週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Xアイコン
  • RSSフィード

旧盤のハイレゾ化で新たな発見も

麻倉推薦:アナログ時代の優秀録音が現代の技術で蘇る点に驚き

2018年05月13日 10時00分更新

『ショスタコーヴィチ:交響曲 第 8番』
エリアフ・インバル、東京都交響楽団

 インバルと都響の相性がたいへんよろしいことは、名盤との誉れが高いマーラー全集でも実証されているが、本ショスタコビッチも素晴らしい。音はひじょうにクリヤーで、高解像度だ。響きは多いのだが、楽音がきちんと立つ。サントリーホールでのライブだが、同ホールらしい美麗なソノリティと、細部までのきりりと引き締まったディテール再現が両立している。なによりインバルの声の歌いが、まるで楽曲の一部であるかのように聴けるのが、高解像度の証拠(?)。低弦の弾みと、高弦の表情が心に染みいる。

FLAC:192kHz/24bit、WAV:192kHz/24bit
FLAC:96kHz/24bit、WAV:96kHz/24bit
DSF:2.8MHz/1bit
EXTON、e-onkyo music

『ラフマニノフ:楽興の時、前奏曲』
ラザール・ベルマン

 かつてのアナログ名録音のハイレゾ復刻だ。当時一世を風靡したロシアの濃厚なピアニズムの粋が、現代技術で蘇ったのは、たいへん嬉しいことだ。楽興の時第六番ハ長調。剛毅な和音が連続し、その中を縫って太っとい旋律が続く。音の重なりが演出する、音の壁のような重厚さと、それを構成する一音一音のクリヤーな隈取り感がベルマンの極意。ベルマンの音の秘密をハイレゾは高解像度にて、解き明かしてくれる。アナログでは、相当良い装置でないと伝えきれなかった音楽的なメッセージがハイレゾで正しく聴けるのが、改めて嬉しいことだ。特に「コレルリの主題による変奏曲」の峻厳さと濃密さが、好きだ。

FLAC:192kHz/24bit
Deutche Grammophon、e-onkyo music

『わたしが一番きれいだったとき:When I was young and so beautiful』
三枝伸太郎、小田朋美

 萩原朔太郎、茨木のり子、谷川俊太郎らの詞に三枝伸太郎が作曲し、小田朋美が歌うオリジナル作品集。ヴォーカルとピアノのデュオ。RMEのデジタルマイクを核とするハイレゾ録音機材を使う、MIC沢口録音による定評のある高音質シリーズの最新版。三枝のピアノが珠玉の美しい響きを奏し、小田のソプラノが、感情たっぷりに歌う。どちらもセンターに定位しているが、響きの量はピアノはたいそう多いのだが、ヴォーカルはむしろ明瞭度が確保されてる。後半に関口将史のチェロが加わると、より音楽的な表情が豊かになる。録音は圧倒的なクリヤーさ、透明度が高く、音の造型感が豊かだ。CDでもリリースされているが、それは話題のMQACDだ。

FLAC:192kHz/24bit、WAV:192kHz/24bit
5.0ch WAV 192kHz/24bit、5.0ch FLAC 192kHz/24bit
5.0ch Dolby HD 192kHz/24bit
MQA Studio 192kHz/24bit
RME Premium Recordings、e-onkyo music

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事