AppleはMacへのWowを用意できるか
Appleは2018年にも、MacでiPadアプリ(iPhoneアプリ)を動作させられるようにOSを整備する計画だと伝えられています。このことと「What's a computer?」のCMを見ると、Appleがこれから準備している展開をうかがい知ることができます。
AppleはiPadへの移行について、「iPhoneからのステップアップ」「Macの補助的なデバイスとして」「Windows PCからの移行」という3つの筋を考えていると思います。もちろん、「まったくの新規購入」という線もあるとは思いますが。
今回のCMは、「iPhoneからのステップアップ」と「Windows PCからの移行」(と、「まったくの新規購入」)を念頭に置いたものでしょう。得てしてマーケティングでは、相手にされていない人は腹を立てがちになるとは思いますが……。
Appleとしては、iPadから入ってそのままiPadを使い続けてくれれば良いと思いますが、それでも子供なら学年が進んでプログラミングに取り組むようになったり、仕事を始めてもっと高度な処理を大きな画面で取り組みたいというニーズが出てきた際、Macがその受け皿になるかどうかが重要になります。
むしろプレッシャーがかかるのは、Macでのユーザー体験ということになります。リーズナブルな価格で、iPadの延長戦にあることを演じつつ、iPadを上回る体験を作り出せるかどうか。
アプリの共通化は利便性の確保にはなりますが、それだけでは不十分です。すでにタッチ操作やApple Pencilでの手書き作業が可能なiPadを、その採用の可能性を否定し続けてきたMacが、ユーザー体験面で上回ることは難しそうです。
それこそ、手元のiPadがMacのインターフェイスとして振る舞うようなことでもない限りは……。そう考えると、たとえばiPadをMacのセカンドディスプレイとして活用できるDuetなどのアプリを買収し、ワイヤレス接続を強化するような流れもあるのかもしれません。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
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