサービスを作る上でプラネットIDも重要な役割を担ってくれるでしょう。この組み合わせは、企業がAIを活用する枠組みとしてなくてはならないものだと思います。
平尾 プラネットIDはまだプロトタイプですが、個人が自分のデータを管理する上では非常に大事です。
僕には、将来的な個人情報管理IDの理想像があります。その前段階として、いまアプリに頼らなくても人間と一体化したIDをR&Dで作りはじめているんです。その人の存在自体がIDになるという考え方ですね。まずはインプラント(皮膚にID識別用のチップを埋め込む方法)からはじめていますが、ぼくはそこに無茶な要望として、最終的に「脳につないでほしい」といっています。
いきなり最初から「脳につながるID」といってもダメなので、まずは、個人が自分のデータを誰に出すのかを今ある情報端末上から自分で選べるようにする。それを体感してもらったあとに、そういう世界がくるという話にしたい。
それもまずプラネットIDを使ったメリットとユースケースが普及しないといけない。その意味でもAI HUBは、業界を横ぐしで刺していけるようなソリューションになっていくんじゃないかと。
保科 AI HUBなら特定のアルゴリズムにひっぱられることなく、業界を超えてデータを幅広く集められるのもポイントです。平尾さんが考えている、世界レベルの展開とうまく連携できればと思います。
(了)
(提供:プラネットウェイ)
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