窓やドア、サッシなどの開発メーカー大手のYKK APは、製品化を視野に入れたコンセプトモデル「未来ドア UPDATE GATE」を発表。「未来ドア」という名称だけ聞くとマンガの便利アイテムを連想してしまうが、未来ドアとはいったいどのような製品なのだろうか。
「未来ドア UPDATE GATE」は、ドアの表と裏に4K解像度のタッチパネル液晶ディスプレーが埋め込まれた製品。通常のドアには必ずある鍵穴やドアノブがないため、一見すると単なる巨大な液晶の壁だ。鍵のロックはカメラによる顔認証で行われ、ドアの開閉は電動。名前のとおり、かなり未来的でスマート!
このプロジェクトは、YKK APが2016年から行っている「未来窓プロジェクト」の一環。発表会に登壇したYKK AP執行役員副社長の菅間信太郎氏は「窓やドアは住宅のなかで重要なパーツなのに、キッチンやバスよりも優先順位は低い。もっと窓やドアを意識してほしくてプロジェクトを開始した」と語る。
続いて登壇したYKK AP事業開発部長の東克紀氏は「2017年に発表した『未来窓』は、透明有機ELパネルの問題で商品化のメドが立っていないが、『未来ドア』は製品化を目標にしており2020年に発売予定」とコメントした。
2017年に発表した「未来窓」の記事はこちら
【窓が巨大なディスプレーに! YKK APが「未来窓」プロジェクトを発表】
http://ascii.jp/elem/000/001/506/1506997/
好きな画像でドアの模様を変えられる
「未来ドア UPDATE GATE」は屋外側に55型の液晶パネルを縦に2枚並べており、まるでスマホの壁紙のように、好きな画像や動画を表示させられるのがおもしろい。そして、室内側は49型液晶パネルを縦に2枚配置。今日の天気予報や近隣の交通情報、家族のスケジュールなど、さまざまなデータを表示可能だ。
室内側の画面はそれだけでなく、家庭内のさまざまな家電の状況確認や操作ができる。外出する直前に照明やエアコン、テレビの電源を確認し、消し忘れていたらタッチするだけでオフにできるのはうれしい。ネットとモノをつなげたさまざまなIoT機器が次々に登場しているが、「未来ドア UPDATE GATE」もそのひとつだ。
さらに、ドアの前の画像をスマホに転送したり、スマホでドアを遠隔操作できる機能もユニーク。知人が訪問してくるのに帰宅時間に遅れた……という場合は、中に入って待ってもらうことができるのは、外出が多いユーザーにとってありがたい。
ドアを通過するたびにAIが住民を理解していく
開発を担当した東氏によると、「未来ドア UPDATE GATE」のコンセプトは「執事」だと言う。家族の日々の行動を記録し続け、その人物が必要な情報を適時に表示させる。例えば毎日決まった時間に出社~帰宅する父親がドアの前に立つと、通勤ルートの交通情報や降水確率を瞬時に表示。出かける前に天気予報を調べる手間がいらなくなるのは非常に便利だ。さらに、家族への伝言があれば音声によるコントロールでボイスメッセージを残せるのも利便性が高そう。
これらのAIを制御するシステムにはAndroid 5.1とドコモの音声認識アルゴリズムを採用。顔認証でドアの開閉を行うため、セキュリティー対策を万全にしなければならないのが最重要課題とのこと。
また、発表会で紹介された製品はコンセプトモデルなので鍵穴はついていないが、商品化する場合は大規模停電などが発生したときのために、どこかに鍵穴をつけなければならないのも課題となっている。
想定価格は高級自動ドアよりちょっと高め
気になる価格は130~150万円を予定している。現在販売されている高級自動ドアが80万円前後なので、液晶パネルや制御システム費などを含めると、割高感はなさそうな印象だ。戸建ての建築を予定しているユーザーは、発売予定の2020年を待ってみるのも悪くないかもしれない。
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