プレイベントも含めるとほぼ1週間という長期間のイベントだったCES2018の取材も終わりました。海外取材中に最も重要となるのが通信回線の確保です。日本国内にいる分には大手キャリアからMVNOまであらゆる回線をコストに応じて選ぶことができますが、海外に行くとなると、同じようにはいきません。一番安いのは現地でプリペイドSIMを買うことですが、それももう不要の時代を迎えています。
CES2018に来ていたライターの方々は、ドコモ、au、ソフトバンクの海外ローミングサービスを使っていました。ドコモならキャンペーン中で980円/日、ソフトバンクのアメリカ放題はキャンペーンで無料。auも国内無料利用分を980円/日で利用できます。これらを使えば滞在が1週間でも通信料金は1万円以下で済みます。
しかし、MVNOしか持っていないとなると海外ローミングのデータサービスが使えませんから、おのずと現地でプリペイドSIMを買う必要が出てきます。でもアメリカのプリペイドSIMって高いんですよ。アジアのような「1日いくら」あるいは「○GBでいくら」というパッケージではなく、月額制。1日だろうが1週間だろうが、1ヵ月分のプランに入らなくてはならないのです。キャリアによっては日額プランもあるのですが、表で堂々とアピールされているのは月額プランなので端折ります。
たとえばAT&Tなら35ドルで1GB、45ドルで6GB、65ドルでデータ定額(22GB以降速度制限)。データプランなら25ドルで2GBと安くなりますが、それでも3000円近い出費になります。MVNOなら安いところもありますが、最低料金は20ドルや3ドルで、やはりそれなりの出費です。
もともとSIM文化だったヨーロッパやアジアの各国では、空港にキャリアのカウンターがありプリペイドSIMを売っています。全キャリアが横並びで料金を競い合っていることも珍しくありません。それに対してアメリカは空港にキャリアが出店していることはまれで、最近はSIM自販機もありますが料金は高め。たとえば最近よく見かける自販機だと1GBで60ドル、2GBで80ドルもします。「空港着いてSIMを買って、あとは現地滞在を楽しむ」ができないのです。
アメリカに行く際は、あらかじめアメリカでも使えるプリペイドSIMを日本で買っておく方がラクかもしれません。以前であれば渡航先の国のSIMを買う必要がありましたが、いまや各国で周遊できるグローバル対応SIMも増えています。有名どころではタイのAISの販売するSIM2Fly。アジア版と世界版があり、アメリカも使える後者は15日間4GBのデータが使え、アマゾンでも輸入業者が販売しています。ちなみにこのSIMは海外SIMなので、スマートフォンに入れて日本で使う場合はローミング扱いになります。
筆者も今回のCES 2018期間は、初めて現地SIMを買わずに過ごしました。利用したプリペイドSIMは香港キャリアの販売品。中国移動香港が昨年末に発売した「アメリカ・カナダ・香港3GB」プリペイドSIMというもの。定価は288香港ドルなのですが、キャリア自らが半額以下、128香港ドル(約1800円)で販売しています。これを2枚買えば6GB、256香港ドル、つまり33米ドル。アメリカのキャリアを使うよりも安上がりです。
この手のプリペイドSIMの利点は誤課金が無いこと。プリペイドですから、払った分(買った分)しか使えません。後から数万円の請求が来るなんてことはありえないので安心です。またAISのSIMも中国移動香港のSIMも、端末に入れAPNを設定し(通常自動設定される)データ通信を行なえば、それだけで開通できます。面倒なユーザー登録も不要なのです。「買って、入れて、使う」と簡単。これがプリペイドSIMの利点でしょう。
もちろんデメリットもあります。使いすぎた場合、速度制限でかなり低速になったり、上限に達するとその時点でSIMが使えなくなることもあります。そのようなことがないように、予備のSIMを1枚用意しておくといいのですが、余計な出費になってしまいますね。このあたりはデータ利用分の管理をしながら使うしかないでしょう。「気が付いたら使い切っていた」なんて使い方をする人は、素直にWi-Fiルーターのレンタルを使ったほうが安心です。
日本のMNOのローミングだけで現地滞在を済まそうという人も、念のため予備にプリペイドSIMを用意しておくと安心です。観光旅行はいいとして、仕事で行く場合は自分の手持ち回線に不具合が起きたときに、予備が無いとお手上げです。筆者のように取材に行くときは、常に2キャリア以上のプリペイドSIMを用意しています。
結論として言えるのは、海外に行くときにアマゾンで「海外SIM」で検索すると、いまや数多くのプリペイドSIMが売られていて、それを買っていけば現地SIMを買わずとも安上がりに済ませることができる時代になった、ということです。もちろん購入するときにはデータ料金がいくらになるかは確認しましょう。最近はDSDSのスマートフォンも増えていますから、海外渡航時には片側にプリペイドSIMをいれ、海外でDSDSを楽しむのもいいですね。
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