「K3003」と「N5005」は全く別の世界
前回のAKG「N5005」に続いて、今回は旧フラッグシップモデル「K3003」を改めてレビューする。なぜいまさらこのモデルをレビューするのかと言うと、今年登場した「N5005」の音を聴いて「これはK3003とは、明らかに違う音作りがされている」と感じたからだ。
それは国内代理店であるハーマンインターナショナルの販売方針からも明らかで、リケーブルができてドライバー数も2基多く、最新の設計を取り入れて、オマケに安くなったN5005と、いくらハイエンドとは言え6年半も前のK3003を併売するというのである。つまりこの2機種は、明らかに目指すところが違う。
単純な価格ヒエラルキーでは語れない、個性の部分を味わいたい。そんなオーディオ趣味的な部分がムクムクと湧き上がり、今回の企画につながった。2本のレビューを通して、こういったオーディオの奥深さが少しでも伝われば幸いである。
現代基準で見ると、パッケージはシンプル
まずは外観から。ダイナミックとバランスド・アーマチュアを合わせて3基も積んでいるハイブリッド型の中では、小ぶりなサイズだ。ハウジングはステンレス製で相応の重さもあるが、耳への収まりが良く装着感・密閉感が高い。おそらく一般的なサイズの僕の耳には、N5005よりもK3003の方が快適だった。
対して不便と感じる部分もある。その最右翼はリケーブル不可なことで、現代のポータブル基準ではこれが一番の泣き所だ。10万円を超えるプライスタグが付いているのに、断線で使えなくなるというのはあまりに悲しいし、リケーブルによるバランス駆動も望めない。ここはぜひとも、リケーブルモデルの発表などで対応して欲しい点だ。
実際に鳴らしてみると、出力がそこそこでも意外と結構鳴ることに驚いた。僕はリファレンスプレーヤーにQuestyle「QP2R」とソニー「NW-WM1A」というゲイン設定ができるモデルを使っている。いずれも駆動力自慢でハイゲイン出力ができるが、N5005でお世話になったこの設定がK3003では不要だった。多ドライバーなのにこの軽快感はなかなか見られない。
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