macOSに採用されるダークモード
UIが黒くなっても、ウェブは白いまま
macOS Mojaveはこの秋に登場する予定ですが、エンジニア待望の「ダークモード」が搭載されます。この機能は、基本インターフェイスの背景色を白から黒にし、ぐっと抑えたデスクトップを実現するもので、WWDC 2018で発表された際には、詰めかけた聴衆からの喝采を浴びていました。
Appleは暗いデスクトップのテーマによって、目への刺激が軽減され、コンテンツにより集中できると紹介しています。
この目の刺激については、スマートフォンにも効果的ではないか、と思いました。夕方から夜にかけて、あるいは寝しなにスマートフォンで白い背景でコンテンツを見ていると、1日の疲れもあって、ディスプレイを見ているのが嫌になってくることがあります。
黒い背景だと、光っている面積が小さくなることもあって、刺激が少し軽減されるような気がします。もちろん、黒背景でも輝度が高いと、文字ですら刺激的に見えてしまうかもしれませんが。
その一方で、macOS Mojaveではダークモードの一貫性の問題もあります。いくら標準アプリでダークモードによって暗い背景を実現しても、ウェブブラウザでニュースなどを見ようとすると、途端に白い背景の領域が広がります。
AppleはいくらOSがダークモードでも、表示する色が指定されているウェブページの配色を勝手に変更しないため、白いまま表示されてしまうわけです。Macにもアプリによるコンテンツ表示があり、エディタのUlyssesやRSSリーダーのReeder 3をダークモードに設定しておけば、そうした違和感がありません。
今後、コンテンツの背景も黒くなるか
コンテンツにおける「正しい色の再現」の問題はありますが、ディスプレイのテクノロジーの変化は、より効率的な背景色を決めて行くことになります。有機ELディスプレイやその延長にあるテクノロジーを使っていくなら、やはり黒い背景が省電力性に優れる、というわけです。
iPhone Xは現在1台しかありませんが、秋にラインアップが増えてくると、有機ELディスプレイに適した「ダークモード」が、macOS Mojaveのように導入されるのかもしれません。そのダークモードにアプリが連動する仕組みを取り入れると、現在は個別設定だった各アプリでいちいち設定を変えなくても、一貫性のある画面表示が実現可能になるでしょう。
背景は白か黒か、という紙が登場して以来の当たり前は、これから変化していくことになりそうです。何が見やすいと感じるのかについても、人は柔軟に変化していくのかもしれません。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
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