レノボは1月のCESでThinkPad シリーズを大量に発表した.特に我々が好きなX1シリーズは、Carbon、YOGA、そしてTabletと3モデルを発表し、すでにCarbonとYOGAは発売となっていたのだが、ようやくTabletも発売となったので紹介していく.
13型ながら画面は3対2
横3000ドットのド迫力だっ
Carbonの試用レポートでも説明したが、発表会においてレノボは全ThinkPadシリーズを5ジャンルに分類して、ワークスタイルにあわせたマシンを使ってくださいねと推奨した.X1シリーズでいうと、YOGAが「ハイブリッドテレワーカー」、Carbonが「モバイルワーカー」、Tabletが「フィールドワーカー」という分類である.
フィールドワーカーの定義は、「社内ではキーボードを装着することによりレポート作成などをおこない、社外では日々の基幹業務にタブレットとして対応する」というスタイルだそうだ.
今回、デザインを一新したX1 Tablet 2018年モデルの最大の特徴は、画面比率3対2の13型3Kパネルを採用したところ.マイクロソフトのSurfaceProとよく似たカタチながら、微妙に上を狙っている.
SurfaceProのディスプレイは12.3型で比率は3対2の2736×1824ドットで267dpiである.X1Tabletは13型なので、対角線上は0.7インチつまり約1.8センチだけ大きい.そして同じ3対2ながら3000×2000ドットであるからして277dpiとより細かい.
ではSurfaceBook2ではいかがかというと、こちらは13.5型で3000×2000ドットなので、267dpiと、やはりX1Tabletのほうが高解像度ということになる.ちなみにX1Tabletの2017年モデルは12型2160×1440ドットだったから、216dpiから一気にトップに躍り出たカタチだ.
画面サイズは13型ながら、3000ドットあると、複数のウィンドウを開いて複雑な作業をしても、きちんと文字もグラフィックも表示されますよね.ただし目を近づけての作業になりますが.とにかく、同じ液晶サイズなら解像度が高いほうがエラいのである.
X1Tabletのスタンドは2017年モデルまではヒンジがいちばん下にあるカタチだった.今回はSurfaceProと同じように中央にヒンジがあり、無段階で開く.開脚度がてとも高く、ほとんど180度まで展開してくれる.タブレットとして使う場合も、平置きではなく、微妙な角度が付けられるので、見やすくて作業もしやすい.
中身もパワーアップで
もちろんLTEも内蔵可能
本体のサイズは2017年モデルの291×209.5×8.45ミリから、304.1×226×8.9ミリへと成長している.液晶が12型から13型へと大型化しているから当然なのだが、横幅で13.1ミリ、高さで16.5ミリ大きくなったが厚みは0.45ミリのプラスでほとんど変わらない.SurfaceProは292×201×8.5ミリと、やはりX1Tabletより0.5インチぶん小さいことになる.
重さはSurfaceProの本体782グラムに対して、 2017年モデルは767グラムと軽かったのだが、今2018年モデルでは890グラムとこちらもマシマシになっている.とはいえ内蔵バッテリー容量は37Whから今回は42Whと5Wh増えているのだ.
2017年モデルは第7世代(7G)コアのi5/i7/M3が選択可能だったが、2018年はもちろん第8世代(8G)コアで、i7-8550Uまたはi5-8250Uへと向上.i5-8350UのvProモデルも選択可能.メインメモリは8/16GBでSSDは256GB~1TBである.
インターフェースはUSB3.1のタイプC×2で、ACアダプターはそこに接続する.あとはヘッドホン端子と、メモリーカードスロットで、マイクロSDカードと、LTEモデム内蔵ではnanoSIMもここに装着する.すでに直販モデルではWWANをオプションで追加可能で、お値段は約1万8000円のプラスとなっている.
X1Tabletの2017年モデルは、下部に接続できるプロジェクターユニットや増設バッテリー+追加インターフェースユニットが用意されていたが、そのカタチは今回はない.タイプC端子にドックを接続するかたちとなる.
キーボードも新設計で
打ち心地も向上
専用キーボードは、やはりSurfaceProと同様に、タブレットの長辺の部分に端子があり、磁石で接着される.キーピッチは19.05ミリのフルサイズ仕様で、もちろんバックライトを内蔵し、X1CarbonやYOGAと同様に静音設計で、会議中にバリバリ打っても気にならない.
