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公取委、4年縛りや契約自動更新など、現状の携帯電話の競争環境に指摘

2018年06月29日 09時00分更新

 公正取引委員会は、「携帯電話市場の競争政策上の課題について」と題した調査結果を公表した。これは2016年の同様の調査をフォローアップしたもので、各事業者にヒアリングするとともに有識者による意見交換会での内容をまとめている。

 本調査で課題として取り上げられたのは「通信と端末のセット販売」「2年縛り+自動更新付き契約」「端末の下取りや同内容のプログラムの再度の加入を前提とした、実質的な4年縛り」「SIMロック」「その他、解約時のスイッチングコスト」「中古端末の流通」の6点になる。

 この中でも2016年の調査以降に、新たに市場で導入されるようになったのが、au/ソフトバンクが開始した、いわゆる「4年縛り」だ。両社のプログラムは端末代金を48回割賦払いとし、高額な端末の月々の支払を低く抑えると同時に、2年後に機種変更して、それまで使っていた端末を下取りに出すことで、残りの残債を免除してくれるというものだ。

 しかし、これらのプログラムは、同じキャリアの同様のプログラムに再度加入することが前提となっている。かといって、もし2年後に異なるキャリアに移行しようとしても、残債である端末代金の半額分を一括で清算する必要があるなど、他の通信会社への乗り換えが困難であり、消費者の選択権を事実上奪っている可能性を指摘する。

 また店員の説明の仕方次第では、「あたかも端末を半額で購入できるような印象を与えているとも考えられる」「利用者がプログラムのメリット・デメリットを正確に理解しないままに契約してしまうおそれ」があり、景品表示法上の問題になる可能性を示唆する。

 続いて厳しい言葉が見られるのは「2年縛り+自動更新付き契約」。3キャリアは2016年に、最初の2年契約経過後はいつでも契約解除料の支払いはなしに解約できる新たなプランを導入したが、auとソフトバンクでは、その新たなプランは2年契約が自動で更新されるプランと比べ、月300円高い料金が設定されており、「そもそも消費者にとって、実質的な選択肢として機能するプランとなっていない」と明言されている。

 SIMロックについても、現在は一括購入で即日、分割購入でも100日程度で可能となったが、そもそも盗難防止というキャリア側の都合でSIMロックを設定することに、「合理的な説明がつくとは考えにくい」とし、また中古端末のSIMロック解除に応じていないことは、中古市場の流通が成長していくうえでのリスク要因になっていると見る。そもそもSIMロック解除がキャリア側の事情によるものなのであれば、要件が満たされた場合にはキャリアみずからSIMロックを解除するのが望ましいとしている。

 今回の報告書には、このほかにもいくつかの要点があるが、大手3キャリアが90%のシェアを占める携帯電話市場を「競争が十分ではない状況」と見ており、現在の携帯電話業界では当たり前になっているモデルについても、厳しい視点で指摘している。今後のキャリア側の対応に注目が集まりそうだ。


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