バリュートレードは5月30日、Nuheara(ニューヒエラ)の完全独立型イヤフォン2製品の国内販売を開始すると発表した。「IQbuds」が3万9880円(税抜)で6月末発売、パーソナライズ機能も付いた「IQbuds BOOST」が5万8800円(税抜)で8月末発売。蔦屋家電のほか量販店、オンラインストアで販売する。
いずれも本体にBAドライバーを1基搭載。左右の通信にはNFMIを使用する。BOOSTは「EarID」というパーソナライズ機能とaptX LowLatencyコーデックへの対応、コンプライ製の低反発イヤーチップ(T160)が付属する点などが異なる。重量はともに約8g。バッテリー駆動時間は聴覚補助だけであれば8時間ほど。3回充電できるバッテリーケースはサイズ97×47×34㎜で重量は72g。IQbudsを3回充電でき、最大16時間の音楽再生が可能だという。
Nuhearaは、オーストラリアに拠点を置くブランド。デジタル信号処理やアコースティックなど各分野を専攻した博士号を持つスタッフが7名いるそうで、15年ほど前から、業務用ヘッドセットの開発などに取り組んできた。欧米ではメジャーなブランドで、IQbudsは2017年1月の海外発売。約1500のリアル店舗で入手可能で、電化製品を扱う量販店だけでなく、補聴器を扱っている店、薬局やメガネ店なども含まれるという。
日本をはじめとしたアジア市場への参入はこれからだが、バリュートレードとの関係を皮切りにしつつ本格的な参入を計画している。来日したNuhearaのCEOによると「ゲームチェンジャーを自負するブランド」だという。一般的な音楽用のヘッドフォンが担ってきた領域だけでなく、耳の聞こえが悪くなってきた人が快適に音楽を楽しめるようにするのも狙いだ。補聴器を実際に買えば数十万円するが、「それに匹敵する機能を手ごろな価格で提供したい」と考えているそうだ。
海外発売済みの商品としては「IQbuds」と「IQbuds BOOST」のほかに、2018年の第4四半期投入予定の「Live IQ」がある。Live IQは199ドルの価格で、ダイナミック型ドライバーとアクティブノイズキャンセリング(ANC)機能を付けたモデル。フィードバック/フィードフォワードの2種類のマイクを内蔵した高精度なANC機能を提供するのは世界初とのこと(ソニーのWF-1000Xはマイク1個)。
IQbudsシリーズの特徴は「SINC」という外音取り込み機能だ。騒がしい環境でも周囲にいる人の声を聞きながら、音楽も楽しめる製品だという。マイクで取り込んだ、周囲のノイズと会話のバランスを取って声だけを伝えるため、高齢になり雑踏では人の声を聞き分けにくくなった人などでも有利だという。再生プロファイルはスマホアプリで選ぶ仕組み。声だけを拾って聞こえるようにするモードも付いている。
IQbuds BOOSTは補聴器市場にも寄った新しいカテゴリーの製品。パーソナライズ機能の「EarID」を持ち、聴力に難があるひとでも音楽を楽しめる製品を目指している。日本でも人口のうち2000万人程度は何らかの聴こえにくさを感じている人がいる。一方で、補聴器は医療機器認定が必要で数十万円~100万円程度と一般的に高価。見た目に抵抗感があるという人も多いという。そのため実際に補聴器を使っている人は150万人程度と低い割合だという。
EarIDでは6つの周波数帯で聴力テストをしてプロファイルに反映する。測定結果を反映して再生音を聞きやすく調節する仕組みだ。再生出力の違いもあり、補聴器のように難聴の人向けの製品ではないが、耳の聞こえが悪くなり、音楽をあきらめていた人のためのイヤフォンとして企画している。
なお一般販売に先立ってCCCのクラウドファンディングである「GREEN-FUND」でも募集中。こちらも好評とのこと。
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