2018年3月12日、エンタープライズ向けRPAソリューションを展開する米Kofaxは事業戦略説明会を開催した。高いセキュリティや耐障害性を持つサーバー型RPAのメリットをアピールするとともに、2月に発表されたばかりの三菱東京UFJ銀行の事例についても言及された。
ファーストマイルでの顧客体験向上と事務処理負荷の軽減を実現
米Kofaxはカリフォルニア州アーバインに本社を構えるPPAソフトウェアのベンダーで、従業員は30ヶ国で1600人以上、グローバルの顧客は金融機関を中心に2万社を超える。日本ではすでに20年近くビジネスを展開しており、2月には三菱東京UFJ銀行で同社のRPAプラットフォーム「Kofax Kapow」の導入が発表されている。
KofaxのようなRPAが必要になる背景として、米Kofaxのエロル・マスカレンハス(Errol Mascarenhas)氏はスマートデバイスの普及により、企業に対するユーザー側の要求が高度になっている点を挙げる。ユーザーと企業がタッチする「ファーストマイル」において、顧客体験を向上させ、同時にバックオフィス側での事務作業を効率化させる必要があると指摘した。「エンタープライズ側のSoRとユーザー側のSoEのギャップを埋める役割を持っている。よりよいユーザー体験を提供するとともに、業務プロセスを向上させる」と語る。
「Making The First Mile Smarter」を謳うKofaxでは、領収書やデータ入力、プロセッシング、ドキュメント発行などの情報キャプチャ、請求書手続きや買掛金処理、金融情報の手入力作業などの金融プロセス、顧客の申し込みプロセス(オンボーディング)などのプロセス自動化を実現する。また、あわせて顧客管理や電子署名、BIなどの機能も提供し、前述したファーストマイルにおける顧客体験の向上と事務処理の負荷軽減を実現する。スクリプトを組まずにGUIでの設定が可能で、最短30分でロボットを作成できるという。
2000件以上の業務プロセス自動化に乗り出す三菱東京UFJ銀行
同社のKofax Kapowはセキュリティやコンプライアンス、高い耐障害性などに対応したエンタープライズ向けのRPA。レポート作成やマクロ自動実行などを実現するデスクトップ型RPAと異なり、Kofax Kapowは基幹システムや企業間連携を前提としたサーバー型で、AWSやAzureなどのパブリッククラウド上での動作も実現。日本法人のセールス・マネージャーである河上勝氏は、「業種業態に特化したBPOロボットをパブリッククラウド上で構築してもらうビジネスモデルを考えている」と語る。
国内では、前述した三菱東京UFJ銀行がKofaxを用いたRPAのグローバル展開を進めている。もともと同社がRPAのPoCを始めたのは2014年夏で、住宅ローンにおける団体信用生命保険業務に適用。「既存の業務プロセスを一切いじらないで導入して欲しいというリクエストをいただいた」(河上氏)とのことで、BPM刷新を行なわずにPoCを実施した。その後、20の業務で年8000時間におよぶ時短効果が実証され、2017年からは基幹業務に適用。2018年からは国内700、海外1000業務を目指し、2000件以上の業務プロセスの自動化を目指す。
パートナーとしては、富士通やアクセンチュア、富士ソフトなどが名を連ねるほか、RPAテクノロジーズがKofax製品をOEM提供している。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります