週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

「ムービージェニック」という言葉が広まっている

シャープの最新スマホ「アクオス」が動画撮影にも力を入れた理由

2018年05月15日 17時00分更新

文● ノダタケオ(Twitter:@noda) 編集●ちゅーやん

 生活者の意識・実態に関する調査をしているトレンド総研は「~2018年・スマホトレンドレポート~『フォトジェニック』は、もう古い?スマホ撮影の新トレンド、キーワードは『ムービージェニック』」と題した、ミレニアル世代(1980年以降に生まれ、2000年以降に成人・社会人になる世代)の「スマートフォン撮影事情」に関するレポートを発表しました。

 2017年の新語・流行語大賞となった「インスタ映え」、そして「フォトジェニック(photogenic)」という言葉は「写真写りが良い/写真映え」「写真撮影向き」という意味で、一般の人にも認知される言葉といえるでしょう。

写真では伝えられないモノを動画なら伝えられる

 この「フォトジェニック」という言葉の次に、「ムービージェニック」という言葉が今年に入ってからさまざまなところで使われるようになりました。

 「写真写りが良い/写真映え」「写真撮影向き」を表すフォトジェニックに対して、ムービージェニックはその言葉のとおり「動画撮影向き」「写真よりも動画で撮影したほうが映りが良い/動画映え」ということになるでしょうか。

 ムービージェニックな動画の最も代表的なジャンルは「料理(グルメ)」です。

 例えば、レストランでステーキを注文し、テーブルへ運ばれてくる熱々の鉄板(のお皿)にのったステーキを目の前に、店員さんにソースをかけてもらう、なんてシーンがあるかもしれません。

 この時、ステーキにソースがかかるさまや、鉄板へソースが流れていくことで跳ね上がるさまを「写真」を撮るより「動画」で撮ったほうが、美味しさ(美味しそうな状況)を“より”鮮明に伝えることができます。熱い鉄板の料理だけでなく、冷たいかき氷にシロップをかけることで氷が溶けていくようなさまも「動画映えする」ことになるでしょうか。

 この「動画映え」なムービージェニックにあって、「写真映え」なフォトジェニックには表現できないものがひとつあります。それは「音」です。

 ムービージェニックも、フォトジェニックも、視覚的(見た目)な「美味しさ」を伝えることができるのは共通していますが、フォトジェニックでは聴覚的な(音から感じることができる)「美味しさ」を伝えることはできません。

 これまで伝えることができなかった音から感じる“映え”も伝えることができるからこそ、こうしたムービージェニックな「料理(グルメ)」動画がソーシャルメディア上で多く見受けられるようになったと感じています。

2018夏モデルのスマホが順次発表「動画を“より”意識したスマホ」も

 ムービージェニックという言葉が広がっている要因のひとつは、スマートフォン一台で気軽に写真や動画を撮ることができるようになったから、でしょう。いまや、若い世代の人だけでなく、年齢層が上の世代の人も写真や動画を撮り、それをインスタグラムなどのソーシャルメディアへ投稿する人も多くなりました。

 先週と今週にかけ、auやドコモ、ソフトバンク、それぞれの携帯電話事業者が新しいスマートフォン(2018年夏モデル)を発表しています。動画へのニーズが多い背景を受けて、写真撮影だけでなく、動画撮影にも重視したスマートフォンの発表が多いように感じます。

 いま、私が最も注目をしている新しいスマートフォンは、6月上旬以降に発売が予定されているシャープの「AQUOS R2」です。

 シャープの調べによれば、10代から50代のスマートフォン所有者(n=6275)のうち、「49%の人たちが月1回以上の動画撮影(毎日: 8%、週一回以上: 20%、月1回以上: 21%)」しており、「その約6割がソーシャルメディアに動画投稿」をしていることがシャープの製品発表会の場において紹介されました。これからは「動画コミュニケーションが主役に」なる、とシャープは考えています。

 スマートフォン一台で気軽に写真を撮り、ソーシャルメディアへ投稿することはとても身近となっていますが、これからは動画も気軽に撮影し、ソーシャルメディアへ手軽に投稿する人が増えていることがこの調べからも知ることができます。

 シャープから発表された「AQUOS R2」には、「動画用と静止画用で2つのカメラを搭載し、動画と静止画(写真)を同時に撮影可能」という特長が押し出されています。

 これまでも、スマートフォンで動画撮影をしながら写真を撮ることは可能でした。ただ、その写真は横長(16:9)の動画を撮影しているときは同じ横長(16:9)の写真しか撮る(切り出す)ことができませんでした。しかし、この「AQUOS R2」では横長(16:9)の動画撮影をしながら、同時にインスタグラム投稿用に正方形(1:1)の写真を撮る、といったことができるようになります。

 「AQUOS R2」なら写真も動画も独立して撮影できるため、「フォトジェニックもムービージェニックも同時にこなせてしまうスマートフォンになりそう」と感じたことが最も注目をしている理由です。

 スマートフォンを手にするユーザーが求める「写真だけでなく動画も高画質で撮れる」「動画でも手ブレしにくい」動画撮影機能をもつ新しいスマートフォンは、AQUOS R2に限らず、これからはもっと増えていくはずです。

 スマートフォンで動画を撮影することは若い世代の人たちだけでなく、40代後半から50代前半の世代の人たちもその機会が増えていることは、冒頭に紹介をしたトレンド総研の調査にもあるとおりです。

 ユーザーが求めにメーカーが応える、動画を意識したムービージェニックな今夏モデルのスマホの動きに(特に、スマートフォン一台で気軽に撮りたいと考えている方は)ぜひとも注目してほしいと感じています。

ライブメディアクリエイター
ノダタケオ(Twitter:@noda

 ソーシャルメディアとライブ配信・動画メディアが専門のクリエイター。2010年よりスマホから業務機器(Tricasterなど)まで、さまざまな機材を活用したライブ配信とマルチカメラ収録現場をこなす。これらの経験に基づいた、ソーシャルメディアやライブ配信・動画メディアに関する執筆やコンサルティングなど、その活動は多岐にわたる。
nodatakeo.com

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事