日本に存在する電子マネーや交通系ICカードなどのほとんどに搭載されているFeliCa(フェリカ)。この「非接触型」のICチップ技術であるFeliCaは処理速度が速く、駅の改札でも大きな渋滞を起こすことなくスムーズな人の出入りがおこなえるようになっています。
そんなFeliCaと同じような技術に、「NFC(エヌエフシー)」というものがあるのをご存知でしょうか。知っている方の中にも、「FeliCaと同じもの」というふうに思っている方がいるかもしれません。
ここでは「NFC」とはどのようなものなのかについて、FeliCaとの微妙な違いを交えながらご紹介します。
NFCとは
NFCとは「Near Field Communication」の略で、日本では「近距離無線通信」などと訳されています。
名前にあるとおり、二つの機器間で無線通信をおこなうための技術です。近距離というのは、だいたい10センチ、もしくは触れるか触れないかくらいの距離になります。
非接触型の通信機器と言われると、スイカやパスモ、おサイフケータイなどを思い出す人もいると思いますが、それらはNFCの仲間ではあるものの、いわゆる「NFC」ではありません。その点についての詳しい説明は後述します。
NFCの機能
NFCの機能についてご紹介しましょう。
NFCが持つ機能は大きく分けて2つあります。
【認証】
一つ目の機能が「認証」です。NFCをパスワードの代わりに用いることで本人認証できるようになります。
パスワード以外にも、スピーカーとプレイヤーなどをBluetoothでペアリングさせる際に必要なパスコードの入力を省略することができるようになります。方法はプレイヤーとスピーカーの「NFCマーク」を接近させるだけです。パスワードやパスコード入力の手間が省け、楽に機器同士を認証させることができます。
【通信】
NFCの機能の2つ目は、「通信」です。Bluetoothなどでペアリングする場合、認証はNFCでおこないますが、音楽などの転送自体はBluetoothがおこなうことになります。しかしNFCは通信をおこなえるものもあります。それがアンドロイド端末に搭載されている「Android Beam」です。NFC搭載のアンドロイド端末を接近させることで、データの送受信そのものをおこなうことができます。従来の携帯電話についていた「赤外線機能」のような用途であると言えばわかりやすいのではないでしょうか。
NFCとFeliCaの違い
上項で、「スイカやパスモはいわゆるNFCではない」と書きましたが、それについて簡単に説明します。
かつて、FeliCaは単純な意味で「NFCの一種」という存在でした。NFCには「Type-A」「Type-B」と細かい規定があったのですが、その3番目のタイプとして、FeliCaは存在していたのです。しかし、日本のおサイフケータイや交通系ICカードがFeliCaを中心的に使うようになったことで、FeliCaがいわゆる「NFC」とは違う存在に変わっていったのです。
FeliCaは日本や香港などの一部の海外で利用されているだけで、海外の国のほとんどがFeliCaを利用していません。海外ではNFCの「Type-A」または「Type-B」を利用しています。日本でも自販機でタバコを購入するとき使うタスポや、パスポートなどでは用いられていますが、日常生活で使う交通系ICカードやおサイフケータイが採用しているのは上述のとおりFeliCaです。そのためいわゆる「NFC」が日本におけるメインストリームになることはなく、「Type-A」や「Type-B」などのNFCは「海外で使われているもの」という定義を与えられることになりました。
その結果雑誌や新聞などの記事でも、NFCとFeliCaを区別するようになり、その2つは別物になっていったのです。
NFCとFeliCaは別物になっていますが、それでは不便であると言うことで、現在ではFeliCaとNFCの両方の機能(日本製でも海外で使えるもの)を持った規格も登場しています。
以上がNFCについての概要です。NFC導入についてご検討中の方は参考にしてみてください。
※本記事は「ROBOTPAYMENT公式ブログ」に掲載されたものを転載しております。
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