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ローテクのコインランドリーをApple Payに対応させたIoTの仕組み

2018年01月24日 12時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII編集部

コイン獲得に腐心せずに済むうえ、面倒事もない

 こちらでは機械に、コインをたくさん持って入れる作業は、単調ながら神経質になることがあります。

 まず、コインを落とさないようにしなければなりません。もしマシンの下に入ってしまったら、長い獲物で探って、埃だらけのコインを発見しなければならなくなりますし、救い出せなかったときの悔しさといったら……。あまり思い出したくないですね。

 コインを落とさなくても、入れたのにカウントされないみたいなこともあり、これまたフラストレーションが溜まります。コイン排出のボタンを何回か押すと出てきたりするのですが、出てこないことだってあります。

 そう考えると、コインを入れてマシンを回す動作そのものに対して、あまり筆者は信頼感を持っていなかった、ということになりますね。

 そのため、落とさぬように、吸い込まれないように、一定のペースでコインを入れなければなりません。8枚もそれを繰り返すとなると、やはり時間がかかります。

 筆者の場合はストレスを溜めるだけなのでまだ良いとしても、小さな子供やお年寄りの方、車椅子の人にとっては、大量のコインを高い位置にある挿入口に続けて投入し続けることが困難なこともあります。PayRangeでコインなしで使えるようになれば、いろいろな問題を解決できるようになるのではないかと思いました。

最初は恐る恐る、でもちゃんと動作した

 しかし、刷り込みとは怖いものです。コインでマシンを動かすインターフェースへの信頼感が薄い筆者は、PayRangeですら、チャージしたのに動かなかったらどうしよう、という元も子もない不安感で、最初はおっかなびっくりしていました。今ふりかえれば、どれだけコインのマシンにトラウマがあるのか、もはやその原因すら思い出せないのですが。

 結論から言えば、アプリからチャージしたマシンは無事に動作し、コインを入れなくても、ただスタートボタンを押すだけで動き始めてくれました。これで、コイン集めから解放された生活が始まると思うと、少し気が楽になったような感覚すら覚えます。

 さて日本はというと、2015年12月には、SuicaやPASMO、nanacoなど複数の電子マネーに対応したコインランドリーが東京で登場しています(参考:http://www.toppan-f.co.jp/news/2016/0129.html)。コインロッカーも早々に交通系ICカードで利用できるようになっていたので、似た性格もあるコインランドリーが使えるようになってもなんら不思議はありませんね。

日本にはQRコードをスマホで読み込むことで、洗濯の状況がわかるコインランドリーもあるようです

 日本はまだまだ現金が流通している国だと言われていますが、生活の基盤となっている交通系ICカードの利活用が活発になるなど、まだまだアドバンテージがありそうです。ただ、スマートフォンとIoTが紐付いて、アメリカでも急速にソリューションが広がっている点も、注目していきたいところです。


筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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