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3眼レンズ搭載の「HUAWEI P20 Pro」は他社の半年先を行く

2018年04月04日 16時30分更新

 ファーウェイが発表した最新フラグシップスマホ「HUAWEI P20」シリーズの取材のため、筆者もパリまで行ってきました。

Mate 10ではドイツのミュンヘンだったが、P20の発表はフランスのパリで開催。絵になる建造物が多い。

 前モデルである「HUAWEI P10」の後継モデルとして、P11ではなくP20と大きく型番がジャンプしましたが、その中身は「半年先のスマホ」と感じるほど進化していました。

見る角度によって色合いが変わる「Twilight」色が目を引く。

ソフトウェア処理の進化によりついに「三脚不要」へ

 最近のスマホメーカーはほぼ例外なくカメラに注力しており、ファーウェイとライカのように、カメラやレンズのメーカーと組む事例も増えています。カメラの進化はもはや当たり前になりつつあり、業界を驚かすことは難しくなっています。

 その中でHUAWEI P20は、これまでにない「3眼」のカメラを予告していたこともあり、かなりハードルが上がった状態で発表イベントを迎えたといえます。

 それを踏まえてもなお、P20シリーズのカメラは驚異的な進化といえるものでした。メインカメラの画素数は4000万画素で、1/1.7インチというセンサーサイズは筆者の取材カメラであるオリンパスの「Stylus 1」と同じ大きさです。さらに望遠レンズは光学3倍相当の焦点距離となっています。

 さらに凄いのがソフトウェア処理の進化です。ファーウェイが言うところの「AIによる手ぶれ補正」により、P20シリーズでは最大6秒程度のシャッタースピードによる夜景撮影を、三脚を使わない手持ちで実現できるというのです。

従来の光学式手ぶれ補正(OIS)を超える、AIによる手ぶれ補正(AIS)を搭載。

発表イベントでは、三脚なしで撮影した夜景写真をいくつも披露。

 たしかに「手持ちで夜景を撮る」だけなら、たいていの最新スマホが対応しています。それに加えてP20シリーズでは、本格的なカメラを三脚などに固定して撮ることでしか得られなかったような、雰囲気のある夜景を撮れることが大きな違いです。

手持ちでも雰囲気のある夜景を撮れる(ISO200、シャッター速度4秒)。

最新プロセッサーとAI技術をいかに連携できるか

 AIによる手ぶれ補正は、内部的には複数の画像を合成するように動作しているようです。こうしたアイデア自体は珍しいものではなく、クラウドのCPUパワーを使い、十分な時間をかければ、かなり高度な処理ができるはずです。

 しかしスマホのカメラでは、使える計算能力が限られており、シャッターを切った後の時間的余裕もないことから、リアルタイムでの画像処理には限界があったといえます。

 そこでファーウェイが活用したのが、Mate 10シリーズから搭載している「Kirin 970」が持つ、人工知能用に特化したプロセッサーです。これにより、従来は難しかった画像処理がローカルで短時間のうちに可能になったことで、「三脚が不要」になったといえます。

写真加工アプリ「Prisma」も、Kirin 970のパワーにより初めてローカルで動作するという。

 最新のSoCの進化を見る限り、2018年後半にもなれば他社のスマホにも似たような機能が搭載されていくでしょう。その中でもファーウェイは、プロセッサーの進化とソフトウェア技術を連動したカメラ開発に成功しており、他社よりも半年先を行っている印象があります。

 多くの消費者は2年に1回程度スマホを買い換えるため、新機能を半年早く搭載することにどれくらい意味があるのか、という論点はあるでしょう。また買い替えのタイミング次第では、同じく自社開発のSoCを持つアップルやサムスンのほうが先行する場合もあるはずです。

 ただ、こうした先進性がブランドイメージを引き上げることで、「ファーウェイを含むスマホ上位3社」と「それ以外のメーカー」の差を明確なものにしていく効果はありそうです。ファーウェイの売れ筋である「P10 lite」やその下に位置する中低価格機の売り上げにも、良い影響を与えるでしょう。

 何より、最新スマホを求める人にとって、普通のスマホでは不可能な新機能をいち早く手にできるのは嬉しいものです。せっかく獲得した「半年先」のアドバンテージを活かすためにも、日本でのなるべく早い発売を期待したいところです。

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