週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Xアイコン
  • RSSフィード

MyFitnessPalはなぜグローバル1.5億人にまで広がったのか?

 世界的にフィットネスがブームです。

 グローバル化した経済が人々の生活水準を押し上げ、基本的欲求が満たされるようになると、美容や健康に意識が向くようです。

 聞いたこともないような名前の成分を含んだサプリメントや奇をてらったダイエット方法が毎週のように登場し、ジョギングが良いかと思えば筋トレのほうが良いとか、いや筋肉ではなく骨を鍛えるのだ……などなど、情報の洪水に流されて、何が正しいのかわかりにくくなっています。

 しかし昨今、フィットネス系YouTuberと呼ばれる人たちが登録者数を伸ばしていて、彼らが説得力のある肉体美を見せながら、どういうライフスタイルを送っているのかが見えるようになってくると、結局は古き良きカロリー計算とトレーニングの継続が重要なのだというコンセンサスが浮かび上がってきました。

550万もの登録者数を持つ「ATHLEAN-X」ほか、多数の人気人気フィットネス系YouTuberがいる

 そんなフィットネス系YouTuberによく紹介されているのが「MyFitnessPal」というアプリです。カロリー計算機・食事&運動トラッカーとして古くから存在し、無料版でも十分に使える懐の深さと、その使い勝手の良さで多くのユーザーを獲得しています。2018年3月に起きたデータ漏洩事件で、約1.5億件ものユーザーアカウントがあることが判明しました。

 とくに、長年かけてユーザの投稿によって構築されてきた400万件以上という大量の食品データベースは圧巻です。

 朝食・昼食・夕食・スナックと分けて食べたものを記録していくのですが、多くの食品がすでに登録されており、食品パッケージの裏にあるバーコードをアプリでピッとスキャンするだけで、カロリー、タンパク質・脂質・炭水化物のグラム数などが自動入力されます。チェーン系のお店やコンビニ食材はたいてい登録済みのようです。

 たとえば昨日の私の食事はこんな感じです。

 私自身は、4月~9月は減量期、10月~3月は増量期と1年を大きく2つのフェーズに分けてトレーニングをしていますが、現在は減量期なので目標カロリーは1590kcalです。昨日は154kcalほどオーバーしましたが、2200kcalを超えなければ体重が増えることはないので許容範囲です。タンパク質は65kgの体重に対して122gとれているので、文句なしです。野菜はカロリーへの影響が少ないので入力していません。

 過去1年間の体重の推移はこのような感じです。

 去年の夏の57kgから68kgまでほぼ計画通り増量できています。減量期の現状ペースがこのまま続けられれば、3ヵ月後には体重があと5~6kg減っているはずです。

 維持カロリーからマイナス500~600kcalの日々を積み重ねれば月に2kgづつ減っていくので、ほとんど空腹感を感じることなく継続できるのですが、逆にいうと空腹感という手がかりがないために、本当に目標数値に近いのかどうか感覚的にわかりません。

 そこで、このアプリを使って口に入れたものすべてのカロリーを計算すれば、今日は200kcal多く食べ過ぎちゃったから明日ちょっと減らそうとか、今日はまだ150kcal余裕があるから特に空腹感はないけどプロテインでも飲んでおこうとか、一週間ぐらいの大きなサイクルで辻褄をあわせられます。

 このアプリの利便性が理解されるにつれ、フィットネス系YouTuberやブロガーからどんどん世界中で普及していき、2014年に日本語対応してからは日本でも標準的なアプリとしての地位を得るまでになりました。ちなみに、2015年にはUnder Armourが4億7500万ドルで買収しています。

 筆者が住んでいたアメリカでは、いわゆる「意識高い系」に限らず、このようなアプリで食事管理をしている人は多く、身の回りにも普通にいる印象でした。しかし日本ではまだまだフィットネスに詳しい一部の層だけが使っていて、多くの人は正しい知識をもたずに計画性のないダイエットをやっては失敗を繰り返していると感じます。

 やはり、正しい知識を広めるために必要なのは成功体験でしょう。カロリー計算は、面白いぐらい理論通りの結果が出るので楽しいですよ。

 あなたも一足先に、王道のカロリー管理によるダイエットを始めませんか。

筆者紹介─江島健太郎

著者近影 江島健太郎

フルスタック・エンジニア。オラクル、インフォテリアを経て渡米、パンカクにてiOS全米ランキングトップ5に入るアプリを開発後、マッチングアプリのEast Meet Eastを創業。現在は日本にてDumper.io創業。京都大学工学部卒。趣味はワークアウトとQuora。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この特集の記事