週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Xアイコン
  • RSSフィード

GT第3戦鈴鹿で掟破りのタイヤ無交換を敢行したミクAMG

吹き荒れる強風で予選も荒れる!
ミクAMGは3位獲得で好発進

 鈴鹿伝統の1000kmレースが昨年で終了し、今シーズンから300kmのスプリントになったSUPER GT 第3戦鈴鹿サーキット。開催時期も真夏の8月下旬から春が終わる5月19~20日へと変更された。

 レースウィークは前日までは雨の予報。蓋を開けてみれば朝から快晴と絶好のレース日和になったのだが……天気は良いが気温が低く路面温度も上がらない。さらにレースカーがハンドルを取られてしまうような強風に見舞われていた。レーシングカーは風の抵抗を利用してグリップしたり最高速を伸ばしたりするものだが、あまりの強風に突然グリップが変わってコースアウトするマシンが続出。ただ、場所によってはコーナリングスピードがあがったり、ストレートで最高速の伸びが変わるなどもメリットもあったようだ。

 朝の練習走行は4番手タイムと好調なスタート。迎えた予選1回目は谷口選手が担当し、3周目にベストタイム「1'57.720」を記録。暫定トップだったが、徐々に56秒台を出すマシンが増え、途中の赤旗中断を挟んで、6位で通過した。

 予選2回目は片岡選手がアタック。3周目に「1'56.388」を記録しコースレコードも更新した。予選1回目よりもペースが速かったので、このままポールかと思われたが、25号車(HOPPY 86 MC)が「1'56.140」で2位、96号車(K-tunes RC F GT3)が「1'55.531」でポールポジションを獲得した。結果的にミクAMGは予選3位、決勝レースは3番グリッドになった。

 ちなみに、今回の予選は1~10位までがコースレコードを更新するという異常事態だった。

掟破りのGT3でタイヤ無交換!
だが健闘虚しく8位に終わる

 予選日とは違い、ほぼ無風の快晴で迎えた決勝日。レース直前にサーキットの計測システムにトラブルが発生、レースは40分遅れのスタートになった。

 スタートドライバーは片岡選手が担当。前には25号車と96号車の2台のみ。十分優勝を狙える位置で。スタート直後に奇襲をかけて、25号車をすぐさまオーバーテイク。そのままポールスタートの96号車を追いかけるが、かなりペースが速く独走態勢を許してしまう。とはいえ、ミクAMGも3位以下を引き離し、一人旅になった。

 順調にラップを重ねるが、12周目にGT500のマシンがコースアウトしセーフティーカー導入。96号車との差はなくなったが、後続との差もなくなってしまった……。セーフティーカーは16周目に外れ、レースはリスタート。順位を上げてきていた61号車(SUBARU BRZ R&D SPORT)の猛追を受けるも守り切り、23周目に61号車はピットイン。さらに、24周目にはトップの96号車もピットインし、ミクAMGはトップに立っていた。

 レース中盤の31周目にミクAMGもピットイン。後続との差は40秒以上ついていたが、タイヤ交換と給油であっという間に順位がひっくり返る。なんとしてでもトップを死守するためにチームがとった作戦は「タイヤ無交換」だった。車重の軽いJAF-GT勢が得意とする作戦だが、GT3マシンは車重が重くタイヤへの負荷が高いため、4輪全部無交換は前代未聞である。パンクのリスクもあり、非常に難しい作戦だが、ドライバーふたりのタイヤマネジメント能力を信じて、無交換で谷口選手をコースへ送り出したのだった。

 通常、GT3マシンはフルサービス(タイヤ4本交換、給油)だと50~60秒のピットストップになるのだが、このピットインでは必要最低限の給油とタイヤ無交換だったため、26秒という驚異的なスピードだった。

 ファンとチームの期待を背負ってステアリングを握る谷口選手は「ピットアウトした瞬間、(タイヤが)終わってると感じた」という。リスキーな作戦で得たアドバンテージはすぐになくなり、18号車(UPGARAGE 86 MC)と96号車に追いつかれる。だが、“抜きにくい”という鈴鹿の特性を活かしてベテラン・谷口選手は抜けそうで抜けない絶妙なラインを走行し、2台を抑え続ける。

 だが、96号車は抑えきれず、18号車を抑えている間に後続が追いついてきて、気がつけば8位までが連なる大混戦状態になってしまっていた。その混戦を制して上がってきた61号車に44周目のシケインで抜かれ、ストレートエンドでも25号車に抜かれて4位にダウンしてしまう。もはやタイヤのライフは終わっており、ミクAMGのペースは大幅にダウンしていた。それでも谷口選手のテクで後続を抑え込んでいたものの、あと2周というタイミングで一気に抜かれてしまい、8位まで順位を落としてしまい、チェッカーとなった。

 毎戦リスキーな作戦を取らざるを得ないほど苦しい今シーズン。不幸中の幸いなのは、ポイントを取っているチームがばらけているため、現時点でランキングは10位だが、トップとの差は14ポイントとまだまだ追いつける範囲。次戦は1ヵ月以上間が空いて、唯一の海外戦タイ・ブリーラム。スケジュールが変更になり、シーズンの折り返しになるタイで大量ポイントをゲットしたい。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この特集の記事