夜型人間を育成した「テレホーダイ」
クマさん 「なんだ……。今日は切々と『ishファイル』とか『W-Term』について語るのかと思ってたよ」
まっちゃん 「……なにそれ?」
クマさん 「巡回ソフト」
── パソコン通信は文字のやり取りが中心だったけど、つないだまま見てると時間がかかるんで、最初に掲示板の情報を一気にダウンロードして、あとからオフラインでゆっくり読むんですよ。それを自動化してくれるのが巡回ソフトです。
フジヤン 「今みたいに、常につなぎっぱなしの状態で見るなんて贅沢なことできないから、スグつないで即切るみたいなのを徹底してたわけ」
── それがテレホーダイで変わったのかな。
まっちゃん 「きた、テレホーダイ」
クマさん 「そう。僕はそれをきっかけにサーバー立てたんだよ。深夜になったら勝手につないで、朝までに切る。余ったパソコンをルーターにしてた」
まっちゃん 「へぇ~、パソコンでルーター作れるんだ」
すーさん 「というか、その時代にパソコンが余ってるという状況のほうが不思議」
一同 (爆笑)
クマさん 「自作してアップグレードしていくと余ったパーツでもう1台ぐらいできちゃうんですよ」
まっちゃん 「それはすごいね」
ブラウザーは昔、パソコンショップで箱に入って売っていた
── 巡回ソフトや圧縮解凍ソフトなど、パソコン通信があったから流行ったソフトもありましたね。LHAなど、今でも使われているものもありますが……。そうこうありつつ、インターネット時代が到来。WWWとMosaicが出た1993年ですね。翌年の1994年に「Netscape Navigator 1.0」も登場。当時はブラウザーも有料でパッケージ版が販売されていた。
フジヤン 「それも5000円とか6000円とかしたんじゃないかな……」
まっちゃん 「高けぇ!!」
フジヤン 「ゲームをやるためにソフトを買うのと一緒だよ」
── まあダウンロードでも手に入りましたけど、お金と時間がかかりますから割に合わない面も。
クマさん 「僕は最初ダイヤルQ2でつないでいたな。(interQなど)プロバイダーでそういうのがあった。料金は1分何十円の従量制なんだけど、通信速度が遅くてソフト1本落とすのに1時間とか2時間と普通にかかかるわけ。秒単位で課金されてやきもきするよりは『買った方が早いよね』って気分になる」
まっちゃん 「失敗して高額請求になっちゃった人とかいないの?」
クマさん 「俺はそうならないようにすぐにテレホに入ってサーバー立てたの。失敗してネットに一定期間現れなくなる人もいたけど、そういう状態を「みかか死」っていうの。かな入力でNTTと打つと「み・か・か」となるでしょ? 用例は『あいつ最近見ないね。みかか死したみたいよ』って感じ」
まっちゃん 「いまのパケ死と同じか」
クマさん 「今月はつなぎすぎて、みかかが怖いみたいな会話をよく聞いた」
── いまも昔も通信の世界で使われる用語は独特ですね。ブラウザーでインターネットを見られるようになったのが1993~4年ぐらい。テレホーダイは1995年ぐらいからかな。
すーさん 「覚えている、23:00~8:00までね」
まっちゃん 「夜型人間を育成したサービスだな」
クマさん 「ただ23:00に電話するのでは、みんなが一気に掛けるかけるから、ずっと話中になっちゃうの」
すーさん 「そのためのリダイヤルアプリもあった。23:00になったら電話をかけ始め、自動的につながるまで何度もトライしてくれる」
クマさん 「先につないどくっていう手もあるけどね。多少請求額が増えるけど、僕はそうしてた」
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