CES2018のキーノートスピーチには、昨年に引き続きファーウェイのコンシューマー・ビジネス・グループCEO、リチャード・ユー氏が登壇しました。フラッグシップスマートフォン「HUAWEI Mate 10 Pro」のアメリカへの投入や、家庭のIoT環境をより快適にするホームルーター「HUAWEI WiFi Q2」の発表を通して、同氏はファーウェイがユーザー目線で製品開発をしているというスタンスを説明しました。
HUAWEI Mate 10 Proはすでに日本を含むグローバル市場で発売されている製品です。Mate 10はスマートフォンに対する消費者の不満を解決する視点からスタートしています。Mate 10は18:9かつナローベゼルのフルビューデザイン、高速かつセキュアーなコネクション、長時間駆動可能なバッテリー、AI機能を有するプロフェッショナルなカメラでユーザーに最高の体験を与えることができると言います。
AI機能を有するNPUを統合した新しいチップセット「Kirin 970」の採用や、F値1.6と明るいLeicaブランドのデュアルカメラの搭載、さらには北米で初となる1Gpbs対応の高速モデムなど、グローバル市場で高い評価を受けた機能がアメリカ向けのMate 10にもそのまま搭載されます。Mate 10はアメリカではオープンマーケット、すなわちSIMフリー機として発売されます。アメリカでの価格は799ドル(約8万9200円)です。
またファッションブランドのポルシェデザインとコラボレーションした「HUAWEI Mate 10 Porsche Design」も販売されます。キーノートにはポルシェデザインのCEO、ジャン・ベッカー氏も登壇し「ファーウェイの最高のテクノロジーと、ポルシェの美しいデザインを融合させたモデルだ」と、製品に対する自信を語りました。価格は1225ドル(約13万6700円)で、ヨーロッパの1395ユーロ(約18万6000円)に比べると約25%安くなっています。
キーノートでユー氏は「本日はキャリアからの販売を報告する予定でしたが、ユーザーに直接製品を届けるためにオープンマーケットを選択しました」と話しました。キーノートの前日にアメリカのメディアがAT&TからのMate 10発売が中止になったと報道しましたが、それを認めた格好になりました。同氏によると、アメリカでのスマートフォン販売は9割がキャリアチャンネルだそうです。ファーウェイもMate 10を多くの消費者に提供するため、キャリア経由での販売を目指しました。しかし今回は「ユーザーに最高の製品を直接提供する」とし、引き続きオープンマーケット、すなわちSIMフリー市場へフォーカスする姿勢を見せたのです。
キーノートではMate 10の優れた機能が数多く紹介されましたが、それだけではないとユー氏。それはセキュリティー・安全性に対する姿勢です。ファーウェイは今や世界3位のスマートフォンメーカーであり、2016年は170ヵ国に1億5300万台もの端末を出荷しています。業界のリーダーとして消費者保護を第一に考えることは重要であり、様々なセキュリティーのフレームワークでユーザーデータのプライバシー保護を行なっています。
ファーウェイのスマートフォンは、Androidの最新OS上に自社開発のUI「EMUI」を搭載しています。ベースのAndroid OS上ではグーグルのサービスが利用でき、グーグルが提供する毎月のセキュリティーパッチを2年間提供しています。OSレベルでも高い安全性を確保しているわけです。またそれだけではなく、ハードウェアの安全性、たとえば4000mAhの大容量なバッテリーに関しても低温テストなどを行なっているとのことです。
「最高のスペックと最高のセキュリティーを備えた製品」であるMate 10ですが、このような製品を開発できた背景には、常にユーザーを第一に見据えた姿勢を守りとおした結果だとユー氏は説明しました。25年前に同氏がファーウェイに入社した時から「お客様を中心に製品開発を考える」という企業精神があったと言います。ファーウェイは一人一人がエンドユーザーを見据えて働く会社であり、グローバルに革新を続けてきました。
6年前にユー氏が今のポジションに就いたときは、スマートフォン市場を手探りで開拓するという状況でした。しかし、ヨーロッパなどの先進国だけではなく、新興国も含めた全世界の消費者に目を向けて「最高の技術、最高のイノベーション」を提供することを考え、日々技術革新を続けています。安全性、プライバシー保護、高品質、先端技術、それらを製品に融合させていった結果が、今のファーウェイのグローバル市場でのポジションを築き上げたわけです。ファーウェイは過去10年間に450億ドルを研究開発に投資しました。2016年は実に100億ドル、これは全世界の企業の中で9位だそうです。
さてスマートフォンの進化を見ると、これからはAIの重要性が増してくるでしょう。Mate 10搭載のKirin 970にAIを採用しているのもその一例です。キーノートにはグーグルからGoogleアシスタントのエンジニアリング担当バイスプレジデント、スコット・ホフマン氏もゲスト登壇しました。グーグルは「AIファースト」の時代を見据え、AIの研究開発を長年行なってきたとのこと。Googleアシスタントはユーザーが自然に使え、しかも簡単という利点があります。グーグルのAI機能は最新のAndroid OSに常に反映されており、Mate 10はその最新OSを搭載することから最先端のAI体験ができるデバイスに仕上がっているとのことです。
ファーウェイのプレゼンスはアメリカではまだ低い状況です。しかし中国からヨーロッパや日本など、世界中の市場を開拓してきました。お客さんのみならず、通信キャリアもファーウェイの製品を選んでくれるように、今後もよりよい製品開発に取り組んでいきたいとキーノートを締めくくりました。
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