医療ソーシャルワーカーの退院調整支援サービス「KURASERU」(クラセル)は電話とFAXだけの生産性の低い現場の課題を解決するツールだ。医療ソーシャルワーカーが、退院支援の際に在宅復帰が困難な方に人に対して、エリア、月額利用金額、医療処置の範囲などのニーズを打ち込むことで、最適な介護施設情報を瞬時に検索できる。
サービスを展開するKURASERU社は、神戸市主催の「KOBE Global Startup Gateway」に採択され、スタートアップ支援を受けた事業だ。在宅療養が困難な患者と介護施設をマッチングし、医療ソーシャルワーカーの退院調整を支援している。
「病院・介護施設・在宅療養支援事業所の連携を可能とする医療情報のプラットフォーム」として、患者を適材適所の場所へ誘導。ミッションでもある「誰もが暮らしたい場所でクラセル」世界を目指す。
6月11日には、500 Startups Japanを引受先とする第三者割当増資により、5千万円の資金調達を実施したと発表。神戸発のスタートアップとして、これまで地元を中心にテスト的に有料展開を行っていたが、このたびの資金調達に合わせて無料での利用展開を開始した。初期費用・施設情報の掲載から、資料請求・見学までが0円となっている。
今回調達した資金を元に、開発の強化と、神戸を拠点とした全国へ普及を図る予定だという。
医療ソーシャルワーカーとは、患者やその家族の解決・調整を援助し、社会復帰の促進を図る専門職。医療的な知識に特化して社会と個人をつなぐ知識などをもっており、たとえば入退院での手続きをサポートする役目を持つ。
だが、退院患者の受け入れ先施設を探すために、地域によっては数十件も直接電話をしてスクリーニングをかけなければ、どこに施設に空きがあるかわからないなど、現場での負荷も当たり前となっているという。「医療現場からの意見としては、すべてスクリーニングかけないとNOだとわからない。みんな大変だと思ってることだけど、解決方法わからなかった」と自身も医師でありMSW(Medical Social Worker)だった河原代表は語る。
将来的には、病床数が減っていくなかで、在宅介護も受け入れていかないといけない事情がある。そんなとき、マッチングが最適化されることで、患者だけでなく、病院・介護施設すべてにとってメリットが出せる目論見があるようだ。
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