国内大手・グローバルと手を取り拡大する「RECLO」
海外で爆売れ ブランド市場を裏から変える泥臭いリユースプラットホーム
ブルーオーシャンの中国を皮切りにグローバル展開を進める
かつて中国人旅行者による爆買いが起きていた2016年、RECLOは銀座と浅草、博多港の近くにリアルショップをテストオープン。クルーズ船が着いて中国人旅行者が来るところで、ハイブランドのリユース販売を行ない大きく販売を伸ばした。現状では、爆買い自体はシュリンクしているものの、青木氏によれば購入ニーズは依然として大きくあると確信。越境ECという形で、「チェックドインジャパン」を推したRECLOの展開を考える。
「海外展開のスタートについては、中国の国営企業と出会えたことが大きい。リユースという概念では中国はスーパーブルーオーシャンなので、そこを全部取れるかもしれないと出資いただき、中国版のRECLOを立ち上げている」(青木氏)
とはいえ、中国のIT事情は変化が早く、微博(weibo)でマーケティングしたらいいとか、いやいやアリババ(阿里巴巴)のモールだとか、次はメディアだ……と潮流がどんどん変わるため簡単には進まなかったようだ。ポジショントークをするコンサルタントもいるため、なかなか生の情報を得るのに苦労したという。「WeChatのことは自分が一番詳しい、という人だけで10人くらい会った」と青木氏は笑う。そんな中、アリババのトップマネジメントを手がけていた人材がRECLOに入社することになる。
「日本と中国の架け橋になるようなビジネスをしたいという人を紹介された。中国は見栄が第一という文化のため中古品への忌避感があり、4~5年前まで中古車でさえ売れなかったが、最近は急に合理的な人が増えてきて、潮目が変わった。日本のクオリティーでリユース事業をやるなら安心を提供できるし、マーケットとして埋蔵量も多い」
ローカル人材確保の結果、次にどういう規制が入るか、どこに現地のニーズが向いているかといった情報が、バイアスがかからず入ってくるようになり、事業がグロースしはじめた。現在ではRECLO全体の売上の30%以上が海外だが、その半分以上は中国が占めているという。中国を始めとし、インドネシアやシンガポールのECとも提携が始まっている。
日本でチェックされたエルメスやシャネル、ヴィトンのリユース商品が7~8割オフで、1万点並んでいるというモノとしての強みだけでなく、APIで在庫連携して、すぐに販売できるところまで持って行けるとなれば、引き合いが殺到するのもうなづける。さらに、海外展開をしたことでメリットが2つ見つかったという。
「日本では、検索すれば価格の基準がわかる。しかし、海外だと専売マーケットプレイスもなければ相場もない。そこそこの値段で売っても、安いと判断されることが多く、我々が価格決定者になりやすい。そしてもう1つが、シーズナリティを消せること。たとえば、真夏にモンクレールのダウンが出品されると、普通は査定が半額になる。しかし、すぐにニュージーランドで売れるのなら、満額で買取査定も出せる」
「レガシーおじさんになりたくなかった」
青木氏はどんなキャリアでアクティブソナーを立ち上げることになったのだろうか。
「実家も事業をやっていたので、自分でビジネスをやろうと勉強していたし、そういう風になれと教育されていた。ただ、大学で経営学を学んだ後、そのレールから外れて、22~25歳のころミュージシャンと俳優をやっていた」(青木氏)
転機が訪れたのは25歳の頃。たまたま割のいいアルバイトをしたくて始めた携帯電話の販売で、人の3倍しゃべれば3倍稼げることに気がついた。そこで、友人と携帯電話販売会社を立ち上げると、年商50億円にしてしまう。次にウォーターサーバーの会社を手がけ、その会社はIPO。その次も、別ファンドのウォーターサーバー事業を手がける会社の代表として2期で年商数十億円にしたというスタートアップの実績をすでに持っている。
「BtoCの実業は経験してきたが、インターネットはまったくやっていないことに劣等感もあって、こんなにITが伸びている時代なのに、このままだと僕はレガシーおじさんになるんじゃないかなと不安があった。そこで、次に始めたのがRECLOというウェブサービスだった。完全なCtoCをやると僕が持っている営業のスキルを活かせないので、CtoBtoCの真ん中の所のアライアンスを取りに行くとか、企業さんと形にしていく中で、特技の事業開発力と開拓力を活かせている」
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