週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Xアイコン
  • RSSフィード

ブロックチェーン活用 富士通、AWSの新規事業開発

2018年07月18日 07時00分更新

こんにちは。株式会社アドライトの木村です。私たちはオープンイノベーションのマッチングから事業化まで一気通貫で支援のほか、新規事業の開発支援、国内外スタートアップの育成支援などを手がけています。今回は、2018年6月6日に開催した「Mirai Salon#8―ブロックチェーンによる新規事業開発」の内容を一部ご紹介いたします。

 経済産業省による試算によると、67兆円の市場規模があるとされているブロックチェーン。今回は、ブロックチェーン技術を活用してビジネス展開を考える4社をお招きし、新規事業開発に至った背景や活用事例を伺いました。

 問題を解決すべく、従来型の中央集中管理型から信頼でつながる分散共有型への移行を提案しているのが富士通です。

ブロックチェーンで加速する異業種共創

 今回のイベントの登壇者の1人、富士通の池田氏は日本企業のビッグデータ流通を阻む問題を「データが出せない」、「アイデアが出せない」、「世の中に出せない」の3つに分類し、説明しました。

 「企業機密や個人情報を出せないのであれば、その概要をブロックチェーンで管理・共有すればいい」

 そうして生まれた「Virtuora DX データ流用・利活用サービス」は、利用者が「どんなデータか」、「データはどこにあるか」、「だれに公開するか・したくないか」をブロックチェーンに登録。共有されたメタデータは、データを必要とする利用者の下へ転送され、「データを出せる」ようになるというデータ流通を実現。

富士通 ネットワークソリューション事業本部 サービスビジネス事業部 シニアマネージャー 池田栄次氏

 しかし、二進数でしかないデータでは「人が読んで発想できず、アイデアソースという問題が解決できません」(池田氏)。これを解決すべく、東京大学・大澤教授のメソッド「人が読んでわかる形でデータ概要を書く」仕組みを取り入れています。さらに、その先のアイデアを結びつけ、新たなサービスを生み出す手助けをするシステムも導入。認証局が立つ、コンソーシアム型のブロックチェーンを使用することで、異業種間での安全なデータの共有も可能にしています。

 つまり、従来の『出せない問題』を一気に解決する仕組みを開発したのです。富士通は、このシステムを用いて世界に溢れる魅力的なデータを有効活用、アイデアの創造に一役買うことを願っています。

 この事業を通し、沢山の「気づき」が得られたと池田氏は述べます。

 「市場との接点が早期に得られたのは重要だった」。これにより、ニーズに合った製品を作ることができ、今までとは違った風を吹かせることができたようです。

 「いかに遠くのゴールを共有するか。それによって可能性が広がる」

 点として存在していたビッグデータを流通で異業種共創という面を実現した同社の功績は計り知れません。

ブロックチェーンに対するAWSの姿勢

 アマゾン ウェブ サービス ジャパン(以下、AWS)塚田氏の所属するソリューションアーキテクトは、お客様を技術的に支援する役割。グローバル共通をコンセプトにする同社はブロックチェーンにおいても似たスタンスをとっています。

 「ワークロードやインダストリーを限定せず、幅広いお客様のブロックチェーンの基盤をサポートし、それが安定して運用できるように支援していく」

アマゾン ウェブ サービス ジャパン ソリューションアーキテクト 塚田朗弘氏

 そんなAWSは、「ブロックチェーンパートナーズポータル」と「ブロックチェーンテンプレート」という2つのサポートを行なっています。前者は「パートナーのソリューションをポータルとしてまとめてすぐにでも使えるように」し、アプリケーション、ソフトウェア、解決策などをユーザーで助けあうかたちをとっています。

 後者はブロックチェーンネットワークを手作業でセットアップすることやミスなく短時間での構築を可能に。TMOBILE、Bank of EnglandやConsenSysなどのサポートや共同の実証実験を行なったことを事例として紹介してくれました。

 「ブロックチェーンの基盤はどこのクラウドに持っているとか関係ない。そうじゃないとブロックチェーンではない」と塚田氏は語ります。

 必要不可欠なEC2のサーバやネットワークセキュリティーなどの地引を大切にAWSはカスタマーの援助を行なっていくようです。

木村忠昭(アドライト)

著者近影 木村忠昭

株式会社アドライト 代表取締役CEO。
大学院卒業後、大手監査法人に入社し、株式公開支援業務に従事。2008年、イノベーション共創を手掛ける株式会社アドライトを創業。合わせて国内スタートアップ企業へ社外役員就任によるハンズオン支援を行い、うち5社(ユーグレナ、じげん、クラウドワークス、エスエルディー、マネーフォワード)が上場を果たす。
アジアやアメリカの海外スタートアップ企業の支援にも積極的で、これまでに20社以上の投資育成を行いうち3社が買収される。これら国内外スタートアップの知見やネットワークを活かし、大手企業のオープンイノベーションにおける一気通貫での事業化支援を得意とする。
主要な国立/私立大学との産学連携プロジェクトの支援実績も豊富。東京大学経済学部経済学科、東京大学大学院経済学研究科修士課程卒業。
株式会社アドライト(addlight Inc.)は、イノベーション創造支援会社としてオープンイノベーションのマッチングから事業化まで一気通貫でご支援のほか、新規事業開発支援、国内外のスタートアップの育成等支援。

■お知らせ

本セミナーについて、登壇者のお話やパネルディスカッション、オーディエンスからの質疑応答などについては、弊社運営メディア「addlight journal」でもお届けしております。併せてお楽しみいただけますと幸いです。

 「世界のブロックチェーン活用事例レポート」カオスマップ付き好評販売中! 2017年以降、世界ではICO(ブロックチェーンビジネスの主な資金調達手段)による資金調達がVCラウンドの3.5倍となりましたが、(出典:TechCrunch, 2018 VC Investment Into Crypto Startups Set To Surpass 2017 Tally)単に資金調達のしやすさよりもICOの持つ可能性を探るためにあえて選択していることが伺えます。一方で詐欺まがいのような残念なニュースも聞こえてきますが、当レポートで取り上げているベンチャーは、PoC(Proof of Concept:コンセプト検証)に取り組むアメリカ、ヨーロッパ(イギリス、フランス、ドイツ)、アジア(中国、シンガポール)を中心としています。加えて、「大企業との実証実験の実績がある」「著名ベンチャーキャピタリストやメンターが関わっている」「幅広くテクノロジー業界に注目されている」のように、信頼性高く、ベンチャーとしての可能性も秘めている企業のみ集めております。ブロックチェーン活用のご相談を多くちょうだいするなか、大手企業の新規事業を支援をする会社としてよりよい取り入れ方を伝える責任があると思い、本レポートを作成する運びとなりました。提供サービスや業界別プレイヤーマップ(カオスマップ)等通じて、ブロックチェーンの今と活かし方が分かります。なお、オプションサービスとして、本レポートをベースにした報告会や、貴社でのブロックチェーン活用による事業開発のディスカッションも承っております。また、サンプルもご提供しております。

購入・お問い合わせURL
https://www.addlight.co.jp/news/blockchainreport201806/

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事