日本でAndroidスマホといったら「Xperia」! というくらい、スマートフォンのブランドとして認知されている「Xperia」。常に最新の技術とスマホのトレンドを取り入れて業界の最先端を走るXperiaシリーズですが、その歴史は決して順風満帆ではありませんでした。これからのXperia、ひいてはスマートフォンの来し方行く末を、ソニー大好きライターの君国氏に写真とともに紐解いてもらう連載です(基本的に登場するのは国内で発売されたモデルのみです)。
おそらく、Xperia史上でもっとも特異なモデルといえるのが、2011年10月に発売された「Xperia PLAY SO-1D」でしょう。なんといっても最大の特徴ともいえるギミックが、スライドすると出てくるキーボードならぬゲームパッドを備えた、世界初の“PlayStation Certified”スマートフォンです。
Xperia PLAYは、4型(480×854)のフラットなディスプレー面と、両サイドや背面が丸みを帯びたデザインで、小型ながらも手にフィットしやすく持ちやすさに重きにおいたボディー、そしてスマートフォン状態(いわゆる閉じた状態)で、電源ボタンとちょうどその裏側に5.1メガピクセルのカメラとフラッシュライトを搭載しています。
展開してゲームをプレーする時、手でホールドした指先にゲーム用の「LRボタン」が備わっているあたりもゲームハードを製作しているソニーならでは。そのほかには、音量調整ボタンやイヤホンジャック、microUSB端子、落下防止のためのストラップホールなども備わっています。
ディスプレーには、VGAのインカメラが搭載され、画面下にあるハードキーはバックボタン、ホームボタン、メニューボタンに加えて検索ボタンと、4つのボタンが配置されています。当時の「Xperia arc」にはまだインカメラはなく、検索ボタンもなかったので、とてもめずらしい構成でした。
ゲームパッドは、左に上下左右の十字キーやメニューボタン、右に△○x□ボタンとスタート、セレクトボタンがあります。中央部分はタッチパッドになっており、ここでアナログスティック的な使い方ができるようになっています。ボタン類はしっかりとした押し心地があり、あくまでも画面タッチで操作するスマートフォンにあって、物理ボタンはゲームに優位なものでした。
スペックは、SoCがSnapdragon MSM8255 1GHz、メモリーは512MB、内蔵ストレージは1GB。本体サイズは約62×120mm×16.4mm、重さは175g。通信方式は送信時最大5.7Mbps、受信時最大14MbpsのFOMAハイスピードに対応しているほか、Wi-Fi(IEEE802.11g/b/n)、Bluetooth ver. 2.1+EDRを搭載。OSは、Android 2.3。
基本的には、ホーム画面やユーザーインターフェースなどもすべて「Xperia arc」などと共通のもので、ゲームに限らず、音楽も動画も写真も使えるエンターテイメント性をアピールした端末でした。
「Xperia PLAY Launcher」に現れるゲームは、Xperia PLAYのゲームパッドに対応しているゲームとなっていました。そしてもうひとつ、Android端末で初めて初代プレイステーションのゲームが遊べる「PlayStation Certifed」の認定を受けていたことも特徴です。Xperia PLAYの本体にはプレステゲームでも有名な「クラッシュバンディクー」と「みんなのGOLF 2」がプリインストールされていました。
ゲームを起動した際には、初代PlayStationの起動ロゴと音声もそっくりそのままに、懐かしさを感じるタイトルではありながらも、実際にゲームをプレーしてみるとその動きはAndroid端末とは思えないほどに快適に遊ぶことができました。Xperia PLAYは、横持ちにすることでステレオスピーカーになり音の臨場感も加わってスマホでプレステを体現したモデルでした。
ただ残念なことに、Androidに対応したゲームは当然タッチ操作が前提のため、ゲームパッドにまで対応させているゲームがほとんどなく、ゲームパッドをうまく活かすことができませんでした。さらにソニー・コンピュータエンタテインメント(現:ソニー・インタラクティブエンタテインメント)公認のプレイステーションの対応ゲームタイトルも増える事がなく、しばらくすると“PlayStation Certified”という規格もなくなってしまい、その後立ち上がった“PlayStation Mobile”も2015年に終了してしまいました。
残念ながらゲームパッドを備えたXperiaは後にも先にも「Xperia PLAY」だけでしたが、今のAndroid対応のゲーム全盛のさなか、XperiaではPlayStation4をリモートプレイで動かせるというかたちでゲーム・エンターテインメントの魂は生き続けています。
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