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注目の新ハイレゾ機「ACTIVO CT10」は低価格だが画期的

2017年12月26日 13時00分更新

Wi-FiとBluetoothを使ってストリーミング再生に対応

 若者向けの低価格モデルと言いながら、機能面でも充実している。まずクアッドコアのCPUを採用し、メニュー操作の反応は滑らか。Wi-FiやBluetooth機能も使える。

 Wi-Fiを搭載する主な目的は音楽のダウンロード。つまり、groovers Japanにアクセスして、ハイレゾ音源を直接購入できるようにするためだ。しかし恩恵はそれだけではない。一例として、DLNA Link機能が挙げられる。

Wi-Fi接続によりgrooversJapanから楽曲の購入ができる

ファームウェアのアップデートもワイヤレス対応

 Astell&Kernのプレーヤーには「AK Connect」というネットワーク再生機能が従来から搭載されてきた。これはLAN内のメディアサーバー(NAS)などに保存した音楽データをストリーミング再生できる機能だ。CT10はAstell&Kernの製品ではないため、AK Connectではなく、DLNA Link機能と呼んでいるが、基本的な考え方は同じだ。

 プレーヤー内でNASを検索し、ネットワーク経由で再生もできるし、タブレットやスマホにインストールしたコントロールアプリを使って、NASなど(ライブラリと呼ばれる)に保存してあるファイルを選び、プレイリストを作成、これをCT10のような再生機器(スピーカーなどと呼ばれる)に送ることもできる。スマホやタブレットで操作する際に使うアプリは「AKConnect 2.0」などアイリバー製のものでもいいし、DLNA/UPnPに対応した他社のアプリでもいい。

DLNA/UPnP対応アプリ(写真はKinsky)との接続は思った以上にカンタンだ

NASに保存したハイレゾ音源もワイヤレス再生できた

 CT10がWi-Fiにつながっている状態であれば、接続はBluetoothよりもカンタン。自動的に「CT10」が認識され、すぐにリモート操作ができる。ミュージックライブラリーを指定すると「CT10」側から、その楽曲を再生できる。またハイレゾファイルを直接送れるため、Wi-Fiの方が高音質なのだ。

音質はなかなか本格的、Astell&Kernとは一味違う味付け

 肝心の音質はどうなのか。

 その前に借用した試聴機をWi-Fiに接続したところ、システムの更新をうながされ、実行したところ音質が変わった。ファームウェアのアップデートで内部の処理を改善できるのは強みだ。もしかしたら製品版では、さらなる音質向上を果たしているかも知れないが、12月19日時点での音質を中心にコメントしよう。

プレイリストも多く再生した曲から自動生成される

「多く再生した曲」を開くと再生回数順に曲が並ぶ

 まず傾向は、音場感重視のAstell&Kernとは一味違うものだった。製品のコンセプトが違うので当たり前なのだが、音場感の優劣は、量感のある低音とかヌケのいい高音と比べて分かりにくい。理由は音場感を追求すればフラットな特性が求められ、地味な音になりやすいから。

 「CT10」は若者や音楽ファンが気軽に使える点を重視したモデルなので、中低域の音の厚みや細かい音をきちんと聴かせる点をアピールした音作りである。だからといって音のエッジを立てて、メリハリを効かせるわけではない。一聴してハイレゾらしい情報量の多さを感じたし、Astell&Kernらしい繊細な音を聴かせてくれた。

 バランスは中低域寄りにあり厚みのある音だが、低域は膨らませ過ぎずにうまくドライブしている感じがする。もっと派手な音を予想していたが、これならハイレゾプレーヤーをいろいろと聴き込んだ人でも納得できる音だろう。

イコライザーはジャンル別にプリセット項目がある

グラフィックイコライザーを使って新規設定もできる

 アナログオーディオの世界では、1チップ化されたものより、独立した部品を組み合わせて回路を構成する「ディスクリート構成」ほうが尊ばれる傾向があった。ディスクリートの定義は曖昧だが、オペアンプなど汎用のIC(集積回路)を極力使わずに、高音質パーツを組み合わせて作った回路ぐらいの意味合いだ。

 ポータブルオーディオの世界でも回路や基板を独自に起こして高音質化を狙った機種が存在する。ただしサイズやバッテリー寿命などの面でデメリットがあり、何よりコストが上がってしまう。そんな中、独自開発した共通のモジュールを使って、手軽にいい音を提供するという考え方は興味深い。

 TERATONを使えば、いきなり完成度の高いDMPが出来ることが分かったし、このモジュールが、今後どんな機器に使われるかが楽しみになってきた。

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