もちろんキーボードの中央には赤いトラックポイントを搭載.スペースバーの手前のボタンも、タッチパッドのクリック音もとても静かで、さすがThinkPadクオリティなのである.付けっぱなしで液晶保護の効果が得られるし、背面側にひっくり返せば、自動感知してキーボードの機能はOFFになり、誤入力もしない.
指紋センサーはキーボード接続して机上においたときの液晶の右側中央に設置.タブレット状態で縦持ちしたときは、液晶の下部中央という王道な位置になるしくみだ.IRカメラを選択するとWindowsHelloで顔認証もできる.その場合NFCとは排他になる.
付属するペンは「ThinkPad Pen Pro」という名称で、単6(AAAA)のアルカリ電池を入れて使う.左右のクリックボタン付きで2048段階の筆圧検知能力がある.以前はUSBポートにペンホルダーを差していたが、今モデルから専用のホルダーを専用のホルダー溝に入れて使う.空中での感度や使い勝手はSurfaceペンと同じだ.
ベンチマークテスト結果
排熱良好で速度低下もなし
まずCPU速度をCinebenchで計測した.CPU値は633で、同じi7-8550Uを搭載するX1Carbonの645と同値といえる.OpenGLの値は52.3で、これもCarbonの57とほぼ同じ.液晶の後ろ側にメイン基板がある設計なので、通常のクラムシェルより「抑えめ」設定かと思っていたが、そんなことはなかった.
3Dグラフィック能力をみる3DMarkのFireStrikeでは1128で、こちらもCarbonの1158とほぼ同じである.ほかの3D系ベンチでも抜きつ抜かれつという値だった.
ファンから排出される熱は、キーボードを付けた状態で本体の向かって右側上の電源ボタンの近くにあるスリットから排出される.ベンチマークを連続して動作させると、ここから勢いよく排熱が行われ、背面がやや熱くなる.
液晶側にPC本体が入っている2in1では、キーボード側はまったく熱くならないので、利用するうえで、支障はまったくない.また、連続してベンチマークを行っても、過熱による速度の低下などは起きなかった.
SSDは256GBのサムスンMZVLWを搭載していた.CrystamDiskmarkではマルチシーケンシャルの読み込みは3457と高速だったが、書き込みは1319と若干低い値だった.
X1Tabletは42Whのバッテリーを内蔵している.バッテリーのもちはBBenchをいつもどおり、最高パフォーマンス、省エネオフで実行したところ、約2時間駆動した.X1Carbonは57Wh搭載で約3時間だったので、Tabletのほうが若干効率が悪いことになるが、液晶の解像度は2560×1440に対して、3000×2000ドットと高いので、そのぶん消費電力が高くなるのはいたしかたない.
充電時間は同じマックスな使用条件で、50%までが47分、70%までが75分、90%までが約2時間かかった.同梱されているACアダプターは45W出力とCarbonの65W型より小型ながら、1時間以下で50%に届くので不便はない.
長く使うなら
8Gコアのタブレットを買うべし
X1Tabletは付属のキーボードを装着すると厚みは約15.1ミリに、重さは1270グラムになる.試用モデルで重量を計測したが、本体が892グラムでキーボードが372、合計で1246グラムだった.
X1Carbonが1120、YOGAが1420のちょうど間である.ちなみに最新のSurfacePro用キーボード(タイプカバー)は310グラムなので、本体との合計は1092グラムである.タブレットにも、クラムシェル的にも使えるという「変身代」として、クラムシェルより重たくなるのはいたしかたないのだが、モバイルノートとしては、やはり1キロ切りをめざしてほしいところである.
執筆時の直販でのX1Tabletのお値段はi7-8550Uに16GBRAM+256GBSSDで約24万円.SurfaceProはi7-7660Uに8GBRAM+256GBSSDで約20万6000円でタイプカバー約2万円とSurfaceペン約1万3000円を加えていくと同じく約24万円となる.
カタチもスペックもお値段までもよく似たライバルだが、いまのところ、SurfaceProはまだ7Gコアで、8GなのはSurfaceBook2のみである.モバイルに向く8G搭載のWindowsタブレットとして、液晶の解像度も高くて黒くてカッコイイX1Tabletは、いま買いなのだ.
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