週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

一般ユーザーにおけるセキュリティー意識の低さが露呈

パスワードの使い回しが「横行」――ノートンが警鐘

2018年02月15日 12時55分更新

 「ノートン」ブランドを展開するセキュリティーベンダーのシマンテックは2月14日、消費者意識調査「ノートン サイバーセキュリティ インサイト レポート2017」を発表した。調査対象となったのは、アメリカ、イギリス、中国、オランダ、日本など20ヵ国で、18歳以上のデバイスユーザー2万1549名を対象にオンライン調査を実施した。

 対象国における過去1年間のネット犯罪の被害者総数は9億7800万人にのぼった。日本におけるネット犯罪の被害を受けた人数は1774万人、損失額はおよそ2289億円(21億USドル、1ドル=109円換算)で、これらの金銭的損失のほとんどは賠償されていないという。

 同社は今回の調査から、ネット犯罪の被害にあう人に対して、日常的に自宅や外出先で複数のモバイル機器を使いながら「複数のアカウントで同一のパスワードを使用」「他の人とパスワードを共有」するといった共通の特徴を指摘。「インターネットのセキュリティについては基礎的な知識さえ持っていない」と分析した。

 さらに、ネット犯罪被害者のうち39%が「自分はハッカーによる攻撃からデータや個人情報を守れている」と考えており、33%が「自分がネット犯罪の被害者になる可能性は低いと思っていた」と回答したことを明かしている。

 過去1年間の日本人ネット犯罪被害については「詐欺メール被害(42%)」「アカウントのパスワード盗難被害(37%)」「PC、タブレット、スマートフォンのウイルス等への感染被害(34%)」が上位3位であると発表。特に「アカウントのパスワード盗難」(日本37%、世界平均34%)、「オンラインショッピングにおける詐欺」(日本33%、世界平均30%)、「自分を証明する個人情報の盗難」(日本18%、世界平均14%)については世界平均を超えている。それにも関わらず、調査対象の日本人の21%は、使用機器にパスワード管理やセキュリティソフトウェアなどによる保護はまったく導入していないという。

 パスワードの管理方法についての調査では、対象およそ半数となる48%(世界平均:34%)が、複数のパスワードを紙に書き留めて管理していることが発覚。さらに日本では13%(世界平均:19%)が、すべてのアカウントに同一のパスワードの使いまわしが「横行」していると報告した。同社では紙片によるパスワード管理は紛失のリスクを指摘し、パスワードの使いまわしはハッキングの危険性が高まると警鐘を鳴らしている。

パスワードの管理方法で最も多いのは「紙に書き留める」

「日本人の3人にひとり」が他人とパスワードを共有するという、信じ難い調査結果も。5人にひとりは銀行アカウントのパスワードまで共有しているという

 調査結果を踏まえて、ノートンでは「システムを最新の状態に保つ」「長く複雑なパスワードと2段階認証を使う」「公共Wi-Fi接続に注意する」「詐欺メールに警戒する」「セキュリティソフトウェアの利用を検討する」という5点を提案。シマンテックのコンシューマービジネス部門エグゼクティブバイスプレジデントであるフラン・ロシュ氏は、ユーザー意識の低さと基本的なセキュリティ行動の重要性を指摘した。

「ネットセキュリティに関する生活者の意識と行動は必ずしもともなっていません。ネット犯罪は依然として隆盛を極めており、毎日のようにメディアが報道しているにもかかわらず、あまりにも多くの人々が自分は大丈夫だと思っており、自らを守るための基本的な予防策さえ講じていません。デジタルライフにおけるセキュリティの必要性は高まっており、ネット犯罪被害の予防のためにまずできることとして、生活者はネットセキュリティの基本に立ち返ることが緊急に必要です」(ロシュ氏)

■関連サイト

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう