ユーザーインターフェイスはAstell&Kern譲りの使いやすさ
オーディオ回路をモジュール化する利点のひとつに量産効果によるコスト低減がある。オーディオ部分を共通化することで、様々な機器への搭載が可能になるということは、それだけ幅広い市場にリーチできるという意味だ。具体的な計画は明らかになっていないが、プレーヤーだけでなくヘッドフォンや車載機器、ワイヤレススピーカーなど高音質へのニーズがある製品はいくらでもある。搭載する製品が増えれば、その分だけ割安感が出てくるはずだ。
対応フォーマットも5.6MHzのDSDや192kHz/24bitの192kHz/24bitのネイティブ再生に対応しており十分。さらにPCM変換となるが、11.2MHzのDSDや32bitのPCM音源も再生自体は可能だった。16GBの内蔵ストレージや最大256GBのmicroSDカードに保存したファイルを直接再生するだけでなく、USB DAC機能を使ってパソコン上の音源をより高音質に再生したり、CT10のMicro-USB端子からより高音質なDACにデジタル出力する機能も持つ。
ヘッドフォン出力は22mW(8Ω)/36mW(16Ω)。S/N比115dB、歪み率(THD+N)0.0005%というスペック。
一方、CT10の魅力はオーディオ回路のモジュール化による低価格だけではない。完成度の高いUI(ユーザーインターフェイス)を使える点にもある。実はCT10のGUI(操作方法)は、ほぼ「A&ultima SP1000」と同じだ。
ホーム画面では再生中の曲の情報を中心に表示。ここから上下左右の各辺からスワイプすることで、各種機能のオン・オフやアルバムやプレイリストの選択、再生履歴の表示画面に切り替わる仕組みになっている。プルダウンメニューも用意されている。ここからタッチ操作が可能だ。
さらに本体の左側に再生/一時停止やスキップ用の物理ボタン、右側にボリュームホイールを備えている。画面を見なくても選曲や音量調節ができるわけだ。海外製の低価格DMPではLinuxなどをカスタマイズした独自UIを採用している場合が多く、慣れるまで思い通りの操作ができないことも少なくない。聴きたい曲になかなかたどり着けなければイライラするが、CT10は最初から迷わず使えた。
Astell&KernのGUIは2012年のAK100以降、5年にわたって吟味されてきたもの。プレーヤーに慣れている人だけでなく、スマホユーザーでも違和感なく使えるだろう。
本体サイズは幅65.2×奥行き15.5×高さ93.2mm(概算値)で、重量約112gとコンパクト。液晶ディスプレーが中央より左側に寄った独特な外観だが、これはホーム画面を表示するためのタッチセンサーなどがある基板を液晶パネルの右側に置く必要があったためだという。
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