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結局キーボードは消えゆく存在か

2018年05月18日 12時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII編集部

MacBook Proに新たに採用されたバタフライキーボード。1mm程度の深さしかなく、隙間も詰まっているため、ここにホコリが入って、奥まで侵入すると、反応しなくなるなどの問題が発生しやすくなっているようです

 Appleのキーボードが問題になっています。

 この問題は本記事の枕なので、かいつまんで説明すれば、MacBookシリーズに採用されている超薄型のバタフライキーボードが壊れやすく、修理費用も高くつき、治ってくるまでの1週間の経済的損失が大きいため、けしからん、なんとかせよ、というわけです。

 問題に目をつけ、集団訴訟の音頭を取っている法律事務所、Girard Gibbsは専用のウェブサイトを開設し、集団訴訟への参加を呼びかけています。集団訴訟ってこういう形で始まっていくんですね。(https://www.girardgibbs.com/apple-macbook-pro-keyboard-defect-lawsuit/

 そういう筆者の2016 MacBook Pro 13インチ(Touch Barモデル)も、たびたびキーボードの目詰まりの問題を起こしています。ただ筆者の場合、良いか悪いかはわかりませんが、ちょっとでも反応が悪くなったら、すぐに自分で直してしまっています。

新旧MacBook Proのキーボードの比較。左は2016年モデルのMacBook Pro、右は2012年モデルのMacBook Proです。今回問題になっているのは薄型化を実現する新しいメカニズムを採用した左のキーボードです

 まずAppleのウェブサイトの説明にあるように(https://support.apple.com/ja-jp/HT205662)、75度ほどに傾けてエアスプレーを隙間に吹き込みます。これでホコリが抜けて、キーの接触を妨げなくなることが多いです。

 前述のサポートページでは、これで改善しない場合はApple Storeなどに持ち込むように書いてあります。もちろん従った方がよいのでしょうが、どうせホコリだろうと思っている筆者は、もう1段階の掃除を試みます。自己責任でという前提で、その方法をご紹介します。

 キーと本体の隙間からテレホンカードのようなものを差し込んで、キートップを外し、もしホコリが目視できれば、ピンセットで取り除きます。そして今一度エアスプレーで掃除をして、キーを再び戻します。先日もこの方法で反応が悪くなった「N」キーを直しました。

 でも、意外と「テレホンカードのようなもの」を見つけるのに難儀しますね。もう手元にテレホンカードはありませんし、持っているカード類で一番薄いのは健康保険証なのですが、これは紙なのでキーを剥がすには役立ちません。先の尖ったものだと内部を傷つけてしまうかもしれませんし……。

 もしかしたら、キーボードも“テレホンカードのようなもの”みたいになるかもしれません。今回はそんな話です。

原稿を書くことより、タイピング自体を楽しむ本末転倒さ

 米国ではときどき、タイプライター展のようなものによく出くわします。筆者がキーボードに興味を持っているから、そう感じるのかもしれませんが、サンフランシスコ空港のアラスカ航空やバージンアメリカのターミナルの一角でも見ました。ちゃんと和文タイプライターも取り寄せてあり、搭乗ギリギリまで眺めていたのです。

 筆者はタイプライターの世代ではまったくありません。小学生低学年の頃はワープロ専用機が大好きで、一時期だけ電車通学していた関係もあり、都営新宿線の方向幕を作って遊んでいました。ちょうど方向幕にも電光掲示が導入され始めたタイミングで、そのうち印刷はせず、ワープロの画面のカクカクのドットで構成された4倍角の文字で満足するようになってしまいましたが。

 多分そうした遊びは関係ないと思いますが、結果的に筆者は文章を書く仕事をかれこれ13年ほど続けております。もちろん、読者の皆様が読める形で情報やアイディアなどを文字化していくことが仕事ではありますが、ときどき、キーボードを叩くのが楽しくてやっているんじゃないかと、本末転倒さを感じるほど、キーボードという道具を使うこともまた好きな作業です。

 若干気持ち悪い話になってきますが、「指癖」というか「指捌き」というか、そういったモノに心地よさを感じてしまうことがあるわけです。多分文章を読んでいる皆様にはまったく伝わらない、単なる文字列でしかないと思うのですが、あえて説明しようとすれば、1つ前の段落の文末あたりでしょうか。

 「好きな作業です。(改行)」の流れは、「sukinasagyoudesu.(return)(return)」という打鍵になります。左右の手に程よくキーが分散してタイピングの瞬間的なスピードが上がり、最後の2回のリターンキーまで駆け抜けるような感覚。こうした一連のコンビネーションが好きなわけです。

 本当に、何のことやら、という話なのですが。

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