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新たな企業に買収されたFlickrはまだまだ生き続けそう?

2018年04月25日 10時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII編集部

大量の写真がある状態で簡単にサービスを乗り換えできない
時代に合わせて進化し続けられる?

 筆者はカメラで写真を撮ることも好きですが、圧倒的にスマートフォンによる撮影の割合が増えました。特にビデオは100%、iPhoneで撮影しています。

 センサーのサイズやレンズなど光学性能で優れるカメラでしか撮れない写真もあります。しかし編集が必要なビデオについては、その編集のスピードもパソコンより素早いiPhoneで扱った方が圧倒的に時間が短縮できるからです。

 一方で、スマホで撮影した写真をどのように保存するかという問題もあります。iPhoneには写真やビデオのサイズが半分になる新しいフォーマット、HEIF/HEVCがあるため、iCloudフォトストレージの写真保存量は緩やかな増え方になりつつあります。また、Googleフォトもこの新フォーマットに対応したため、iPhoneの写真をそのままGoogleにアーカイブできるようになりました。

 デジタルカメラや旧来の写真サービスは、こうしたテクノロジーの進化のスピードがスマートフォンよりも大幅に遅くなってしまっています。FlickrがInstagramにモバイルフォトの分野で勝てなかったのも、スマホの変化にサービスが追いつかなかったことが主因だと考えられます。

 写真の共有が目的の場合は、みんなが使う新しく優れたサービスを利用すれば良いのですが、自分の写真をどのようにして大切に保存するかを考えると、ほいほいとサービスを引っ越すわけにはいきません。Flickrがまだまだなくなってほしくない理由の大半は、過去の写真が残っているからでしょう。

 筆者もFlickrに10年間以上にわたって蓄積した1TB近くの写真を、うまくダウンロードできる気がしませんし、容量が小さなフラッシュストレージしか搭載されていないノート型のMacが手元にある現状で、ダウンロードした写真をどこかに保管することもできません。

 Flickr自体が今後も長らく生きてくれることは大歓迎なのですが、すでに過去のデータを扱いきれなくなっていることにも、ハッとさせられるのです。


筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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