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3万円で買える薄型AVアンプ「TX-L50」を試してみた

「ガルパン最終章」を再生 キャラの声の違いも明確に

 では、早速その音の実力を試してみよう。使用したソフトは「ガールズ&パンツァー最終章 第1話」のBD版。音声はドルビーTrueHDの5.1chだ。

 まずは基本通りの5.1ch構成で聴いてみる。このタイトルはサラウンドチャンネルを積極的に使った音響が特徴的で、迫力たっぷりの戦車戦で砲撃の音が前後左右に飛び交うだけでなく、日常的な会話のシーンでも、画面に現われている人物はセンターから、画面の外にいるキャラクターは左右のスピーカーやサラウンドスピーカーから声が聴こえるなど、なかなかユニークな音響設計がされている。サラウンドの面白さを味わう上でも最適なソースなのだ。

 5.1ch再生では、キャラクターの声の配置もしっかりと再現でき、前後左右の音の定位もしっかりとしている。すっくりとした解像感の高い音で、細かな音までしっかりと聴こえるし、キャラクターによる声の違いなども明瞭だ。

 そして、肝心の戦車戦の砲撃の音なども、出音の素早い立ち上がりもなかなかのものだし、迫力のある音が得られる。

 強いていえば、大音量派の筆者の防音ルームで使うには、音量的な音のエネルギー感がものたりないが、一般的な家庭では近所迷惑になるレベルでの話。一般的な家庭での音量では、音の力強さや迫力も十分に味わえる。薄型のコンパクトなAVアンプとはいえ、その実力はなかなかのものだ。

Dolby Atmosで臨場感豊かな戦車戦も
迫力たっぷりに再現!!

 では、今後は3.1.2chのDolby Atmosの再生をしてみよう。映画のDolby Atmos音声のソフトを聴いてみたが、前方の音場の厚みが増し、高さを感じる立体的な音の再現もしっかりとできている。後方のサラウンドスピーカーがないのにこれは見事だ。

 この秘密は、ドルビー独自のバーチャル再生技術である「サラウンド・エンハンサー」を使っているため。実際に繋がっているスピーカーは3.1.2chなのだが、後方の2chをバーチャル技術で再現しているのだ。

 言わば、仮想5.1.2chとなるわけだ。このため、後方の音も案外しっかりと後ろから聴こえるし、音の包囲感や後方の音の移動感もなかなかうまく再現できる。

 もうひとつの理由がトップスピーカーがあることだろう。イネーブルドスピーカーで天井から再現される音が、前後の空間をうまくつなぎ合わせて一体感のある空間を創り出しているわけだ。高さ方向の音が再現できるだけでなく、ドーム状に展開する音空間がうまく再現できている。

 ここで、再生ソフトを「ガールズ&パンツァー最終章 第1話」に戻して、「ドルビーサラウンド+サラウンド・エンハンサー」で再生した。

 ドルビーサラウンドとは、一般的な5.1chや7.1chのソフトをDolby Atmosのための3.1.2chで再生するためのアップミックス機能。これに「サラウンド・エンハンサー」を組み合わせている。

 TX-L50では、こうした再生もできるので、3.1.2chの構成のまま、5.1chや7.1ch音声のソフトをDolby AtmosやDTS:Xに近い立体音響でも楽しめるのだ。ちなみに、DTS音声の場合でもドルビーサラウンドは使えるので心配はない。DTSのアップミックス機能である「DTS Neural:X」を使用することも可能だ。

 これはなかなかのもので、空間の立体感が豊かになり、学園艦内部の狭い通路や戦車内の空間の狭さもリアルに再現できるようになるので臨場感がさらに高まる。

 サラウンドの再現はじっくりと比較すると、真後ろの音がやや希薄になる感じはあるが、思ったほどの差とは感じない。むしろ前方の音場が豊かになるので、5.1ch再生よりも3.1.2ch再生の方が迫力があると感じるほどだ。

 ガールズ&パンツァー最終章 第1話は、Dolby AtmosやDTS:X音声での上映も行なわれており、期日は未定だがソフトの発売も予定されているという。TX-L50はきちんと5.1chもできるし、3.1.2chの対応も可能というわけだ。

 3.1.2ch再生はサラウンド・エンハンサーのおかげで、思った以上に後方の音もしっかりと再現できていて満足度は十分。しかも後方にスピーカーを置かず、イネーブルドスピーカーを使用すれば天井へのスピーカー設置も不要で、テレビの周りにスピーカーとサブウーファーを置くだけで実現できてしまう。このフレンドリーさは最大の魅力と言えるだろう。

オーディオ環境を強化したいと考えているならおススメ

 TX-L50は、実売3万円台と極めてお買い得で、使いやすい薄型ボディー、Dolby AtmosやDTS:Xの効果も十分と、非常に魅力の多いモデルとなっている。

 本格的なサラウンドに挑戦したいが、ハードルの高さでためらっていた人にとっては、最適と言えるモデルだ。

 別途スピーカ-とサブウーファーが必要となるが、臨場感豊かな最新ホームシアターの楽しみを味わってもらいたい。

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