IoT&H/W BIZ DAY 5 by ASCII STARTUPレポート
CES・SXSWだけじゃない!海外スタートアップイベントが熱い
4YFNにナショナルパビリオンとして日本スタートアップ7社が出展
次は、バルセロナで開催された世界最大級のモバイルイベント「MWC(Mobile World Congress)」と併催されるスタートアップのイベント「4YFN」について。こちらは、萩原氏が紹介してくれた。萩原氏は、前出の「飛躍」プログラムに名前が付く前の初年度に選出されてSXSWに出展した経験を持っている。今年は「4YFN」に日本のスタートアップ7社を集めたナショナルパビリオンという形で「Japan Rising Startups 2018」を出展した。
「4YFN」は「4 Years From Now」(これからの4年間)という意味。これから4年間で注目されるであろうスタートアップの見本市と位置づけのイベントだ。今年で4年目となり、主催者発表で2万人の参加者で、600社以上のスタートアップが展示しているという。ナショナルパビリオンとしては、12カ国が参加している。
「一般的にナショナルパビリオンは、何らかの形で国の支援を受けて出展することがほとんどですが、今回の日本パビリオンは出展各社の持ち出しで実現しました。政府の支援は受けていません。4YFNでは毎年ピッチコンテストがあるんですが、昨年我々がエントリーして、IoT領域のトップ8ファイナリストとして招待していただいたんですね。その時、ほとんど日本勢がおらずものすごいアウェイ感があり、寂しく感じたんです。そこで、今年は日本のパビリオンを作りたいという思いから、このプロジェクトを始めました」(萩原氏)
では、スタートアップ向けイベントとしてCESやSXSWと4YFNはどこが違うのか。
「北米とヨーロッパというリージョンの違いはありますが、MWCはカンファレンス、商談の場というイメージがあります。CESは製品展示で、SXSWはテクノロジーの披露会というイメージ。MWCはどちらかというとソリューションの展示という感じです。入場料だけで10万円くらいするので、ある意味本気の人が商談をしに世界中から集まってきている。ここ数年の勢いの中で、スタートアップにどんどんフォーカスが当たってきているのは、どこも同じですね。今回パビリオンとして共同出展してみて、プレゼンスの向上という意味では1社単独出展に比べて大きな成果がありました。」(萩原氏)
大企業とスタートアップのコラボがメインになるViva Technology
最後は、2018年5月にパリで予定されている、「Viva Technology」について美谷氏が紹介してくれた。美谷氏は2016年に「Viva Technology 2016」で開催されたekito社のピッチコンテストで優勝し、「Viva Technology 2017」ではDiscobery Zoneに展示したこともある。
「『4YFN』はいろいろなスタートアップがぎゅっと集まって、中でピッチをしたりカンファレンスを開催したりしています。一方、『Viva Technology』はスタートアップと大企業のコラボレーションを軸にした構成になっています。それぞれの業界を代表する大企業が、50社くらいのスタートアップをスポンサードして展示しています」(美谷氏)
スタートアップを集める際、大企業があらかじめ課題を公募するのがユニークだ。たとえば、ルイ・ヴィトングループの場合、次代のラグジュアリービジネスとしてどういったものがありますか? といった問いかけをするという。また現地でカジノビジネスをしている企業なら、今後のeスポーツとしての新しい提案を募集します、といった具合だ。
「『Viva Technology』に参加すると、それぞれの分野の大企業がどのような課題を持ち、どのようなイノベーションを求めているのかがわかります。あとは、バイヤーはそんなにいないのですが、似たような立場にいる人たちと出会いがあるのが面白いですね」(美谷氏)
「次回の『Viva Technology』と『4YFN』はジェトロとして、Japanブースを出展します。ジェトロは年中色々なところで展示会をしているのですが、ただ行くだけではなく、事前準備をしっかりします。単独で出るよりは、ジェトロのスキームで出る方が簡単です。あとは、海外を目指しているのは自分だけではない、同じ目標を持つ仲間がいるんだと認識できるというのも大きいと思います」(奈良氏)
どのイベントも魅力的で楽しそうだが、海外のためなかなか気軽に行くことができない。そのため、実際に参加した人たちの生の声はリアリティーがあって、とても参考になる。どのイベントでも共通しているのが、グローバルでスタートアップの存在感が増していること。この流れは続きそうなので、今後のイベントも追いかけていきたい。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります