2017年11月に発表されたRazerの「Razer Phone」は、ゲーミングPCメーカーがスマートフォン市場に挑戦状をたたきつけたともいえる、超ハイスペックなゲーミングスマートフォンです。チップセットはSnapdragon 835、メモリーは8GB、内蔵ストレージ64GB、GPUにAdreno 540を採用。ディスプレーのリフレッシュレートは120Hzという、ゲームがサクサクぬるぬるに動く端末なのです。
しかし、Razer Phoneの登場により、ゲーミングスマートフォンという市場がまだ残されていたことに他のメーカーも気が付いたようです。2018年になってから立て続けに同じジャンルの製品が登場しています。
突如登場した、シャオミが出資するBlack Sharkが開発した「Black Shark」。黒と緑を基調としたボディーカラーはRazerをかなり意識しています。とはいえ、他にグレイカラーバージョンもあるなどオリジナリティーも出しています。背面には「S」のクールなデザインのロゴも入っています。
スペックはRazer Phoneよりも全般的に高め。チップセットはSnapdragon 845、GPUがAdreno 630。メモリ構成は8GB+128GBまたは6GB+64GBで、それぞれLPDDR4xとUFS2.1との仕様もスペック表には記載されています。OSはAndroid 8.0ベースの「JOY UI」で、本体にはゲームローンチャーとなるJOYキーも備わっています。
Razer Phoneと大きく異なるのはディスプレーで、Razer Phoneの5.7型(1440x2560ドット)に対し、Black Sharkは5.99型(1080x2160ドット)と解像度は低めです。また、Razer Phoneは独自の冷却システムを搭載していますが、Black Sharkは液体冷却システム「Multilayer Cooling-Kit」を内蔵。冷却能力を高めています。さらにはBlack Sharkには本体背面からかぶせる専用のゲームパッドも提供されています。
Razer Phoneに対してイメージも含め真っ向から対抗するのがBlack Sharkとすれば、別のゲーミングPCを意識した製品として出てきたのが、ZTE系列のNubiaの放つ「Red Magic」です。名前の通りブラックとレッドを基調とした本体に、Snapdragon 835、メモリー8GB、内蔵ストレージ128GBを積む赤い悪魔(6GB+64GBもあり)。ディスプレーのリフレッシュレートはRazer Phoneと同じ120Hzです。
そして、冷却方式はBlack Sharkとは異なり空冷を採用。アルマイト処理アルミニウムボディーにより冷却能力をさらに高めています。ディスプレーはBlack Sharkと同じ5.99型(1080x2160ドット)を搭載します。
この3モデルを比較すると、Razer Phoneを真ん中にしてBlack Sharkがやや上を行く性能、Red Magicは下のライン、という位置づけでしょうか。いずれにせよ、メモリーの容量はスマートフォンとしては余裕の大容量です。PCと同じように、スマートフォンで動画作業をする人にも向いた製品になるでしょう。
この3モデルに加え、ASUSからもゲーミングスマートフォンが間もなく発表されるようです。ASUSのゲーミングPCブランド、ROGのティザー広告によるとモバイルというキーワードの新製品が登場します。すでに3社から製品が出ていることを考えると、これはROGブランドのスマートフォンでしょうね。はたしてどんなスペックになるのか楽しみなところです。
ところでゲーミングPCといえば、エイサーのPredatorを忘れてはいけませんね。Predatorにはモバイル製品もあり、日本でも2016年2月に8型ディスプレータブレット「Predator 8」が発売されました。しかしこのPredator 8が発表された2015年9月のIFA2015では、同時に6型ディスプレーの「Predator 6」もアナウンスされていたのです。結局このPredator 6は発売に至りませんでした。もし当時出ていれば世界初のゲーミングスマートフォンになったはずなのですが、登場するには時代が早すぎたのかもしれません。
ゲーミングスマートフォンはPCメーカーのスマートフォン市場参入の新しい入り口かもしれません。今後も新たな製品が登場することも期待できます。スマートフォンメーカーのハイエンドモデルを超えるハイスペックなゲーミングスマートフォンが次々と登場すれば、今のスマートフォンの性能に飽き足らないユーザーも満足できるでしょう。ゲーミングスマートフォンは、今のスマートフォン市場にさらなる活力を与えてくれるものになるでしょう。
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