暗くてむずかしい夜桜もTX2ならなんとかなる?
続いては夜桜です。夜桜が有名な場所は、だいたい桜がうつくしく見えるようにライトアップされているので、実は昼の桜よりも撮るのが楽だという人もいるようです。ただ、暗い。お花見スポットではスマホで撮影している人も見かけますが(というより見ないことはないぐらい)、スマホレベルのカメラで暗所の撮影はかなりきびしく、うっかり露出を上げすぎるとノイズだらけになります。
コンデジはスマホほど苦労しないにせよ、適当に撮ると「暗いところで白い花がワサワサしてる」妙な絵面になりがちです。しかも昼と違って、夜は木の幹や枝が黒く写り、主張がはげしくなるため、ますます白黒な見た目になってしまう。そのようなシチュエーションでは、初心者がマニュアルモードで撮影すると悲惨な結果にもなりえます。シャッタースピードや絞りを変えるとこうなる……ということが、頭でわかっていても、実践できるかはまた別の話でして。
今回は、細かい設定をせずに、パナソニック得意の「おまかせiA」にまかせてみることにしました。カメラが撮影するシチュエーションを判断して、適した設定にオートで設定してくれる機能。LUMIXシリーズで採用してきた技術を応用したもので、さまざまなシーン(撮影条件)を自動で認識してくれます。
また、手ブレを防いできれいな夜桜を撮影するためには三脚を使うのがよいでしょうが、人がおおぜい押し寄せる場所ではきびしいので、あえて手持ちで挑みます。手持ち+ときどき望遠ズーム+おまかせモードで、夜の桜を撮るのは、かなりカメラの性能が試されるはず。そもそも撮影者のセンスも試されているのではないか……との思いが頭をよぎましたが、それは脇に置いておきましょう。
手持ち+カメラ任せでもいけるが
露出をちょっと上げてもいいかも
ノイズ処理もうまく、なかなかいい感じで写してくれます。ただ、夜景で望遠となると、手持ちでいい加減に撮ると手ブレも出てくるので、シャッターを押すときに気をつける必要はありますが。
TX2は、ズーム倍率が高いぶん、レンズが暗いのが難点。前モデルのTX1と比べると、25-250mm(35mm換算値です)から、24-360mmと15倍に広がっている代わり、F値は3.3-6.4と暗くなっています。さらに3.3とはいっても望遠にするとすぐ暗くなり、中望遠以降はおよそF5.6くらいになることが多い印象。
どうしても暗い場面では、すこし露出を上げてみるのもいいと思います。おまかせiAの場青、基本的にはカメラが自動でシーンを認識するのですが、そのうえで「明るさ」「色合い」「ボケ味」を調整できます。パナソニックはこれを「インテリジェントオートプラス(iA+)」と呼んでいます。
ただ、やりすぎると不自然になるしノイズも目立つ。そこでブラケット撮影を使い、よいものを選ぶ方法を採用するといいでしょう。
ちなみに購入記事でも書いたのですが、TX2は背面のモニターがチルトしないのが惜しい。とくに花見スポットでは、大勢の人がいるときにカメラを掲げて遠くのものを(他人の頭の上から)撮ったり、あるいは上の方にある花をローアングルから見上げるように撮ったりしたい。パナソニックは、モニターの広視野角液晶をウリにしていた時代もあったので、それでカバーできると考えているのかもしれませんが……もし後継機(TX3?)が発売されるなら、ご一考ください。
さすがに撮影者のスキルは必要
でも、優秀なカメラは撮影をたのしくする
カメラ初心者が桜の写真を撮ってきましたが……記事の理想としては「カメラをぜんぜん使っていない自分でもTX2でプロ並みの写真が!」となることでしょうが、まあ、世の中そこまで甘くはありません。1型センサーの高級コンデジでも、使い手が何も考えないと、きれいな写真になるわけがない。
そこを踏まえたうえで言うと、コンパクトなサイズ感で、高倍率ズームもマクロもあるよ、1型センサーの高画質だよ、というのは、とにかく撮りやすい。高性能なカメラ+レンズとなると、大きくて重いためにとっさに取り出せなかったりする。コンパクトで軽量でも性能がそれほどでもないとなると、もうスマホでいいかとなりがち。
なので、TX2における、コンデジのサイズ感でありながら画質もよいし望遠もいける「これ1台でなんでも感」は、すばらしい長所だと思います。レンズの明るさがちょっと気になるかな、という人でなければかなりオススメです。
そんなわけで、撮影者のスキルは必要だけれども、優秀なデジカメを買うとうまく撮れる可能性がぐっと高まるので、撮影はたのしくなります……というのが今回の結論。まだまだ練習は必要でしょうが、すぐれた機材があれば、練習の成果もわかりやすくなり、より一層の励みになるというもの。これからも修行してまいります。
「LUMIX DC-TX2」主なスペック | |
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機種名 | LUMIX DC-TX2 |
撮像素子 | 1.0型 高感度MOS センサー |
有効画素数 | 2010万画素 |
レンズ焦点距離 | f=8.8-132mm(35mm判換算: 24-360mm) |
解放F値 | F3.3 - 6.4 |
感度設定 | ISO 125-12800(ベース感度はISO80とISO100に、最高感度はISO25600に拡張可能) |
モニター | 3.0型(3:2)約124万ドット 静電容量方式タッチパネル |
ファインダー | 0.21型フィールドシーケンシャル方式カラー液晶 約233万ドット相当 |
Wi-Fi | IEEE 802.11b/g/n |
Bluetooth | Bluetooth v4.2 |
本体サイズ | 幅111.2×奥行き45.2×高さ66.4mm |
重量 | 約340g(バッテリー、メディア込み) |
価格 | オープン価格(実勢価格は9万8000円前後) |
モーダル小嶋
1986年生まれ。担当分野は「なるべく広く」のオールドルーキー。ショートコラム「MCコジマのカルチャー編集後記」ASCII倶楽部で好評連載中!
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