アイデアを武器にインバウンド市場へ挑むスタートアップ10社を紹介(前編)
街の魅力をハードやアプリで伝える新しい「おもてなし」
2018年2月19日から21日にかけて、日本最大級のインバウンド市場イベント「インバウンドマーケットEXPO2018」が東京ビッグサイトで開催された。増加する訪日外国人を対象に、多言語対応や決済サービスをはじめとする各種ソリューションや日本各地の名産・観光などを紹介する催しだ。アスキーも特設ブースを開設し、スタートアップ企業の出展を支援した。スタートアップならではのスピード感やアイディアでインバウンド市場にアプローチする企業10社を前後編で紹介したい。
スマホではなく街を見て歩いてもらうSmart Compass
株式会社YEEAHは、専用のスマホアプリで目的地を設定すると、光の矢印で目的地の方角を指し示すシンプルなナビゲーションデバイス「Smart Compass」を提供している。スマホが手元にあるのならGoogleマップを使えばいいのでは? と思うかもしれないが、Smart Compassには独自の思想と目的がある。
「最短距離で目的地に到達するのではなく、周囲の景色を眺めながら観光を楽しんでほしい」(Smart Compass担当者)
観光地を訪れても、目的地にたどり着くまでスマホの画面とにらめっこをしていては景色を楽しめない。道を間違えないよう地図アプリに見入ってしまい、移動中の景色を見ていないという指摘は筆者にも思い当たるところがあった。観光名所は楽しんでも、移動はただ単に移動であり、それ以上でも以下でもなかった。Smart Compassがあれば、移動の時間も現地を楽しむ時間になる。こちらはすでに公式ストアで購入することができる。無料の専用アプリは、現状iOSのみに対応。
無料SIMカードを通じて滞在体験をより良いものにするWAmazing
WAmazing株式会社が提供するWAmazingアプリは、日本国内で利用できるSIMカードを「無料」で受け取ることができるアプリだ。利用者希望は日本を訪れる前に、まず自国でオンライン事前登録を済ませる。日本入国後、空港に設置されている専用の機器にQRコードをかざすだけでSIMカードを受け取ることができる。通信容量は500MBで、15日間に渡って利用可能だ。
アプリでホテル予約を行なうなどWAmazingのサービスを利用することで、追加の通信容量を受け取ることができる。また、アプリ内から国内のツアーやタクシーの配車なども可能。アプリはiOS/Android向けに提供されており、現在は中国語のみだが、今後多言語対応する予定とのこと。
しっぽだけなのに想像以上の癒しを得られるQoobo
ユカイ工学株式会社が開発した「Qoobo(クーボ)」は、なでるとしっぽを振って応えるクッションのようなロボット(ロボットのようなクッション?)だ。「胸に抱いてみてください」と言われ、実際に抱いてなでてみると、なで方によって変化するしっぽの反応に想像以上に癒された。「疲れて家に帰った時、癒やしの存在が家にいてくれたら」というユカイ工学の女性デザイナーの想いをきっかけにしたプロジェクトだそう。
同社のブースには、家族をつなぐコミュニケーションロボット「Bocco(ボッコ)」も展示されていた。東北の言葉でこども、童っこを意味する「ぼっこ」という方言からネーミングされ、「現代の座敷わらし」をイメージして開発されたという。スマホアプリや積み木型のセンサーとBluetoothで接続して、メッセージのやり取りや家にいる家族の見守りをしてくれる。家族に送ったメッセージの読み上げたり、振動センサーでドアの開閉の確認を検知して声をかけるなど、センサーとの組み合わせにより多彩な使い方が考えられる。こちらから呼びかけるばかりではなく、毎日朝8時に今日の天気を喋らせることができるなど、普及し始めたスマートスピーカー群とは一線を画す立ち位置を目指していると感じた。
月間4200万人がみるウェブグルメメディアfavy JAPAN
株式会社favyが提供するfavy JAPANは、「食」の魅力でインバウンド誘致する複合メディアだ。Facebookのフォロワー数は248万人を超え、YouTubeも活用して日本の飲食店の魅力を動画や記事で発信している。
インバウンド市場向けには、月額5万円から、食専門の外国人ライターによる取材記事とSNS広告の掲載、多言語対応した店舗のホームページなどのサービスを提供する。
RALLYを使ってモバイルスタンプラリーを無料で作成
株式会社フェイスクリエイツが提供する「RALLY」は、モバイルスタンプラリーを誰でも簡単に作れるサービスだ。スマホで遊べるスタンプラリーを最短5分で作成可能、なおかつ多言語に対応している。位置情報以外にQRコードにも対応しているため、GPS信号を拾いにくい屋内でも利用できるのはユーザーフレンドリーなポイントだ。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります