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SATA版Extreme Pro&HDDとPCゲームや動画編集でベンチマーク

“エキプロ”伝説再び、SanDisk Extreme Pro M.2 NVMe 3D SSDのストロングポイント

2018年06月26日 20時15分更新

ゲームやアプリ起動時間ではSATA版との差は微妙?

 それではゲームやアプリの起動時間を比較してみよう。まず最初に「ファイナルファンタジーXIV:紅蓮のリベレーター」公式ベンチマーク(以下、FF14ベンチ)実行時に表示される“ローディングタイム”を比較する。SATA版と比較して、NVMe版Extreme Proはレスポンス向上を期待できるのだろうか?

FF14ベンチによるローディングタイムの比較。

 HDDで約27秒かかっていたのがSATA版Extreme Proで17秒台に大幅短縮され、NVMe版Extreme Proになると13秒台にまで高速化した。SATA版Extreme Pro(というよりSATA SSD全般)ユーザーがNVMe版Extreme Proに乗り換えてもその差は体感できるだろうが、HDDユーザーが乗り換えると劇的な差となるだろう。

 しかし、FF14ベンチはあくまでベンチマーク用ツールなので、実ゲームにおける状況を再現できるとは言い難い。そこで、「ファークライ5」の起動時間も比較してみた。ここでの起動時間とは、デスクトップ上でゲームのアイコンをダブルクリックし、ファークライ5のメインメニューが出るまでの時間とする。途中出現する注意書きやムービー類はEsc連打でスキップしている。このテストもファイルコピーと同様の手法で計測・比較する。また、画質は“最高”、解像度はフルHDに設定している。

「ファークライ5」の起動時間。

 FF14ベンチに比べると、SATA版Extreme ProとNVMe版Extreme Proの差が縮まっているどころか、微妙に長くなっている。つまり、誤差の範囲内だ。FF14ベンチは“ベンチマークツール的挙動”であり、ファークライ5に限らず実ゲームではだいたいこんな感じになる。しかしながら、HDDからは14秒程度の短縮を実現しており、やはりHDDからの乗り換えにおいては非常に有効であることがわかる。

 今度はAdobeの動画編集用アプリ「Premiere Pro CC 2018」の起動時間を比べてみよう。アプリを起動し“開くプロジェクト選択”ダイアログが出るまでの時間を計測する。こちらもファイルコピーと同様の計測手法を使っている。

「Premiere Pro CC 2018」の起動時間。

 Adobe系のアプリは起動時に細かいファイルを山のように読み込むため、HDD環境では起動が特に遅い。ただこのテストにおいてもNVMe版とSATA版のExtreme Proに差らしい差は認められなかった。

 以上のことをまとめると、アプリの起動時間に関してはSATA版と大差はない。HDDが起動ドライブであれば、NVMeベースのシステムに更新することで目覚ましい体感速度の向上を実感できるが、すでにSATA SSDを使っているのであればその差は体感しづらいだろう。ただし、ファイルコピー速度はSATA SSDに比べると格段に速くなるため、巨大なファイルを編集・操作する人なら乗り換えるべきメリットは大いにある。

動画編集ではSATA SSDに対して明確なメリットを確認

 NVMe版Extreme Proはファイルコピー以外ではSATA SSDに対するアドバンテージが実感しにくい。これは数々のベンチマークから明らかだ。しかしながら、ストレージの速さが影響を及ぼすPC作業はほかにもある。例えば、動画編集時におけるプレビュー再生などである。

 そこで今回は、Premiere Pro CC上で動画編集を行なう際のパフォーマンスについてもテストしてみた。4枚の動画をひとつのシーケンス上に貼り付け、それを再生する時のコマ落ち感を見るというものである。

 ソースとなる動画は2種類用意した。まず1つめは4種類のPCゲームを遊んだ時の動画をフルHD&60fps(GeForce ExperienceのShadowPlayビットレート設定は50Mbps)でキャプチャーし、それをそれぞれ50%縮小しつつフルHDのシーケンス上に貼り付けたもの。そして、もうひとつはiPhone 8 Plusで撮影した4K&60fps動画を4本、8Kのシーケンスに貼り付けたものだ。

 これをPremiere Pro CC 2018上で再生し、再生クオリティーを目視で比較する。ただしシーケンスに対する事前レンダリングは行なわない。動画を取り込み、シーケンス上に配置しただけの状態で違いが出るかを見るのが今回の目的である。

PUBGやOverwatchなど、フルHDでキャプチャーしたPCゲーム動画4本をフルHDにまとめた……という想定のテスト。4本の動画が淀みなく再生できるかをチェックする。

iPhone 8 Plusで撮影した4K動画を4本並べた8K動画編集環境を想定したテスト。フルHD16本ぶんの面積だが、ゲーム動画と違いは出るのだろうか。

 まずフルHD×4の動画に関しては、どのストレージ環境でもまったく問題なく再生できた。フルHD4本程度の再生では、HDDでも苦にならないのだ。ちなみに再生時にストレージから読み出されるデータ量は多い時で毎秒30MB。HDDでも十分対応できる量だ。

 しかし、4K×4の動画では様子が違う。まずHDDは再生ボタンを押した直後に一瞬フリーズし、半呼吸遅れて再生が始まるが再生クオリティーはコマ落ちが酷く見られたものではない。SATAとNVMeも最終的にはコマ落ちするが、NVMe版Extreme ProのほうがSATA版よりも粘ってくれる。NVMe版Extreme Proは最後まで滑らかでした……という結末にならなかったのは残念だが、SATA版に対してしっかりと強みを発揮できたのは収穫と言えるだろう。

4K×4の再生時はCPU占有率が85~100%程度になる。再生がカクつくのはCPUがボトルネックになっているようだ。

 なお、Premiere Proを使い慣れていれば、「なぜ事前レンダリングをしないのか?」と突っ込みたくなることだろう。実際に8Kテストでも事前レンダリングをすればどの環境でも滑らかに再生できる。何より事前レンダリングしてしまえば、スクラブ再生も機敏に実行できる。そういう意味では実際の動画編集環境を想定したテストであるとは言いがたい。

 ただし、事前レンダリングも動画編集において時間がかかる工程だ。今回の8K環境に張り込んだ4K動画は1分程度だが、その短い動画でも6コア/12スレッドのCore i7-8086Kがフルで動いて3分程度かかった。動画の尺が長くなるほど事前レンダリングにかかる時間も長くなるので、編集工程においてパッと張ってスッと見られるのはアドバンテージであると言える。

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