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待機児童問題に対して会社としてできる支援を考えたSansan

保育園料全額負担は「戻ってくるの待っているよ」のメッセージ

その会社にはその会社ならではの働き方がある。みんなの働き方改革・業務改善を追う連載「私たちの働き方カタログ」の第17回は、名刺管理サービスを展開するSansan。保育園料全額補助を含む産休ママの職場復帰支援制度「MOM」について、Sansan 人事部の我妻 小夜子氏に聞いた。

Sansan 人事部の我妻 小夜子氏

ベビーラッシュをきっかけに制度の刷新を推進

 都市部で働く女性の職場復帰の足を引っ張る「待機児童問題」。職場復帰したくても、保育園に入れず待機児童となってしまう状況は長らく解消されておらず、「保育園落ちた日本死ね」というネット上での叫びは2016年の流行語にも選ばれた。こうした待機児童問題に会社として正面から取り組み、産休ママたちの職場復帰を強力に推進しているのが、名刺管理サービスを展開するSansanだ。

 2017年11月に開始されたSansanの「MOM(Measure Of Maternity)」は、満3歳までの保育園料の全額補助を中心に、送迎タクシー代の負担(月額4万円)、入園予約金の補助、保活コンシェルジュ利用の会社負担まで含む職場復帰支援制度だ。保育園料の全額補助や保活まで含め、ここまで包括的に保活を支援する制度はきわめて珍しい。

 もともとSansanにも月6万円を上回る保育料を上限3万円まで支給するという制度があったが、適用人数はそれほど大きくなかった。しかし、1年半前くらいに結婚・出産の適齢期のメンバーが増え、一気に5~6人が出産・産休を迎えるベビーラッシュになったという。そこで、彼女らの職場復帰を促進すべく、大きく見直したのが今回のMOM。制度を推進したSansan 人事部の我妻 小夜子氏は、「妊娠・出産で一時的には離れてしまっても、ママさんたちはSansanにとっては貴重な戦力。早く帰ってきてほしい、戻ってくるの待ってるよというメッセージがこめられています」と語る。

使われないような制度は作りたくなかった

 制度作りに関しては、ママたちの声を徹底的に反映した。我妻氏が社内のママさんに復帰に当たってのハードルを聞いたところ、なにより深刻だったのは待機児童問題だった。実際、首都圏近郊に在住するメンバーの中で、出産から1年以内に保育園に預けられたケースがほとんどなかったこともあり、保活を徹底的に支援するという制度の骨子が決まった。

 社長からの提案で実現したのが保育料の全額補助だ。認可外や多少高額な保育園でも、会社が全額負担することで、安心して預けられるようにするのがその趣旨。社内に託児スペースを作る、あるいは近所の保育施設と提携するといった方策も検討したが、「ママさんたちに聞くと、そもそもオフィスの近くまで子供を連れてくること自体がハードルという声が高かったんです」(我妻氏)とのことで却下になった。また、「保活はとにかく先手必勝が重要」という声から、入園予約金や外部コンシェルジュの費用負担を盛り込んだ。通勤ルートから外れる自宅-保育園-会社のタクシー代の補助も、利用者から喜びの声が挙がっているという。

 ママの意見を聞き、同じような規模の会社の施策を調べ、社員のアイデアを反映させ、こうした魂のこもった制度にたどり着くまで1年はかかったという。我妻氏は、「せっかく作っても、使われないような制度は作りたくなかった。ママさんたちにとって意味がある、使ってもらいやすい施策に着地できたと思います」と振り返る。

会社概要

2007年の創業より法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」を開発・提供しています。「Sansan」は「名刺を企業の資産に変える」をコンセプトに、社内に眠る名刺をデータ化し、 人と人のつながりを情報として可視化・共有できるクラウド名刺管理サービスです。2012年より個人向け名刺アプリ「Eight」を提供開始。ソーシャルの仕組みを取り入れ名刺をビジネスのつながりに変える新たなビジネスネットワークとして、登録ユーザーは150万人を超えています。

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